2008/09/08

「イラク派兵違憲判決(名古屋高裁)を学ぶ会(仮称)」準備会 ご報告

「イラク派兵違憲判決(名古屋高裁)を学ぶ会」(仮称)の第1回準備会直後に、「勝ち取ったイラク派兵違憲判決 市民の出番だ!! ~名古屋高裁判決を活かす 東京集会~」のチラシを入手しました。また、9月13日に、東京・星陵会館で、9条の会の「名古屋高裁判決と派兵恒久法」の集会が行なわれることも判明しました。

このような中で「イラク派兵違憲判決(名古屋高裁)を学ぶ会(仮称)」を予定通りに行なうことが妥当かどうか検討した結果、10月1日に東京で行われる「勝ち取ったイラク派兵違憲判決  市民の出番だ!! ~名古屋高裁判決を活かす 東京集会~」に合流できないか、名古屋訴訟の会に申し入れました。

第2回準備会は、912日(金)1820分、地下鉄東西線竹橋駅、毎日新聞社1階受付前集合です。

なお、10月1日の「イラクから自衛隊の撤兵を求める署名提行動」についての詳細は「イラク派兵違憲訴訟の会・東京」のホームページのトップに貼り付けました。
http://comcom.jca.apc.org/iken_tokyo/

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2008/08/28

読む・読もう・読めば 38

おお、ジョージア

黒海とカスピ海にはさまれた旧ソ連邦のグルジアの国名は、守護聖人ゲオルギウスに由来する。ドラゴン退治のゲオルギウス伝説の本場はここだ、ということだろう。ロシア語ならグルジア、英語だとジョージアで米国ジョージア州と同じ綴りになってしまう。ロシア側から見れば、モスクワの市章は聖ゲオルギウスがドラゴン退治をしている図だし、あのスターリンはグルジア出身という「親しさ」がある。米国側から見れば、ジョージア州の名は英国王ジョージ2世にちなむから、とりあえず聖人伝説とは関係がない。現グルジア大統領サアカシュビリが米コロンビア大学大学院出身、米国の法律事務所に勤務した経験を持つという「親しさ」か。そんなグルジアで米ロの対立がいま取り沙汰されている。

新聞報道では、グルジア内のアブハジア自治共和国と南オセチア自治州の独立を認めたロシアと、同地のグルジア帰属を死守したい米国との、民族独立運動をめぐる争いのように見える。しかしこの地は紀元前から、ビザンツ帝国、ササン朝ペルシア、イスラム帝国、オスマン朝、ロシア帝国と、さまざまな勢力の興亡の影響を受けたところであって、1民族1言語1宗教1国家でまとまることなどあり得ない。

インターネットで流れている投資家向けの情報では、もっぱら石油と天然ガスのことが語られている。グルジアにはカスピ海原油・天然ガスをヨーロッパに向けて運び出す複数のパイプラインが敷設されているのだ。2006年には米国の援助で南ルート、つまりロシアを全く経由しないルートも稼働し始めた。同じ年、ロシアは南オセチアに天然ガスのパイプラインを敷設し始めた。これらのラインが今回の軍事衝突で停止したことが、投資家たちの当面の関心事なのだ。

なるほど、それでロシアも米国もグルジアに関与したいのか。原油・天然ガスの消費者であるEUの関与で停戦が成立した後もロシア軍は居座っており、米国は平和維持軍を「多国籍化」して軍事介入することに失敗したが、イージス艦「マクフォール」をグルジアのバトゥーミに入港させた。ブッシュ政権末期に至っても緊張は続く。大国の思惑のとばっちりを受けるのは、いつも中小国の市民だ。  2008828日)

