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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2007年9月

2007/09/28

読む・読もう・読めば 16 バトンタッチ

福田新首相は、どのように安倍前首相の後をフォローしていくのだろうか。ひとつの前例がある。

2002513日、安倍官房副長官(当時)は早稲田大学で講演した際、質問に答えて、憲法上は日本は核兵器を持つことも使うこともできる、大陸間弾道弾(を落とすミサイルと言ったつもりだったようだが)も、と語った。これが62日付『サンデー毎日』に報道されて問題になっていたとき、福田官房長官(当時)は記者会見後の懇談の席で、核兵器は「憲法上もしくは法理論的には持ってはいけないと書いてはいない、最近は憲法も改正しようというぐらいになっているから、国際情勢や、国民が持つべきだということになれば非核三原則も変わることになるかもしれない」と語り、ニューヨーク・タイムスにまで報道されてしまった。福田氏は「安倍のガキがこんなとき(有事対処3法案の国会審議が始まったばかりのとき)に」と苦々しく思ったかもしれないが、立派にフォローしたつもりで、言い過ぎてしまったのだ。

日本国憲法は自衛のための実力保持を禁止していないから、その範囲内であれば核保有も核使用も違憲ではない、というのが岸内閣以来の政府公式見解であるのは事実だ。そして佐藤内閣以来、非核三原則は「国是」であって、核拡散防止条約を批准しているのも事実だ。だから日本は核兵器を「持てる」が、あえて「持たない」政策を採っている、ということになる。しかし政策は時代により状況により変わる。

だからこそ国会では首相が替わるたびに「非核三原則を堅持するか」と新首相に質問することが繰り返されてきたし、米国との間で有事核持ち込み密約があることが米国側から明らかにされているにもかかわらず、新首相が「堅持する」と答えることが慣例化してきた。この儀式の空しさは、核武装論者も核廃絶論者もひとしく感じるところだ。どちらの方向に踏み込むかで言えば、安倍氏も福田氏も同じと思わせるフォローのしかたが、少なくとも2002年に1件あった、ということは記憶しておこう。同年610日の国会議事録を読み解くと、両氏ともに「ボクは間違ったことは言ってない、マスコミが悪い」というような答弁をしているのだが。         (大内要三 2007928日)

2007/09/18

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告11

「京都訴訟 控訴審」で証人しらべへ

11日に大阪高裁で控訴審が行われました。

出口弁護団長は「父は敗戦直前に出航がストップとなり、死なずにすんだが、おじは戦後、精神に異状をきたした。東京空襲、広島の原爆の写真が戦争を表している。だからこそ日本国憲法ができたのではないのか。今、イラクは全土が戦場である。米軍の爆撃は日本の空襲と同じである。空襲は無辜の殺傷であり、空自は、その米軍の共犯者となっている。ブッシュのイラク戦争は現代社会の原罪であり、私たちの良心のうずきとなっている。憲法にも、イラク特措法にもたがうイラク派兵という政府の暴走に、司法が司法あらしめるためにも憲法違反と認め、差し止められなければならない」。

弁護団はパワーポイントで映像を示しながら主張を展開しました。

第1 はじめに/ 第2 イラクをめぐる実情/第3 イラクにおける自衛隊の活動実態/第 4まとめ――でした。

その大まかな内容は、米軍の残虐行為として劣化ウラン弾の使用とその影響。クラスター爆弾、白燐弾の使用。ファルージャの虐殺。アルグレイブ刑務所での虐待。イラク国民の犠牲。米兵の死傷者。陸上自衛隊の給水活動の非貢献性。陸自の重装備。インド洋での海上自衛隊の給油の8割5分はイラク攻撃の給油。航空自衛隊の活動は米軍イラク攻撃の兵站活動そのもの。自衛隊の活動は米軍のイラク戦争イラク攻撃に加担しており、9条違反であり、即時撤退を求める――というものでした。 

控訴人の岩井忠熊(立命館大学名誉教授・日本近代史)さんは「日本は台湾出兵から太平洋戦争まで、15回にわたる出兵をしている。これは5年強に1度の出兵(戦争)であり、海外からの侵攻は1度もなかった(米軍の反撃はあったが)。今回のイラク派兵が日本の海外派兵の蟻の一穴となることを恐れる。歴史研究者として、若者に歴史の教訓を伝えてきた。裁判官の皆様は憲法の平和主義にのっとって自衛隊のイラク派遣を差止る判決を求める」と、述べました。

