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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2007年10月

2007/10/29

読む・読もう・読めば18  発刊の辞

活字が文化であった時代はとうに終わり、活字もまた(まだ)文化の一端(片隅)である時代になって久しい。正確に言うなら活字とは1文字ごとにバラせるハンコのことなので、電算写植普及以後は活字媒体などという言葉は実態に合わないが、とりあえず慣例により新聞・雑誌・書籍等を活字媒体と呼ぶ。その活字文化を今なお誇らしげに語っているのが、文庫の巻末に麗々しく掲げられている「発刊の辞」なのだ。

岩波茂雄氏は1927年に書いた。「今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である。岩波文庫はこの要求に応じそれに励まされて生まれた。それは生命ある不朽の書を少数者の書斎と研究室とより解放して街頭にくまなく立たしめ民衆に伍せしめるであろう」。

角川源義氏は1949年に書いた。「私たちは徒らに百科全書的な知識のジレッタントを作ることを目的とせず、あくまで祖国の文化に秩序と再建への道を示し、この文庫を角川書店の栄ある事業として、今後永久に連続発展せしめ、学芸と教養との殿堂として大成せんことを期したい」。

野間省一氏(講談社)は1971年に書いた。「いたずらに浮薄な商業主義のあだ花を追い求めることなく、長期にわたって良書に生命をあたえようとつとめるところにしか、今後の出版文化の真の繁栄はあり得ないと信じる」。

文庫を古典の廉価版から大量消費本へと変身させたのは角川だった。岩波は売れ行きによって文庫を数年で品切れにし、古書価の動向を見て復刊する。講談社は文庫の巻末に書誌を掲載することを数年で止めてしまった。いまや新潮・文春・朝日・ハヤカワ・創元・徳間・幻冬舎・ちくま等の各文庫が「発刊の辞」を掲げることをしていないのに、上記3文庫が恥を感じることなく今なお巻末に毎度毎度このような初志を掲載し続けていることは、痛々しくも頼もしいことだと思う。

(大内要三 20071029日)

2007/10/25

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」⑦

讀賣新聞の「機密漏洩」事件

もう一つ、これは讀賣新聞の特ダネの話です。何でこんなに大騒ぎになるのと、摩訶不思議な事件なんです。

2005531日讀賣朝刊のスクープですから、今から2年前の話です。1面2番手の扱いで、「中国潜水艦火災か/南シナ海 海南島向け曳航/日米が監視」という、かなりおどろおどろしい見出しです。内容を読むと、あの海域に中国の潜水艦が潜っていることは分かっていることですけれども、それが海中で火災を起こしたということ。それを米国の衛星が探査して分かった。

それが日米の軍事秘密協定によって防衛庁の知るところとなり、極秘情報だったのでしょうが、防衛庁の1等空佐に食い込んでいた讀賣の政治部記者が情報を入手して、それを書いたのがこの特ダネなんです。古い話ですけれども、それが今年の2月になって機密漏洩事件としてにわかにクローズアップされてきました。

「防衛機密漏洩だ」と防衛庁がリークした先が産経新聞でした。最近の政府は、朝・毎・東京など、政府に批判的新聞社と距離を置いていますから、産経にリークすることが多くなってきたと言われています。それで産経が2月16日の1面トップでワーッとやったんですね、もちろん他紙も追いかけました。「機密漏洩」といっても、直接被害は何も出ていなかったわけですが…。私は『新聞通信調査会報』4月号に書きましたけど、防衛省は米側から相当怒られたというか、こういうものが簡単に漏れるようでは困るじゃないか、ということですよ。それを針小棒大にしてマスコミにリークして、大騒ぎのタネをまいたと思われ、讀賣新聞も按配が悪くなってしまいました。この程度の記事で何だと開き直るべきだったと思いますが、讀賣は大あわてで、変な弁明をして幕を引いたんですよ。私は「日米同盟絡みの情報管理強化に真の狙いがあった」と書きましたけどね。

後日談ですが、特ダネを書いた記者がどうなっているか気になって調べたところ、政治部の敏腕記者で書き手だったそうです。しかし、この騒動で讀賣はこの記者を守りきれないで、支局に〝飛ばした〟と聞いています。

これは余談ですが、朝日新聞でもNHKとのトラブルありましたね、従軍慰安婦問題・民衆法廷放映をめぐるNHKとの争い。私は朝日側に理があると思っていますが、権力側のある種の圧力があったのか、社会部の特ダネ記者が干されちゃったんですね。夕張支局駐在になったと聞き、朝日ОBの仲介で8月に現地へ行って会ってきました。本人は全然気にしていない様子で、たくましく仕事をしている姿を見て頼もしく感じました。

