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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2007/09/09

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告8

平和的生存権について明確な証言

「自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本」第

9回口頭弁論

6月18日、熊本地裁でイラク派兵違憲訴訟第9回口頭弁論がありました。この日の弁論は小林武・愛知大学大学院教授の証人調べでした。

小林証人の証言は格調高く、聞くものの胸を打つすばらしいものでした。最後のところでは裁判官を諭すように「あなた達は一人ではないよ、国民が支持しているから勇気をふるって違憲立法審査権に踏み込みなさい。それこそが憲法が司法に求めていることだよ」と訴えました。

尋問に入る前に亀川裁判長が1次、2次提訴原告とともに4月20日に提訴した第3次原告も併合とすると述べました。これで熊本訴訟は1つの事件となりました。

証人尋問は加藤弁護団長が証人の経歴などを尋ねることから始まりました。証人はもっとも印象に残る裁判としては「エホバの証人関係者の剣道実技拒否事件」で最高裁判決に影響する意見書を提出したことであると述べました。

証人の専門分野である憲法の「平和的生存権」についてと質問は続き、証人は平和的生存権の裁判規範性について、前文は憲法の一部です、前文の改正は96条によらなければなりません。前文それだけを取り上げて裁判規範性があるというのはかなり微妙ですが、本文中の部分と分かちがたく結びついたものだけ規範性を持ちます。9条がまさにそうです。と、述べました。

また日本国憲法がいう平和とは具体的であり、平和のうちに生存する権利は9条によって定義付けられています。公権力が戦争をせず、武力による威嚇をせず、戦力を持たす、武力行使をしない日本に生きる権利です。と、証言しました。

原告の平和的生存権が侵害されているかという問いに、自衛隊イラク派遣は単なる9条違反ではない。『専守防衛』の自衛隊法に違反し、「イラク特措法」にも違反しています。法治主義から説明しづらい状況です。と証言しました。

情報保全隊の国民監視活動について代理人が、「ここ熊本でもこの訴訟の原告41番のAさんが事務局長を務める<戦争を許さない県民連絡会>などの団体が監視対象になっていますが」と尋ねたのに対しては、

この報道を慄然とする思いで聞きました。背筋が寒くなったと述べ、自衛隊法にいう治安出動下令前の情報収集に当たりません。国家の機関が法的規範なしに活動している。私達の平和的生存権が完全に侵害されているのです。と、批判しました。

次に川口創弁護士(名古屋訴訟・弁護団事務局長)の質問に、「名古屋訴訟の田近判決(定点報告 2-①を参照)は、平和的生存権と人格権の成立可能性を述べています。平和的生存権は第3章の人権規定と結びつくことがあれば裁判規範性があります」と答えました。

続けて、イラクでもっとも治安が悪いのがバクダッドです。陸上自衛隊もサマワにとどまり、航空自衛隊もこれまでバクダッドは避けてきました。それはバクダッドが戦闘地域中の戦闘地域であるからです。国民に情報が伝えられていないことは重大です。私達は主権者です。国会にさえも真実を明らかにしていません。この様なことは許せません。米軍もバクダッドをコンバットゾ-ンに指定しています。(イラクでの)自衛隊の活動は憲法・自衛隊法だけでなく「イラク特措法」にも違反しています。自衛隊イラク派遣は憲法違反であり、差し止め請求ができる、と主張しました。

板井駿介弁護士が質問の質問に対して、「戦争も武力行使もしない日本に穏やかに生きる権利が人格権です。憲法13条と結びつきます。平和のうちに穏やかに生きる権利ということもできます」と人格権について証言を重ねました。

次に原告それぞれの陳述書を読んで抱いた感想を求められて、「陳述書を読むことはしんどかったです。戦争の残した傷跡、その苦労を背負って憲法にであったという思いは共通しています。どの原告にも適格性はあるのですと、NGさん、FJさん、HRさん,MYさんらの個々のケースを紹介し、それぞれ原告について「適格性」を十分に有している」と述べました。

さらにイラクの現地調査の必要性について言及しました。また、甲府地裁判決で示された「間接民主主義万能論」については、民主主義を多数決民主主義と勘違いしており、立憲民主主義に立つべきであり、裁判所としての役割を自ら放棄している。と、批判しました。

代理人に判決理由に憲法判断を示すことについて尋ねられると、「福岡靖国訴訟や大阪高裁判決の例にふれ、この手法は有益であり、必要なものです。日本の裁判所はもっと憲法判断に踏み込むべきです」と語りました.

平和的生存権を守るための司法の役割について聞かれて、「憲法は、科学的な見方をしています。戦争を政府の行為によって起きるとみています。国家だけが戦争を起こします。起こさせないようにするのが憲法です。戦争はある日突然やってくるものではありません。戦争の準備を止めるためにもっとも力のあるのが裁判所です。違憲立法審査権を持っているからです。どうしようもない状況に至らない段階で活用すべきです。戦争への芽は若葉のうちに摘むことが大切です」と話されました。

最後に、この事件で裁判所が果たす役割について聞かれて、「私は修士論文でも博士論文でも違憲審査権を研究してきました。違憲審査権をいざ行使することはとても大変です。まず政治の介入の問題があります。また違憲審査権は個々の裁判官に付与されており大きな影響を与えることへの逡巡が起きるのです。しかし憲法は違憲審査権に踏み込むことを裁判官に期待しています。国民は支持しています。裁判官がそのことを踏まえて判断を示して下さることを期待しています」と締めくくりました。

傍聴席から、大きな拍手がおきましたが、裁判長はそれを止めようとはしませんでした。傍聴席には、亀川さんの前の裁判長も現れ、こっそりと小林証人の尋問を聞いていました。

被告・国側は小林証人の証言を退屈そうに聞いていただけで、裁判長から反対尋問を求められても「ありません」と答えるのみでした

その後、裁判長は、今後の訴訟指揮についても「私達で判決を出したいと考えています」と任期中に判決を出すことを明らかにしました。「裁判長はイラク現地検証と次回原告本人尋問などについて協議した後「次回弁論で半日の時間を取るので、その中で原告本人尋問をやって欲しい。原告要請のイラク現地検証は却下する」と答えました。

小林教授の証人調書は私の手元にあります。お読みになりたい方はご請求ください。(2007.9.9 杉山 隆保)

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