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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2007/04/18

自衛隊は何を考えているか⑥小西 誠

◎ 戦争に耐えられない社会

Konishi003 時間が来ましたので結論をお話ししなければいけませんが、私はこのホットラインをやっていて、かつこの間、イラク反戦運動をずっと考えてみまして、ひとつの結論に達しつつあるんです。この本の中でも最終章に、「憲法9条の軍事的意義」という大げさなタイトルをつけました。憲法第9条の軍事的意義とは、現実的意義ということです。

先ほど隊員の家族という問題を挙げました。これはアメリカの場合は典型的でした。反戦運動は退役軍人や家族が中心になっているんですね。つまりベトナム戦争と比較しますと、イラク反戦運動のなかで家族が中心ということですね。相当、反戦運動の軸が変わった。ロシアのチェチェン紛争も延々と続いておりますけれども、ロシアの母親たちが、やっぱり反戦運動の軸になっているんですね。

何故なのか、これは簡単なんです、やっぱり少子化社会なんです。先進国では子供は一人、せいぜい二人ですよね。この子供が、徴兵であれ志願であれ、軍隊に入って戦争で死ぬ。それはやっぱり、親にとっては絶対に認められないことです。そんな、死ぬぐらいだったら刑務所に入ってほうがいい、というぐらいだと思うんですよ。そういう状況になっている。先進国はもちろん先進国以外も、戦争に耐えられないような社会になっている。それが現実ではないかと思います。

◎ 一問一答

――ミクシィには、どういうカテゴリーで掲載されているんですか。キーワードは。

*いや、もう何でもいいんです。「自衛隊」とかで検索すれば、もうサイトがいっぱい出てきます。

――退職制限があるということですけど、辞めるのは難しいんですか。

*結論から言いますと、上官の管理責任が問われるんです。普通は任期制なんですね。陸上なら2年、海上だったら3年という。継続はできるわけですけれども、任期期間はいちおう、退職させないことになっている。でも3曹以上は任期はないわけですから、辞めようと思えばいつでも辞められる。これを引き留めて、なかなか辞めさせない。法律的には何もありません。

――退職の強要というのは。

*少数ですが、退職の強要、気にくわなければ辞めろというのがあります。幹部候補生学校で裁判になったケースは、一般の大学出の隊員に対して、防衛学校出のエリート幹部候補生がリンチを執拗に加えて、殺すというので、辞めさせられたというものですね。上官の退職強要もときどきあります。

――パソコンや携帯のチェックはやっていないんですか。

*携帯のチェックはまだやっていません。郵便の場合は来たら全部チェックされます、中までは開けませんけれども、誰から来たかは記録にとる。問題はパソコンですね。ノートパソコンの持ち込みは構わないわけですけれども、実際には外出先から、あるいは自宅からの連絡が多いですね。

――自衛隊を辞めたいがどうしたらいいか、という相談を受けて困ったことがあります。どういうふうにお答えしたらいいんでしょうか。

*自衛隊法の40条で、任務中は辞められないことになっていますが、それは建前上のことで、本当は民間会社と同じように、1ヶ月前に退職願を出せば辞められるんです。アドバイスするのは、まず正式な退職願を書きなさいということです。書式は防衛庁のホームページに出ています。普通の便箋に書いてもいいんですけれども。これを提出すれば、法的な手続が始まります。口頭では手続をなかなか開始しないで、逆に説得にかかってきます。正式な退職願を出しても応じないときには、弁護士とかに相談することになりますね。

――小西さんが自衛隊に入ろうと思われたきっかけには、なにか小さいころの体験などがあったのですか。

*私のところでは太平洋戦争では死んでいないんです。父親は、徴兵のとき醤油を飲んで行かなかったと自慢していたくらいで。母親の父は明治以来の兵士でしたから、小さいころから軍歌を聴いて育ったんです。それで私は少年自衛官に入ったわけですけれども、15歳ですが、最初から職業軍人なんですね。自衛隊を一生の仕事にしようと思って入った。父親はいちおう反対したんですが。どうして自衛隊の中で反戦ビラを撒いたのかということがあるんですが、直接には70年安保で治安出動の態勢に自衛隊が初めて入って、私のいた佐渡島の自衛隊でもその訓練が始まったということがあるんですが、その背景にあるのは、やっぱり人権とか平和とか、という問題を考え始めていた。当時、法政大学の通信教育を受けていたものですから、その中でも労働問題とか階級の問題とかを考え始めて。なぜ自衛隊に入ったかといえば、高校に行けなかったからですね、貧乏で。田舎ですから、高校進学率は3分の1くらいでしたね。自衛隊に行けば高卒の資格もくれる、将来は幹部の道もあると、そういう方向を選んだんですけれども。自衛隊に入って、今度は国民の鎮圧の側に回る、そういう自分のありかたを意識し始めたということです。簡単に言うのはちょっと難しいんですが。

――自衛隊の配備が南西重視に変わっているということですが、これはアメリカの指示ですよね。日本の防衛大臣が独自に考えたのではなくて。

*基本的にはアメリカの戦略だと思うんですが、日本の自衛隊としましても、冷戦が崩壊して敵がいなくなってしまったわけです。北朝鮮脅威論も90年代初めに出ましたけれども、燃料はないし戦闘機は古いし、日本に来る力もないでしょう。巨大な自衛隊の陸海空戦力と比べれば問題外の戦力なわけですよね。ですから中国脅威論なんですね。南西重視は簡単に言えば中国脅威論です。自衛隊の作戦計画でも、尖閣諸島を中国が占拠したとか、台湾海峡を中国が封鎖するとか、そういう話が出てきますから。公式には海上交通ルートを確保すると言っていますが。防衛白書を読んでみると、なんでも脅威になってしまう。ですから、アメリカのアジア戦略でもありますけれども、敵をなくしてしまった自衛隊の、敵をつくるための戦略でもあるんです。