政治問題化した報道規制がらみの問題があった時に、現在の新聞社がいかに弱いか、私はつくづく思いましたね。沖縄返還をめぐる「西山事件」に関心を持って追跡している一人ですが、この事件も追えば追うほどナゾが深まっています。権力機構の報道機関に対する規制、攻撃がますます強くなってきている世の中です。市民一人一人が問題意識を持って,権力の動向をウオッチして立ち向かっていかないと、大変なことになります。良識ある皆さんとの連帯を信じて進みましょう。ご清聴ありがとう御座いました。

2007/10/24

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」⑥

Ikeda003_2 新聞の姿勢は

共産党の記者発表にはたくさん記者が押しかけ、志井委員長の説明を聞いているのに、一般紙の扱い方に問題意識の欠如を感じました。報道規制や市民監視などの怖さへの感覚が不足しているのではないでしょうか。イラクに派遣される自衛隊員が心配するから反対運動を煽るな、という感じで捉える向きがあるけど、これはまったく間違ったことですね。そういうマインドが、新聞総体としてあるのではないかと心配しています。

敢えて言いますと、私は当然1面に掲載していい問題だと思います。こういう市民監視を自衛隊がやっているという事実報道をすべきです。解釈は必要ないと思うんです。1面4段に扱ったのは朝日と東京。毎日は1面どころか対社面(第二社会面)扱い。いちおう4段扱いだからまあまあ許せるかな…。憲法改正でもテロ特措法問題でも、いま大手新聞は、朝・毎・東京vs讀賣・産経・日経という対立の構図になって、紙面扱いの差が歴然としてきましたね。

朝日新聞がその日に、「自衛隊は国民を監視するのか」という大きな見出しを立てた一本社説を書いていました。自衛隊けしからんという文章ですよ。これは、新聞の姿勢としては立派だと思います。その他の新聞は、論説に取り上げていませんでした。

また東京新聞は当日社会面にいろいろ書いていますが、「自衛隊の情報漏洩を調べる情報保全隊の発足は、2003年3月。自衛隊のイラク派遣をめぐり、防衛庁が現地取材の自粛を報道機関に求め、問題化したのは041月のこと。自衛隊は国民を見張る一方で、国民の目からは自らの実相を遠ざけようとの力学が、働き始めたのは間違いない」との指摘は鋭い。サマワ派遣は04年になってからですが、そのとき新聞は報道協定を結ばされて、サマワの宿営地に潜り込んだまま。取材らしき取材をほとんどしないまま、危険を理由の退去要請に応じて帰国してしまったのです。東京新聞が、反省をこめて踏み込んで書いた点を評価したいと思います。

これと直接関連ないことですが、市民監視の現状を実証する動きに触れておきます。私も多少コミットしている「マスコミ9条の会」が昨年暮に交流集会を開いた時の話です。小森陽一さん(『9条の会』事務局長、東大教授)と坂本修さん(弁護士で自由法曹団の前団長)との憲法討論会に、澤地久枝さんがゲストスピーカーとしてが来られました。「9条の会」の講演行脚で大宮市に行った時のことにつき冒頭で語ったことです。こういう話なのです。大宮駅を降りて会場に行く道に、黒い服を着た人がウロウロしてたいという。不審に思って会場に入り、大江健三郎さんに聞いたら、「それは、公安警察が見張ってるんだと聞いてびっくりしました」という話です。自衛隊の情報保全隊がやっていることと同じで、市民は常時警察や自衛隊に監視されているようです。監視社会になってきており、ますます隠微になってきたのが現在ではないでしょうか。全く恐ろしい社会になってきたと、私は感じています。

2007/10/23

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」⑤

自衛隊が市民情報収集

次は、自衛隊の市民運動監視の策動です。6月7日付「しんぶん赤旗」に掲載された大きな記事のコピーをお回しします。ご覧になっている方もいると思いますけれども、これはすごい資料です。自衛隊の情報保全隊が反戦・平和活動などをしている市民の情報収集をして、チェックリストを作っていました。「赤旗」を毛嫌いする人がいるかも知れませんけれども、問題を重視してこれだけの報道をしたことはすごいと思います。

私は、これほど悪どい情報収集を自衛隊がやってるとは知りませんでした。政治家はもちろん誰も知らないでしょう。当時の防衛庁長官は久間氏でしたが、彼も知らなかったんです。これは内部告発にちがいなく、共産党が入手した大特ダネですね。66日に志位委員長が記者会見してこの資料を示しました。

自衛隊に昔は調査隊があって、情報保全隊というのはそれに代わって、2003327日に発足しているんです。イラク攻撃の直前で、まだ自衛隊はイラクに派遣されていませんでしたが、派遣反対運動がかなり盛り上がって来ている時期なんですね。