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2008/08/15

読む・読もう・読めば 37

オリンピックと核

19641016日、中国政府は初の原爆実験成功を発表し、開催中の東京オリンピックに冷や水を浴びせた。実験場は新彊ウイグル自治区のロプノールと発表された。シルクロードの要所、楼蘭に近い。核兵器の開発が行われたのは青海省海北チベット自治州の「221工場」だった。工場は95年に機能を停止し、99年に公開され、今では「青海原子城」の石碑が観光コースに入っているという。青海からロプノールまで直線距離でも1000キロ近いが、原爆はどのようにして運ばれたのだろう。鉄道だろうか。

本年6月には青海省が青海湖の世界自然遺産登録をめざす、と発表した。中国の核開発はソ連の指導で始まったから、初期の核廃棄物はソ連方式にならって湖に捨てるか浅い地面に埋めるだけだったはずだ。残留放射能はないのか、気にかかる。北京オリンピックに向けての聖火リレーも、623日には青海湖畔で行われているが。

中国の核兵器開発と核兵器配備は、主に漢族の地ではなくチベット族とウイグル族の地で行われてきた。米国の核実験が「インディアン居留地」や太平洋の環礁で行われてきたのと同じことだ。汚染された地域で暮らす多数の住民が被害を受けてきたと考えるのが当然だろう。しかし自由な取材のできない中国の情報は限られている。チベット国際キャンペーンがまとめた『チベットの核』(邦訳は2000年刊、日中出版)の内容は戦慄的だが、「本書の情報のほとんどは米国で機密扱いから解除された資料に基づいている」と堂々と書かれると、なにしろイラクの「大量破壊兵器」で公然とウソをついた米国のことだから、と引いてしまう。

この87日、中国から英国に亡命したウイグル人医師、アニワル・トフティ氏がウイグルの核汚染について東京で講演した。内容は主催者の日本政策研究センターの機関誌に載るはずだ。新聞では産経だけが10日にインタビュー記事を掲載した。「(新彊ウイグル自治区の)区都ウルムチの病院の腫瘍専門外科勤務だった私は、病床に占めるウイグル人の割合が極めて大きいことに気付いた。調査すると、ウイグル人の悪性腫瘍発生率は、中国の他の地域の漢人と比べ、35%も高かった。漢人でも、新彊ウイグル自治区に30年以上住んでいる人は、発生率がウイグル人と同程度に高かった。」トフティ氏は同時に中国でのオリンピック開催にも抗議している。

核にまつわる情報がみな明らかになる時が来るとすれば、それは核廃絶への展望が明らかに見えてきた時のことだろう。嘆息しながら、オリンピック漬けの新聞を開く。

2008814日)

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2008/08/13

自衛隊の変貌を見る⑨

○本当のことを知らせよう

 去年新日本婦人の会が全国で、市民生活に自衛隊がどう忍び寄っているかを調査して、一覧表で出しました。武装した部隊が子どもの目に触れるところで町を行軍する。お祭りやスーパーに装甲車を展示する。子ども向けのキャンプや体験入隊をやる。こういうのは無数にあって、日本平和委員会の全国大会でも、今年はこの報告がいちばん多かったです。

また「朝雲」新聞によりますと、626日付の1面を使いまして、自衛隊がいかに市民と接触しているかを書いています。見出しは「児童、学生、地域住民が自衛隊を体感」。まず生活体験入隊ですが、会社の新入の従業員を4日間ないし3日間、敬礼から始めて背嚢を背負っての行軍訓練、精神教育。百十四銀行というのが徳島にございますが、新入女子行員さん68名を訓練させたということです。また駐屯地の96式装輪装甲車、これはイラクに行っている車輌ですが、子どもたちに鉄兜をかぶせて乗せる。それから中学生の課外学習で救急法を教える。体験航海や体験飛行もさせる。

 結論を急ぎますが、「子どもを戦場に送るな」「教え子を戦場に送るな」「兄よ銃を取るな」という、これですね。「アニーよ銃を取れ」という映画がありましたが。そういうことが、いま本当に大切なんじゃないでしょうか。