井坂洋子さんは「夫の父親が学徒動員で、広島で被爆している。被爆者の多くは、何年たってもその苦しみから逃れられないという。日本軍は何をしたのか、と韓国のカッコ『ナノムの家』を尋ね、毎日毎日レイプされ続けたパク・オクスンさん(81歳)の話を聞いた。イラクでは毎日、子どもたちが傷つけられ、殺されている。“子どもたちのピースフェスタ”で子どもが『おばちゃん、戦争どうやったらなくせる』と聞いてきた。この戦争をやめさせることは大人の責任です」と訴えました。

佐藤佳久さんは「言うまでもなく戦争は決して自然現象ではありません。権力者が政治的意図をもって始めるものであり、その本 当の意図を隠すために、彼らは戦争がいかに「正義であるか」を宣伝し、人心を引きつけ、戦争に引き込んで行きます。その過程で戦争勢力は必ず戦争反対を唱える抵抗勢力の言論・表現の自由を抑圧し、謀略や弾圧によって圧殺しようとしてきたことは、歴史が証明しています。……私は恒久平和を誓った日本国憲法を踏みにじる政府の軍事行動を絶対に容認することはできません。一刻も早く自衛隊をイラクから全面的に撤退させるよう強く求めます」。 (陳述書の9行転記)

休廷後の法廷で裁判長が上田勝美(龍谷大学名誉教授)さんを証人採用して法廷は終了しました。

次回の控訴審は11月6日(火)午前10時から大阪高裁202法廷で行われます。

●「イラク自衛隊派兵違憲裁判の会・静岡」「イラク派兵違憲訴訟の会・東京」の両会は解散しました。2007.9.18 杉山 隆保)

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告10

原告11人が意見陳述  「熊本訴訟」

10日に開かれた「熊本訴訟」では、6月の証人調べ(「定点報告 8」参照)に続いて予定していた原告11人全員の意見陳述を勝ち取ることができました。

原告らは、さまざまな角度から自衛隊のイラク派兵によって被った被害や自分の訴訟への関わりを具体的に述べました。

Aさんは情報保全隊の調査リストに実名が掲載されていたのですが、そのことについてリアルに証言しました。

香田証生さんのご両親が通われている直方教会の本多牧師は、香田さんの事件発生からずっとご両親に寄り添ってきたこと。ご両親がメディアスクラムや権力による包囲、右翼勢力による電話を通じたバッシングの中で本音を語ることも出来なかった現実を語りました。

本多さんは香田さんが人質に取られたことに対して、「小泉純一郎首相(当時)が『テロには屈しない』という発言したことは証生君の死刑宣告に聞こえた」と陳述しました。

そのほか、自衛隊員と一緒に生活する地域に居住する方や、戦前から教師をされ、教え子を戦場に送った元教師の方、真宗教団で戦争責任を追及されている僧侶、旧満州で敗戦を迎え祖国に見捨てられた方などがさまざま角度から「平和的生存権」について陳述しました。被告側も居眠りすることなく神妙な面持ちで証言に耳を傾けていました。

これで「熊本訴訟」は11月30日の結審を迎えることとなります。(2007.9.18 杉山 隆保)

2007/09/14

福田さんのこと

読む・読もう・読めば

15

次の総理大臣に就任することが確実とみられる福田康夫氏は、どのような政治信条を持つ人なのだろうか。国会図書館のデータを検索してみると、同氏の著書はなく(談話を収めた共著書が2冊あるが)、同氏について書かれた書籍もない。安倍晋三氏や小沢一郎氏に比べるとえらい違いだ。福田氏は森・小泉両首相のもと1289日におよぶ官房長官在任は歴代トップの長期に及ぶが、20045月に年金未収で辞任して以後は表に出てくることは何もなかった。では、というのでご本人のホームページを見ても、トピックスはなんと200510月で更新が止まっている。サービス精神の皆無の人のままであるようだ。

本来、国政でいえば官房長官型の人であって、首相型の人ではなかった。労働組合でいえば書記長型であって委員長型ではない。その人が71歳にいたって、66歳の麻生太郎氏を抑えて首相になるという。危機管理内閣とはこういうことか。無惨というほかはない。というわけで読むべきものがないからにはこのコラムでも書くべきことはない

