自衛隊は何を考えているか⑤小西 誠
◎ 南西重視の部隊配置へ
自衛隊の再編という問題で2つ目の重要なポイントですが、もともと自衛隊は北方重視戦略でした。旧ソ連を対象にした北方重視戦略として、北海道を重点に配備したわけですけれども、これは現在、北方重視から南西重視に変わっている。沖縄重視ということです。新野外令で離島防衛作戦というのが出てきたからです。
離島防衛作戦というのは、離島を防衛したり、離島を占拠した中国軍からそれを奪回する作戦、上陸作戦です。新野外令の中で初めて上陸作戦という概念が出てきたんですね。今までは、対着上陸作戦、向こうが攻めてきたときにそれを守るためにどうやるかということが、野外令の記述だったんです。九州の西部方面隊の特殊部隊、西部方面隊普通科連隊が正式名称で、長官直属の部隊、長崎県の相浦市にあります。この600何名かの自衛隊初めての普通科部隊は、離島防衛のための部隊として創設されていますが、この部隊が去年のはじめでしたか、アメリカの海兵隊と、アメリカの西海岸で上陸作戦訓練をやって話題になりました。
自衛隊が北方重視から南西重視に入るという大きな転換は現在、新中期業務計画なんかでも進行中です。沖縄にはいま陸上自衛隊の場合は第一混成団という、非常に小さな部隊がいるだけですけれども、これを旅団に昇格する。沖縄の航空部隊はF4部隊ですが、この部隊を百里基地にもっていって、百里基地の最新鋭のF15を沖縄に持って行く。百里の航空自衛隊は古い戦闘機でいいということになるわけですけれども。こういうことがすでに始まっています。
沖縄重視、南西重視というのは、中国に対する脅威論に基づく対中国戦略ということです。アメリカの去年のQDR(4年ごとの防衛見直し)の中でも、中国を戦略的な対象に位置づけるという記述がなされておりましたけれども、そのはるか前から対中国戦略の一環として沖縄重視戦略がすでに発動されているということだと思います。
いま挙げたような中身は、敢えて言いますと「自衛隊のトランスフォーメーション」です。米軍のトランスフォーメーションというのは新聞に報道されて、沖縄の海兵隊がグアムに移転するとか、分かりやすいですけれども、自衛隊のトランスフォーメーションは非常に分かりにくいですね。
防衛庁内部に「防衛力のありかた検討会議」というのがあるんですが、この報告書が新防衛大綱の原案になったと言われています。自衛隊のトランスフォーメーションを具体的に、こういうふうに言っております。「一言で言ってこの自衛隊の大再編というのは、対機甲戦から対人戦闘への防衛力設定の重点シフトへと、部隊配備を転換させる」。言い換えれば、「陸自の師団、旅団を普通科部隊等に重点を置いた、低強度紛争に充分対処しうる設計、LICタイプの即応集団とする」。つまり米軍がLIC、低強度紛争という概念を80年代から展開して、ソ連・冷戦崩壊後の世界戦略としてきたわけですけれども、その低強度紛争に対応する部隊に転換するということですね。
中央即応集団、CRFと言っていますけれども、すでに相模原に配置されています。沖縄での作戦には緊急投入される部隊になりますし、また海外派兵の専門部隊でもあるということになります。大事なことは、安保との連動ということになりますね。そういう段階になってきていると思っております。
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