自衛隊は本当のことを隠しているわけです。イラクでアメリカがどういう戦争をやっているか、航空自衛隊がそこにどういうことを行っているか、「あり方検討会議」が自衛隊をどういう方向に持っていこうとしているか、北富士演習場ではどういう訓練が行われているか、子どもに本当のところを何も話さないでこういう体験をさせれば、子どもたちは応募するようになるでしょうね。ですから戦争を全然知らない子どもたちに、お母さん、お父さんと先生、社会の人、先輩が、自衛隊はこういうものだよと、本当のことを教えてあげることが必要です。それとも自衛隊がこういう宣伝をやって子どもを獲得するか、その取り合いなんです。

そのときに名古屋高裁の判決の、戦争準備から自由を守る権利というのは、使えるのではないでしょうか。戦争の恐怖から逃れる権利というのは、いま言っておかないと、赤紙が来たときには遅いんではないですか。戦前の歴史はそれを教えているのではないでしょうか。

 いろんなことをお話ししましたが、一箇所でもお心に残る点がありましたら、それを皆様方のご研究、ご活動にお使いいただければ、望外の幸せとするところでございます。

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2008/08/12

自衛隊の変貌を見る⑧

Naitou004 ○自衛隊の変貌を見る指標

陸海空の自衛隊がどういうふうに変わっていくか、どういう指標で見るかをしっかり確立しておくと、いろんな森羅万象が整理されて、重点と非重点が区別されると思います。私はそのいちばんいい文献は、「朝雲新聞」の平成16122日号に全文載っております、「防衛力のありかた検討会議」の文書だと思います。ここには2004年の11月に防衛庁長官に対して、将来陸海空の自衛隊をどういうふうにもっていくかというイメージ、性格が具体的に書いてある。

一部を紹介しますと、陸自は普通科を中心に強化を図る。戦車・火砲を削減する。最近、山梨県平和委員会の調査によりますと、北富士演習場で第一師団の各部隊が訓練をやってきたんですが、ここ4年来の特徴は、榴弾砲の訓練が半分に減ってきている。普通科連隊による小銃・小火器の訓練が増えてきている。それからFTC(富士トレーニングセンター)はハイテク機器を備えていて、陣地防御訓練をやるんですね。いまの戦闘で中隊長以下何人戦死した、この攻撃は失敗、この攻撃は成功というのがコンピューターで全部出てくる。明らかに日本に上陸してきた敵軍と戦うという軍隊ではなくて、外地で人間を相手にする戦闘、テロ組織を相手にする戦闘に陸上自衛隊が変わってきている。4年前にはこの文書に書いてあった意味が分からなかったんですけど、4年たってこれが現実になってきたんですね。

もうひとつ中央即応集団も、「あり方検討会議」で創設することが謳われたものです。このもとに化特殊武器防護隊を入れる、緊急即応連隊を創設する。今年の331日に宇都宮に緊急即応連隊は発足いたしました。それからこの「あり方検討会議」では、海外派兵は国連の安保理決議が出たら30日以内に行うと。これはかなりのことですよ。常時即応態勢にある部隊を何個か決めておかないとできない。それから外国の軍隊が日本の本土に上陸してくる可能性は低いけれども、離島には小部隊が来るかもしれない。そういう場合に備えた部隊を作っておく。

海上自衛隊ですが、外線部隊の自衛艦と、内線部隊である地方隊所属の艦艇とあって、地方隊の艦艇はわりとのんびりしていたんですね。そんなに遠くへ行かなくていい。ところが今年の3月末に編成替えをしまして、地方隊の護衛艦を全部、護衛艦隊司令官のもとに提供することになったわけです。護衛艦隊司令官はこれをフォース・プロバイダー、供給者といたしまして、フォース・ユーザーである自衛艦隊に必要に応じて提供するわけです。インド洋に派遣する必要があれば、地方隊の艦艇を含めた護衛艦隊の手持ちの軍艦から派遣すると、こういう形になりました。したがいまして、それもこの2004年の11月の文書に書いてあったことです。

