読む・読もう・読めば2 小児科医を救え
病院で働く小児科医は疲れている。平均でも、週60時間以上の勤務、完全休日は月2回以下、1日の睡眠時間は6時間未満。月5回の当直の仮眠時間は限りなくゼロに近く、当直明けの日も通常の日勤。このような環境では女性医師は子育てをしながら勤務を続けることは難しい。しかも一般の公務員と同じ給与体系でサービス残業が長いから、計算すると時給1500円、それ以下の人もあるという。
小児科は現在の診療費では必然的に赤字になるので、小児科を廃止する病院が多い。都内では1990年から98年までに57病院で小児科がなくなった。若くして病院を出て開業する傾向も強まっている。病院はさらに疲弊する。医師に論文を書くヒマがなくなれば、小児医学も衰退するだろう。
という現実を、どれだけの人が知っているだろうか。疲れきった医師に子供の治療を任せて大丈夫だろうか。私たちは、医療の現場で起こっていることを、あまりに知らないのではないか。
難病の子を持つ編集者、堀切和雅さんは小さな出版社を興し、5人の小児科医へのインタビューと、4人の小児科医からのメールをもとに、『小児科を救え!』という本をまとめた。上に引いたのはその内容の一端だ。共著者となった研修医の千葉智子さんは、小児科医だった父を過労自殺で失っている。それでも小児科医になる千葉さんに拍手を送りたいが、「あとがき」を書くヒマもないというのが切ない。
編集:ユビキタ・スタジオ、発売:KTC中央出版、定価1800円+税。
(大内要三・2007年2月28日)
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