日米同盟の近未来④ 松尾高志
●共通戦略目標
Ⅱの「共通戦略目標」のところですけれども、国・地域がずっと並んでおります。朝鮮半島、中国、APEC、ASEAN、オーストラリア、アフガニスタン、それからイラク、イラン、NATO。この範囲についてお互いに日米の間で戦略を一致させていきましょう、というこことの合意です。
ここには北朝鮮とか中国とか、イランのように、まあ多少警戒的に見ていきましょうね、という所についてどう共同行動をしていくかというのと同時に、抱き込んでいくと言いますか、巻き込んでいくものとしてAPEC、ASEAN、インドがある。それから、もっと軍事的な関係を強化するものとして、オーストラリアとNATOが挙げられているわけです。共に戦っている場所としてはイラクとアフガニスタンが記述されている。
安倍内閣が進めている、日本外交の新機軸というふうに言っているのは、「自由と繁栄の弧」構想ですね、麻生外務大臣が提唱しております。朝鮮半島からヨーロッパに続くユーラシア大陸を弧状に取り囲んでいる、それらの地域に自由と繁栄をもたらす、そういう働きかけを日本外交としていくんだという外交構想です。これを実行するために、西の端であるNATOと軍事的な協力関係を強めていく。東の端にあるオーストラリアとも軍事的な同盟を強くしていく。日米でこの間のところを共同対処しましょう、というふうにしたわけです。安倍首相今年の4月までアメリカに行きませんでしたが、実はNATOへ行ったり、オーストラリアと日豪安保共同宣言を出したりしたのは、日米の共通戦略目標に沿ったものであるわけです。
「自由と繁栄の弧」という地域ですが、これは実はアメリカが「不安定の弧」と呼んでいる地域とだぶります。同じ地域を、アメリカはここで何かが起きる、要警戒地域としている。日本はこの地域を、日本の外交努力で、援助を含めた努力によって安定、繁栄させて民主化する。そういう意味で「不安定の弧」と「自由と繁栄の弧」は、裏表の関係にある。分業でもってやりましょうということになろうかと思います。
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