例えば「さわゆき」という軍艦がありますが、これは横須賀地方隊第21護衛隊の所属、これを編成替えで第11護衛隊にしまして、護衛艦隊司令官のもとに提供します。本来は横須賀の近く、大島とか硫黄島とか、そのへんで動いている船なんでしょうが、本年の洞爺湖サミットに際しまして警備のために、大湊に回航を命ぜられた。7月上旬に青森県尻屋岬の沖で、乗り組みの水兵さんが碇の部屋、揚碇室の扉の綱にライターで火をつけて火災が起きてですね、それを取材する青森放送のヘリコプターが取材に向かった途中、付近で墜落しました。

まだ詳細を知りませんが、「さわゆき」はさぞ任務が変わって兵隊が大変だったろうなと思いますよ。おそらく、インド洋に行ったときどうするか、補給艦を守るときどうするか、というような、今まで横須賀地方隊でのんびりしていた時と違った訓練をされていると思うんですね。ある新聞が「一等海士は、今までと違った任務がきて負担が増えてイライラしてやった」と書いていますが、本当だと思いますね。

アメリカの軍艦との給油の一体化の問題ですが、去年、日本共産党の小池参議院議員さんが予算委員会で、米海軍のホームページからとった写真を示しました。前方手前はアメリカのアイゼンハワーという原子力空母です。艦上には艦載機が待機しております。1機が発艦したところです。この空母を護衛する任務をもちまして、前方左舷3000くらいありますか、アメリカの巡洋艦が右側、左側にいますのが日本の補給艦「ときわ」です。パイプがひっぱってありまして、米巡洋艦に補給しているんです。まさに空爆作戦中のアメリカの艦隊、空母艦隊にこういう形で給油しているわけですね。

航空自衛隊の変貌についてもお話ししたいと思います。ここでは、対地攻撃の訓練を始めたということが重要ですね。これまで爆撃の演習場は、主にグアム島の北西にある無人の珊瑚礁でした。「朝雲」新聞の710日号によれば、最近アメリカのアラスカで行われた「レッドフラッグ・アラスカ」というアメリカ空軍の演習に、航空自衛隊第2航空団のF15戦闘機が参加しました。

特徴をいくつか挙げますと、第1はですね、KC135という給油機から給油を受けて、千歳から7時間で太平洋を横断したんですね。

2点目は、F15はアメリカ空軍のアグレッサー部隊と交戦訓練をしたと。アメリカ空軍と対等に訓練をやっている。アグレッサー部隊は仮想敵部隊で、昔はソ連の空軍の飛行機をそっくりそのまま、服装もソ連空軍と同じ服装の操縦士がやっていたんですが、いまはどこの国なんですかね。

3点目は、電子戦下の戦闘であると。守るほうは電波を発信して目潰しして、攻めるほうはまたそのレーダーを目潰しするという、こういう状況下での戦闘訓練をやっている。4点目は、状況によってアメリカの空軍の飛行機を航空自衛隊の指揮下に置く訓練もしている。5点目は、早期警戒機767というレーダーを頭に積んだ飛行機を飛ばしておきまして、そこから多数の戦闘機に情報を提供している。

 最後に6点目ですが、ついでにアメリカ空軍の誇るステルス戦闘機、つまりレーダーに見つからない戦闘機を視察してくる。以前に日本はこれを入れようとして小池百合子前防衛大臣がアメリカに行ったけれども、アメリカは日本に秘密保護法がないから、そんなものがやれるかというので断られたというものです。それからC17大型長距離輸送機も見学する。こういうような状況です。

 それからミサイル訓練についても「朝雲」新聞に記事が出ていますが、初めて日米の実動ミサイル訓練を7月中に実施する。海上自衛隊はイージス艦「こんごう」、それから航空自衛隊はPAC3の部隊が参加して、日米の共同訓練を海、空、宇宙空間を通じてやる。