「週刊金曜日」の報道によりますと、情報保全隊は、市民監視が任務ではないと条文に書いてあるんですね。「陸上幕僚監部、陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関並びに別に定めるところにより支援する施設等機関等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集整理及び配布を行うことを任務とする」と、「情報保全隊に関する訓令第7号」に明確に記載されているそうです。ですから市民監視活動は憲法21条を侵すもので、とんでもない話ですよ。密かに約900人の保全隊員が監視しているわけですから。全国くまなく、イラク派遣を考える市民の集会などに私服で潜り込んで、カメラで撮りまくって情報を収集している、ということなんです。

「赤旗」に掲載されているは、2003年の12月から043月までに情報保全隊が作成した資料だけです。それでも原資料はA4166ページの克明な資料なんですね。一つは陸自の北部方面情報保全隊が担当したもので、北海道方面の情報収集を懸命にやったみたいです。陸自情報保全隊本部が作成した全国規模のものが二つ目で、二部構成になっています。

二つ目には「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力反対の動向」という題名がついて、41都道府県289の団体・個人がリストアップされています。例えば前回ここで講演された高野孟さん、あの人の名前も載っているんです。それから「幸せの黄色いハンカチ」の映画監督、山田洋次監督の名前もリストアップされています。市民がイラク派遣反対で「黄色いハンカチ」運動を北海道でやったからですね。ですから、皆さんだってリストアップされているかも知れませんよ。こんな人までという人がリストアップされている。朝日新聞の労働組合も入っています。だから戦前の憲兵がしたようなことをやっていると、極言すればそういうことでしょうね。非常に危険な状況だと思います。

「週刊金曜日」が、マークされている個人や団体名の表をかなり詳しく掲載、註釈まで付けているんです。資料を配布しましたが、Pと書いてあるのが共産党。Sが社民党、GLが民主党とか…。市民運動はCVとか。そういう色分けをして調査しているんですよね。

防衛省の前事務次官・守屋氏は「こんなの日常的にやっていることで、たいしたことじゃない」と弁明、久間氏も「その時の資料は3週間で廃棄しました」とトボケています。900人も使って全国くまなく調べたデータを3週間で廃棄するなんて考えられないですね。とんでもないことを言うなと思います。

2007/10/22

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」④

Ikeda002_2 航海日誌の分析から

さらにすごい話が出てきたのが、NPO法人ピース・デポの調査ですね、代表の梅林宏道さんが精力的に追跡した結果を暴露しました。米空母「キティホーク」の航海日誌をずっと分析した結果、大変なことがあるのを見つけて、この920日と104日に記者会見をして、発表したんです。新聞各紙はいちおう掲載していますが、詳細ではありません。ただし朝日新聞の104日朝刊オピニオン面をご覧になると、梅林さんの署名記事でかなり詳しく報道されています。それは、こういう疑惑です。大要を紹介しましょう。

「洋上給油がピーク時の頃、2003215日に海自の給油艦『ときわ』が米国の給油艦『ペコス』という給油艦に80万ガロンの燃料を給油した。そのペコスがキティホークに直行して、その日に給油していたことが判明した」。

アメリカは情報をかなり開示しますから。航海日誌から解読したわけです。キティホークはインド洋からアラビア海、それからホルムズ海峡を通ってペルシャ湾に行った。そしてイラクの南方監視作戦(OSW)と、イラク自由作戦(OIF)に従事したとの分析に信憑性があります。

日本政府は当初、この時の提供量を20万ガロンとしていましたが、梅林さんが記者会見で指摘した翌日の921日に誤りを認めて、「実は80万ガロンでした」と訂正したんです。

これは梅林さんが言っていることですけれども、ペルシャ湾に入ったキティホークがアフガンの対テロ活動に従事したと主張するのは困難だろうと。要するにインド洋からなら艦載機がアフガンに行けるけれども、ペルシャ湾まで行くとイランを飛び越えないとアフガンに行けない。だからこれをアフガンの作戦だと言うことは、ちょっと無理なんじゃないのということですね。福田政権はこの点の疑問を晴らせないと、とてもじゃないよという指摘を梅林さんはされている。私も梅林さんと全く同意見です。はっきりしない以上は給油を継続できないことになるだろうと思いますね。

1010日の予算委員会で菅直人議員が洋上給油問題で福田首相に鋭く迫りました。03年に「20万ガロン」と答えた時の官房長官は、なんと福田現首相だったのです。その時に野党もいいかげんだったと思いますけれども、政府がズサンな説明をしながら、テロ特措法の2年延長をやったんです。これもおかしい話です。ところが今回は、菅氏に食い下がられて、福田首相も「その発言を撤回します」と言った。撤回せざるを得ないですよね。