――北朝鮮を自衛隊はまったく気にしていないんですか。

*テポドンの脅威だけを、異常に強調していますね。もう一つは、北朝鮮の特殊部隊、コマンド部隊が破壊活動をすると宣伝しています。弾道ミサイル防衛体制網も、つい先週ですか、配備されています。あんなものは意味がないでしょうけど。もちろん防衛白書では北朝鮮の大量破壊兵器、テロの脅威を強調しています。

――沖縄で小学生に暴行した米軍兵士の事件は、その後どうなったか、情報公開で分かりますか。

*刑務所から出て、除隊して、アメリカ国内に住んでいるという報道を見たことがあります。もう普通の生活をしているという。米軍の情報公開でやるしかないでしょうね。

――自衛隊員は普段は何をしているんですか。

*普段はヒマなんです。駆け足をしたり体操をしたり、時にはソフトボールをしたり。でも、ときどき演習がありますから、その演習に向かった基礎訓練をやっています。でも、世の中の職業の中では、たぶんいちばんヒマですね。忙しいのは海外出動している部隊だけです。

――自衛隊は脅威がなくなると困るというのは、隊員が失業するからでしょうか。

*脅威論を制服組のトップレベルが打ち出したのは、自らの職を確保したいからです。しかしこの間のテロ脅威論なんかを見ますと、自衛隊制服組を超えて、政府、日本の支配層の意思という感じがします。実際に脅威があるかといえば、日本に対するテロ脅威はほとんどないと思いますね。政府の文書を見ましても、ゼロに近いと書いてあるんですよ。でも例えば旅館業法を改悪して、外国人の名簿をチェックするとか、あるいは一定のエリアを確保して、そこに対しては出入りを禁止する、国会周辺だとか。重点警備地区ですね。そういういろんな法律が予定されておりますけれども、恐怖をあおっている。日本社会の排外的なあおり方とテロ脅威論のあおり方とは、重なっているでしょう、治安体制として。

――ホットラインからの派遣の形で行かれた、在イラク自衛隊監視センターの渡辺修孝さんの活動の成果を、いまどうごらんになっていますか。

*行って2ヶ月もしないうちに拘束されたので、成果と言えるほどのこともないわけです。自衛隊がサマワに行って、渡辺君が行って、活動を始めようとしたところで拘束されてしまった。その後も行く準備はしましたけれども、いまは入れませんから。当面は無理ですね。

――陸自がイラクで、いかに何もしなかったかが問題ですが、それよりも空自が何をしているのか全く分からないのは危険なことだと思います。

*私も情報公開を要求しましたけれども、表紙みたいなのがあって、中は20ページくらい、全部真っ黒でした。それが自衛隊の方針ですね。情報公開法でやりますと面白いんですけれども、マル秘文書なんかもけっこう出て来るんですよ、マル秘を止めた形で。でも航空自衛隊の活動だけは一切出さないですね。

――アメリカのイラク戦争の目的は石油のためだと言われますけれども。

*そのへんは中東の専門家にお聞きになったほうがいいと思いますけれども、アメリカはイラクの石油は100パーセント握っているでしょう。

*一点だけ追加でお話しします。自民党は改憲案を出しましたけども、その中に軍事裁判所の設置という中身が出ています。新聞報道がほとんどされていないものですから、私はここで強調しておきたい。正確には自民党改憲案のなかに、こういうふうに書いてあるんですね。「軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。」これが763項です。軍事裁判所を設置するとは、非常に古めかしいことを言ってきているわけですけれども、これは現行憲法体制と完全に矛盾するわけですね。日本国憲法では特別裁判所を設置できないことになっていますから。

 自民党の憲法改定案が出てくる前後あたりから自衛隊の中で、軍法会議を作れという声が、どっと出てきました。単に軍事裁判所だけではなくて、軍法会議、軍刑法、軍事拘留施設、これをワンセットで作れという要求です。軍法会議だけでは機能しませんから。もちろん今は自衛隊は軍法会議がないし、拘留施設はないわけです。私は自衛隊法64条違反で初めて逮捕されました。自衛隊の警務隊に逮捕されるんですけれども、自衛隊には拘留施設がありませんから、一般の刑務所の中にある拘置所に入れられて、そこに警務隊が取り調べに来たわけです。裁判も一般の裁判所で公開の法廷です。自衛隊を作った占領軍の幕僚のひとりにコワルスキー大佐がいますが、彼の著書『日本再軍備』の中で、自衛隊に軍法会議、特別の軍刑法がないということは、大きな役目を果たしていると書いています。要するに歯止めなんですね。それを自衛隊の中で、自民党の改憲案に合わせて作れという動きが出てきています。

そして罰則を強化する。例えば防衛出動下の逃亡はいま7年以下の懲役ですけれども、死刑にする。それから量刑の範囲を広げる。自衛隊には量刑が9項目ぐらいしかないけれども、米軍や旧日本軍は780項目あるから、それぐらいの範囲を作れと。自民党の改憲案に合わせてそういう動きが具体的に出てきているということですね。

ただその最大の矛盾は、そうやって強化された、軍法会議のあるような自衛隊、そんなところに誰が入るのか、ということです。これが最大の難問なんですけどね。

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