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2008/08/11

自衛隊の変貌を見る⑦

○集団的自衛権と集団的安全保障

もうひとつ重要な文書は、明らかに名古屋高裁判決を意識して出されたと思いますが、624日に出されました、いわゆる安保法制審の報告書、これもいまの自衛隊の変質問題を法制面から見るうえで注目していきたいと思っております。

これは柳井もと駐米大使を長とする安倍前総理の任命した委員会の報告書であります。現在の憲法解釈を変更することを提言する、というのが結論です。集団的自衛権の解釈変更という側面だけが強調されて報道されていますが、正確に読みますと2つの面があるんです。集団的自衛権の解釈を変更することと、それからもうひとつ、国連の集団的安全保障のために活動している自衛隊には、憲法91項は適用されないという、大胆な解釈を打ち出しているということです。

安倍前総理がこの柳井懇談会に諮問した具体的ケースは4つあります。第1は、日本の軍艦とアメリカの軍艦が公海におきまして共同作戦行動をとっているときに、アメリカの軍艦が攻撃を受けた場合に、それを日本の軍艦が守れるようにしてやると。これは集団的自衛権の行使の問題ですね。今まで日本人の頭にあったのは、例えば給油のためパイプでつないでいるときに、相手のアメリカの軍艦に攻撃があったときですが、そうではない。海上作戦というのは、日米の艦艇が数百キロ離れて共同作戦をやる場合があるんですね。太平洋を渡って来る艦隊が、それぐらいの大きさの陣形をとることがある。そういう場合を含めて敵を撃てるようにするということです。

2は、アメリカに向かっていると判断された弾道ミサイルを見過ごさないで、日本列島からミサイルを撃つ。これも集団的自衛権です。アジアの某国が弾道ミサイルを撃つ場合に、それはまずアメリカを意図して撃つということを前提にいまのミサイル防衛システムというものは組み立てられている。ですからこれは集団的自衛権の解釈の問題です。

3番目はいわゆる「かけつけ警護」と申されております。外地において多国籍軍の活動に従事中の自衛隊の隊員が、別のところで攻撃されている、同盟国軍の部隊を助けるためにかけつける。これは集団的自衛権という視野ではない。集団的安全保障で国連の決議に基づいて活動している部隊には、そもそも91項の武力行使の制限は適用されない、ということを言っているわけですね。

4点目は、補給・輸送です。これまで武器・弾薬を除くという解釈をやってきた。それから前線へは補給を行い得ないと言ってきたけれども、それでは集団的安全保障の仲間入りができない。今後はその場合にも、集団的安全保障で参加している部隊には国際基準と同様にやるという、大胆な解釈変更です。

しかし、さすがに内閣法制局は、50年来やってきた解釈を変更することはできないと思います。私は212年、参議院議員を勤めまして、内閣法制局というのは意外と頑固な役所だと、敵にすると本当に憎たらしいが、味方にするとけっこう頼りになるものだという、複雑な感じを持ったのであります。法制局ぐらい頑固な、旧態墨守のお役所はないと思うんですね。その役所がいま私が説明したような提言を簡単に呑むわけがない。福田総理はしたがって提言直後の談話で、我々内閣はこういう解釈変更をやるつもりはないと言っておりました。しかしこの内閣がいつまで続くか分かりません、新しい内閣ではどうなるか分からない。そういうことを見越して出した報告だとも思います。

この報告が出た624日の2日後の26日に、北朝鮮の外交当局がですね、6か国協議の議長国である中国政府に対して、核処理の状況の申告をいたしました。同日、ブッシュ大統領はテロ支援国の指定を解除することを米国議会に提示した。このような状況はもう24日には察知されますから、北朝鮮を6カ国協議で封じ込めているときに弾道ミサイルがどうのこうのという提言を出した場合には、いかにも気の抜けたビール以上の間の抜けたことになるので、あわてふためいて624日に柳井さんたちは出したのかなあと思っております。