(大内要三 2007914日)

2007/09/12

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告9

「北海道訴訟」「関西訴訟」(控訴審)が結審

裁判所の夏休みも終わり、審理再開と考えていましたら「自衛隊イラク派兵差止・北海道訴訟」。控訴審を闘っていた「自衛隊のイラク派兵差止裁判をすすめる関西訴訟」と立て続けに結審となってしまいました。

「北海道訴訟」の審理は9月3日で終了しました。2004年1月提訴以来18回の口頭弁論、4回の進行協議期が行われました。意見陳述をした原告はのべ20人に上りそのうちの8回は箕輪登さんでした。

弁護団は主張を概ね尽くしたと捉えています。一方、裁判所が「結審」を宣告で示していませんでしたので特別な「結審弁論」を行なえませんでした。判決は11月19日(月)午後1時10分に言い渡されます。この訴訟の締めくくりとして11月10日(土)に市民集会を行なうことを決めています。

「関西訴訟」は5日、控訴審・第4回口頭弁論で「結審」しました。この日の口頭弁論は、木津川計さん、ハッサンさん、西谷文和さんら7名の原告が意見陳述を行いました。西谷さんの陳述はDVDの一部をそのまま上映するという形でした。短時間ではありましたが、「関西訴訟」ではじめての上映となり、同様のものを見たことがないであろう裁判官にはインパクトがあったのではないかと思われます。

弁護団からは副団長の石田弁護士、団長の辻弁護士が弁論に立ち、力のこもった、大変感動的な最終弁論を展開しました。名古屋訴訟の平山良平さん。通称ゼニカネ訴訟の川村賢市さんが傍聴から報告集会まで参加していました。

報告集会では、6月に熊本訴訟で証人に立たれ、来月は名古屋の控訴審で証言される小林武・愛知大学大学院教授が昨今の政治・社会情勢、憲法をめぐる情勢などと合わせて、9条と平和的生存権について講演しました。判決は12月26日(水)午前11時に言い渡されます2007.9 杉山 隆保

2007/09/09

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告8

平和的生存権について明確な証言

「自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本」第

9回口頭弁論

6月18日、熊本地裁でイラク派兵違憲訴訟第9回口頭弁論がありました。この日の弁論は小林武・愛知大学大学院教授の証人調べでした。

小林証人の証言は格調高く、聞くものの胸を打つすばらしいものでした。最後のところでは裁判官を諭すように「あなた達は一人ではないよ、国民が支持しているから勇気をふるって違憲立法審査権に踏み込みなさい。それこそが憲法が司法に求めていることだよ」と訴えました。

尋問に入る前に亀川裁判長が1次、2次提訴原告とともに4月20日に提訴した第3次原告も併合とすると述べました。これで熊本訴訟は1つの事件となりました。

証人尋問は加藤弁護団長が証人の経歴などを尋ねることから始まりました。証人はもっとも印象に残る裁判としては「エホバの証人関係者の剣道実技拒否事件」で最高裁判決に影響する意見書を提出したことであると述べました。

証人の専門分野である憲法の「平和的生存権」についてと質問は続き、証人は平和的生存権の裁判規範性について、前文は憲法の一部です、前文の改正は96条によらなければなりません。前文それだけを取り上げて裁判規範性があるというのはかなり微妙ですが、本文中の部分と分かちがたく結びついたものだけ規範性を持ちます。9条がまさにそうです。と、述べました。

また日本国憲法がいう平和とは具体的であり、平和のうちに生存する権利は9条によって定義付けられています。公権力が戦争をせず、武力による威嚇をせず、戦力を持たす、武力行使をしない日本に生きる権利です。と、証言しました。

原告の平和的生存権が侵害されているかという問いに、自衛隊イラク派遣は単なる9条違反ではない。『専守防衛』の自衛隊法に違反し、「イラク特措法」にも違反しています。法治主義から説明しづらい状況です。と証言しました。

情報保全隊の国民監視活動について代理人が、「ここ熊本でもこの訴訟の原告41番のAさんが事務局長を務める<戦争を許さない県民連絡会>などの団体が監視対象になっていますが」と尋ねたのに対しては、