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2008/08/10

自衛隊の変貌を見る⑥

Naitou003 ○続発する不祥事と文民統制

その前提に立って、いまの自衛隊の問題をいくつかお話しします。

これは米軍人の問題ですが、とくに日本本土で特徴的なのは、この3年来、アメリカ海軍横須賀基地において第7艦隊の基幹的な艦の乗組員が、もっとも凶悪なる殺人事件を起こしているということです。200613日に殺害された横須賀の女性の事件、私は被害者のご主人の山崎さんの代理人になって、第1回弁論で7分間しゃべった。この事件はですね、女性に道を聞くふりをしてバッグを奪おうとした。女性が拒否した。それに対して拳骨で鼻が陥没するくらい打撃を与えた。マンションの廊下に引きずり込んで、今度は体をコンクリートの壁にぶつけた。次に倒れている女性を靴で踏みつけた。いうことで、内臓破裂による出血多量で死に至らしめたんですね。強盗殺人事件です。刑事事件は無期懲役で、犯人は横須賀の刑務所に入っています。

 このようなことは兵隊でなければできないことです。今年起きました、タクシー運転手さんに対する殺害もそうです。こういう事件がアメリカ海軍の中心的軍艦、キティホーク、カウペンス、ブルーリッジの乗組員で、順番にひとつずつ起きている。これはやっぱり、戦争参加艦艇が日本にそのまま入って来ることによる事件です。ストレス解消のために、もう酒しかないんですね。

 自衛隊も海外派兵をやっていくと、人間の変質というのが必ず起きてくるだろうと思います。現に陸上自衛隊で九州の演習場の近くで、タクシー運転手を刺殺した事件が起きております。

 昨年来の自衛隊、とくに海上自衛隊における事件として、インド洋の給油量を事実に反して報告した事件、それから野島崎沖の「あたご」の漁船衝突轢断事件、業界との癒着の守屋前次官の事件、等々が発生しております。根源は対米従属・海外派兵・業界との癒着の自衛隊の変貌のなかで、そのしわ寄せが現場の隊員に行って、こういう事件が起きたということです。業務量が多くて基本的な任務が疎かになっている。

715日に発表されました防衛省改革会議の報告書は、それらの不祥事に触れているんですが、問題を幹部職員の規則遵守が徹底していないこと、それから隊員のプロフェッショナリズムが確立していないことだと書いて、本質から目をそむけております。そしてそれに乗じてですね、制服組を防衛省の中枢に入れて、制服組の発言を組織的に強化しようというものです。

規則遵守の徹底については、防衛省事務方のトップが、自分には規則の適用がないと思って、倫理監督官になっていたということがいけないんだと。補給艦の航海日誌をシュレッダーにかけたという事件というのがありました。「しらね」の艦橋の戦闘指揮所に冷蔵庫を持ち込んで、それが火事になったとか、イージス艦の情報を第一術科学校の教官が漏らしたとかいう事件もありました。そういう問題も規則の徹底ができていないということだけにしています。

そして秘密についての規則遵守をやっていないのは、情報保全隊の強化と警務隊の強化によって解決していくというふうに持っていくのです。防衛調達の透明性につきましては、無策に等しくて、例えば監査機能を強化するとか、もうお題目だけですね。外国メーカーと直接取引するとか、これは財界・兵器産業との根本的な癒着体質というものを変えない限りは、こういう弥縫策ではできないと思います。プロフェッショナリズムの確立は確かに大事なことです。だけど、初歩的なことがなぜできていないか等、ことの本質にさかのぼっての反省はないということですね。

そこで文官と制服自衛官を一体化していって、そこに緊張感を醸成させていくということに絞っていって、提言にしているわけです。これは文民統制とは何かという問題ですね。本来の文民統制は軍隊からの安全なんです。しかし石破大臣の認識は、それは旧軍が国を敗戦に導いた過去の日本にとっては重要であったが、自衛隊誕生以来54年間の実績から見て、自衛隊に民主政治を破壊する可能性はなくなったと、したがって文民統制の考え方は、軍隊からの安全という機能はもちろん堅持するが、軍隊を活用した安全が重要になっていると。こういう考え方を打ち出しました。

また、総理大臣をどのように補佐するか。補佐官を政治任用で任命する、高度の軍事知識をもった人間を補佐官に任用すると言っています。おそらく現職自衛官または退職自衛官を任用する含みだと思います。そして防衛省の司令塔機能を強化する。この報告書に言う文民統制というのは、国民が防衛政策を統制することだと、ここらへんまではいいですよ。しかしこれは、国会が内閣総理大臣を指名する、その内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持つとともに、防衛大臣を任命する、このことが文民統制の根幹だと限定しております。

この報告書は五百旗頭防衛大学学長が主に執筆されたということですが、この案は現行の内部部局と統幕・陸幕・海幕・空幕の組織は基本的に存続させながら、まず内局の、防衛大臣の最高補佐機関の防衛参事官制度というものを廃止したわけです。50数年来、防衛に関する基本政策・方針を決定する防衛参事官は現在8名、一時は10名おりました。これは防衛省だけではなくて他の省庁からも参加して、自衛隊が勝手な行動をしないように抑制する、戦前の日本軍部の台頭の厳しい反省の上に立った制度であります。しかしこれを廃止して、その代りに防衛大臣補佐官を任用で任命する。それから防衛会議というのをつくって、そこに幕僚長4名を入れた防衛会議でこれを補佐する。というふうに、幕僚長の地位を、大臣を補佐する段階に格上げするわけです。

防衛政策局というナンバーワンの局長は文官にしておくけれども、次長・課長に現職の自衛官を入れる。統合幕僚監部の副長以下に文官を入れて、そのかわり本来統幕を統制すべき防衛省の運用企画局を廃止する。部隊の運用は全部、制服の統幕に任す。これは大きな問題だと思いますね。そして兵器の整備、装備については、内局と幕僚部を包括した整備部門をつくる。火事場泥棒とある人が称しましたが、不祥事をなくすためと称して、それに便乗して、制服組の発言力強化をはかるというのが「防衛省改革報告書」の狙いであります。

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2008/08/09

自衛隊の変貌を見る⑤

○平和的生存権はふところが深く広い

3点は、平和的生存権に関する非常にふところの深い判決の説示であります。ふところの深いと申しますのは、「等」という言葉が非常にたくさんあるんですね。例えば「戦争の準備行為等」ということになりますと、準備行為の準備行為も入って来るのかなあと思いますし、これはもう今後の、平和運動を現実にやっておられて、その中で憲法を使おうと考えておられる方々、なにか根拠はないかと思っている方々、ずいぶん使えるんじゃないかと。これとこれを使ったらどうかというのがいっぱい出てくるような感じが、じつはしているわけです。

これを用いて、いまの日米同盟の変革・再編についての違憲性をついていったらどうなのかと。日米同盟の変革・再編というものがいまの自衛隊の変貌の根源であります。これは亡くなられた松尾高志さんが御著「同盟変革」のなかで解明されたことでした。アメリカ軍は911以後の対テロ戦争、テロリスト・ネットワークを軍事力を含めて打破するという、世界史上いまだかつてない横暴かつ傲慢というべきか、残酷なる戦争をいまやっている。しかも世界規模でやろうとしている。イラクの次はアフガニスタンだ、イランだと。

これをなんら批判することなく日本政府は、05229日の「共通の戦略目標」でアメリカと共にテロリストを敵とする戦略に合意した。051029日にはアメリカと日本の軍隊の役割・任務・能力を分担を決めて、それから米軍基地の再編の具体像を決める。0661日にはそのロードマップで、2014年を期限とする。0751日には実施状況をチェックする。こういう4つの日米同盟の文書は、わが国の主権国家としての誇りにかけて、しかも憲法の条項と精神にかけて、憲法違反の廃棄宣言をするに値する文書だと思います。まず、主権在民の日本国憲法に反する。正式案件で議題にしていないから、国会の最高機関という議会制民主主義に反する。もちろん憲法9条の平和主義に反する。それから日本国民の基本的人権を侵す。地方自治を侵す。という5点において、究明すべき問題だと思っております。