この報道を慄然とする思いで聞きました。背筋が寒くなったと述べ、自衛隊法にいう治安出動下令前の情報収集に当たりません。国家の機関が法的規範なしに活動している。私達の平和的生存権が完全に侵害されているのです。と、批判しました。

次に川口創弁護士(名古屋訴訟・弁護団事務局長)の質問に、「名古屋訴訟の田近判決(定点報告 2-①を参照)は、平和的生存権と人格権の成立可能性を述べています。平和的生存権は第3章の人権規定と結びつくことがあれば裁判規範性があります」と答えました。

続けて、イラクでもっとも治安が悪いのがバクダッドです。陸上自衛隊もサマワにとどまり、航空自衛隊もこれまでバクダッドは避けてきました。それはバクダッドが戦闘地域中の戦闘地域であるからです。国民に情報が伝えられていないことは重大です。私達は主権者です。国会にさえも真実を明らかにしていません。この様なことは許せません。米軍もバクダッドをコンバットゾ-ンに指定しています。(イラクでの)自衛隊の活動は憲法・自衛隊法だけでなく「イラク特措法」にも違反しています。自衛隊イラク派遣は憲法違反であり、差し止め請求ができる、と主張しました。

板井駿介弁護士が質問の質問に対して、「戦争も武力行使もしない日本に穏やかに生きる権利が人格権です。憲法13条と結びつきます。平和のうちに穏やかに生きる権利ということもできます」と人格権について証言を重ねました。

次に原告それぞれの陳述書を読んで抱いた感想を求められて、「陳述書を読むことはしんどかったです。戦争の残した傷跡、その苦労を背負って憲法にであったという思いは共通しています。どの原告にも適格性はあるのですと、NGさん、FJさん、HRさん,MYさんらの個々のケースを紹介し、それぞれ原告について「適格性」を十分に有している」と述べました。

さらにイラクの現地調査の必要性について言及しました。また、甲府地裁判決で示された「間接民主主義万能論」については、民主主義を多数決民主主義と勘違いしており、立憲民主主義に立つべきであり、裁判所としての役割を自ら放棄している。と、批判しました。

代理人に判決理由に憲法判断を示すことについて尋ねられると、「福岡靖国訴訟や大阪高裁判決の例にふれ、この手法は有益であり、必要なものです。日本の裁判所はもっと憲法判断に踏み込むべきです」と語りました.

平和的生存権を守るための司法の役割について聞かれて、「憲法は、科学的な見方をしています。戦争を政府の行為によって起きるとみています。国家だけが戦争を起こします。起こさせないようにするのが憲法です。戦争はある日突然やってくるものではありません。戦争の準備を止めるためにもっとも力のあるのが裁判所です。違憲立法審査権を持っているからです。どうしようもない状況に至らない段階で活用すべきです。戦争への芽は若葉のうちに摘むことが大切です」と話されました。

最後に、この事件で裁判所が果たす役割について聞かれて、「私は修士論文でも博士論文でも違憲審査権を研究してきました。違憲審査権をいざ行使することはとても大変です。まず政治の介入の問題があります。また違憲審査権は個々の裁判官に付与されており大きな影響を与えることへの逡巡が起きるのです。しかし憲法は違憲審査権に踏み込むことを裁判官に期待しています。国民は支持しています。裁判官がそのことを踏まえて判断を示して下さることを期待しています」と締めくくりました。

傍聴席から、大きな拍手がおきましたが、裁判長はそれを止めようとはしませんでした。傍聴席には、亀川さんの前の裁判長も現れ、こっそりと小林証人の尋問を聞いていました。

被告・国側は小林証人の証言を退屈そうに聞いていただけで、裁判長から反対尋問を求められても「ありません」と答えるのみでした

その後、裁判長は、今後の訴訟指揮についても「私達で判決を出したいと考えています」と任期中に判決を出すことを明らかにしました。「裁判長はイラク現地検証と次回原告本人尋問などについて協議した後「次回弁論で半日の時間を取るので、その中で原告本人尋問をやって欲しい。原告要請のイラク現地検証は却下する」と答えました。

小林教授の証人調書は私の手元にあります。お読みになりたい方はご請求ください。(2007.9.9 杉山 隆保)

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