米軍基地の兵力の再編・強化の問題と同時に、後でお話しする米軍・自衛隊の一体化、外征軍への変質という2つの問題がこの日米同盟から出てくる。これを憲法違反の問題に結びつけて、いま全国に巻き起こっている7000を超える「9条の会」の力、運動と、沖縄・座間・相模原・岩国・横須賀等々で盛り上がっている基地反対闘争というものと結びつける設定は、この名古屋高裁の判決の憲法の論理なのではなかろうかと。こういうふうに思っております。

4点目の活用は具体的な、身近な問題です。つまり原子力空母の母港化による国民の生命への危険、それから乗組員5000人が常時基地周辺にたむろすることによる犯罪の問題、これと平和的生存権との関係はどうなのか。平和的生存権はもとより、横田・厚木の爆音訴訟の問題です。最近、自衛隊の武装した部隊が銃をもって市街地に出てきました。迷彩服で銃を持って、場合によっては装甲車を従えて市街地を行軍する訓練をしています。自衛隊の適令者である子どもたちに対する調査・協力を学校ないし役場に求めるとか、もっと露骨に、適令者の子どもさんまたは親御さんにダイレクトメールで応募するように求めていく。最近は自衛隊の兵器展示等の機会にこれを子どもにさわらせる。制服を試着させる自衛館というのが渋谷に開館しました。それから情報保全隊の活動があります。こういうものはまさに、戦争準備のための活動です。これに対抗するために平和的生存権を活用していくことができるのではないか。

最後の第5点は、そういう基地の再編、訓練の強化、自衛隊の露骨な行動というものが頻発するに従いまして、アメリカ追随の中央政府でなく、地方自治体が住民の盾になっていただきたい、という要望が非常に強くなっている。この際、地方自治体の首長さん、あるいは議員さん、あるいは職員さんにこの判決をお読みいただいてですね、地方住民の平和的生存権を守るという観点がまさに地方自治体の果たすべき責務であると。したがってより確信を持って、ただ住民の生活・福祉を守るというに留まらず、平和的生存権を守ることは高裁判決でも定められた我等の責務であるという自覚をもって対抗していただくことを期待するのであります。もちろん単に期待するのみではいけないので、住民の側が積極的に判決を地方自治体の方にご説明し、ことあるごとにお話しをして、ご協力をいただくということが必要ではないかと思います。

最後に申しますが、この判決の中身を矮小化してですね、ここまでしか認めていない、ここまでしか言っていないと、あまり位置づけを早くしないで、無限にゴム風船のようにふくらんでいく可能性がある、柔軟なものであるということから、これを研究し、これを使っていく必要があるだろうと思っております。

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2008/08/08

自衛隊の変貌を見る④

○派兵恒久法を阻止するために

 活用の第2点は、派兵恒久法を阻止するうえでの非常に強い論拠が加わったということです。恒久法については私は日本平和委員会の機関誌「平和運動」の本年2月号に、問題点を指摘しておきました。

 福田総理などは一般法と呼びますが、恒久法の名で運動のなかに広がっている。面白いことに恒久法というのは、法案がいま決まっているわけではないんです。法案は決まっていないけれども、反対運動は平和勢力を中心に非常に広がりを見せてきている。日本平和委員会事務局長の言葉を借りて言うと「先制攻撃」、我々が攻勢をかけているというのが、今の政治情勢であるわけであります。

 ただし法案はないけれども叩き台はあります。石破茂さんが自民党国防部会の防衛政策小委員長のとき、068月に作成した。彼はかなりの専門家ですから、自分で鉛筆握って書いたと思いますが。これが石破試案であります。全文は60か条、うち23か条は船舶検査に関するものです。