その後、石破防衛相が立って、こういうことを言ったんです。「間接給油された米空母が、ペルシャ湾で活動していたことは認める」と。けれども、「イラク戦への燃料転用はありません」と言うわけです。「転用がありました」と言えば福田内閣が吹っ飛んじゃうから、いくら追及したって「転用しました」とは認めないと思いますよ。

日本政府はそう言い逃れるにしても、それに符節を合したように米国の国防省が10日にワシントンで日本人記者会見をして、「キティホークに給油した燃料はアフガニスタンでの不朽の自由作戦で使用されたものだけなんでしょうか」という質問に対して、「イラク戦争に転用した事実はありません」と答えています。日米両政府が口裏を合わせたんじゃないかと私は思いますけど。

国連総会で感謝決議をして欲しいと、日本外務省が働きかけたものですから、国連は感謝決議を文言として入れました。しかし、「インド洋給油ありがとう」ということは書いてないそうです。「テロ撲滅に協力していただいてありがとう」というだけの感謝決議です。これを有り難がっている日本政府が滑稽に思えます。

新聞はどう書いたか

この問題について新聞は、いちおう報道はしていますが、追究の姿勢が足りないと感じます。洋上給油を中断すると、日米関係がおかしくなるんじゃないかという、一部の新聞論調が気がかりです。

こういう議論があるんですよ。6年間の給油費額はたかだか220億円、たいした金じゃないよと。日本人はアフガンに行って戦闘してない、イラクでも戦闘をしないんだから、これは保険をかけたようなものなんで、これで済めば結構な話じゃない、と。そういう議論がまかり通るわけです。これは金額の問題じゃなくて、ひいてはイラクの市民を虐殺するところに繋がっていく、加担しているという認識がないと、80兆円もある予算のなかで220億円くらい出してやったっていいじゃないということになる。これは全くおかしな話なんです。日本としてはすでにアフガン復興に協力して、給油とは別に2000億円前後の金を注ぎ込んでいるんです。そういう状況を詳しく指摘せず、疑惑を精査する努力もしないで流されていく新聞報道は、やはりおかしいのではないかと私は心配しています。

そんな時、朝日新聞1011日の社説がわりにきちんと書いてくれたのでホッとしました。この社説ではこういうことを言ってるんです。「空母の艦載機がペルシャ湾からアフガンまで飛ぶには、イラン上空は飛べないから、一度またホルムズ海峡を南下してインド洋から行かないといけない。それもおかしな話ですね」と。それから、「そもそも空母がイラクに向かってペルシャ湾を航行すること自体が、イラク作戦のための行動であり、テロ特措法の目的から外れているように見える」と指摘しています。明らかにそうですね。朝日は続けて「給油を受けた米艦の6割が補給艦である」と。それがキティホークに給油されたかどうか、給油活動の全容のデータが開示されなければ判断のしようがありませんと書いてるんです。これは正しいと思うんです。

2007/10/21

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」③

江田議員の爆弾発言

福田新政権になって特に問題点がクローズアップしてきており、その〝第1弾〟を投じたのが、江田憲司・衆院議員。神奈川から出ている無所属議員で、橋本龍太郎・元首相の秘書官だった方です。田原総一朗氏が司会するテレビ朝日「朝まで生テレビ」という番組がありますが、その831日深夜から91日早朝にかけての番組に江田さんが出演。その席で、「こういうアメリカのホームページがある」と爆弾発言したのが、いま国会で問題になっている「間接給油」疑惑なんですね。

江田さんのブログから、さわりの部分を報告しておきます。

「自衛艦による燃料補給は、インド洋の海上阻止行動、『不朽の自由作戦』(これはアフガン向け作戦)にとどまらず、イラク戦争、『イラク自由作戦』に従事する艦船にも、間接給油されているのではないかとの強い疑念を提起した」。

ブッシュ米大統領は2001911日のテロ直後に、「皆さん、一緒になってテロと戦いましょう」と演説しました。憎っくきテロを追い詰めるために各国が兵を出して下さいと。それに乗っかったのが小泉純一郎首相でした。その時に「ショー・ザ・フラッグ」という言葉が流行りましたね。当時の柳井駐米大使が、日本は湾岸戦争できちんとやらなかったため非難を浴びたので、今回は早くショー・ザ・フラッグすべきだと言ってきました。ショー・ザ・フラッグのために何がいいかということで、打ち出されたのがインド洋における給油活動だったわけです。

トントン拍子に話が進んで、11月にはもうテロ特措法は成立しました。あっという間のスピードで、2年間の時限立法が成立しました。これは憲法違反であることは明らかでしたけれども、結局、多数の力で強引に成立させて、自衛隊艦艇がインド洋に行ったわけです。いま民主党の小沢代表が、「このことは国連決議に基づくものでもないし、アメリカの戦略に協力している、しかも自衛隊を海外派兵すること自体が憲法違反である」と言っていますが、この解釈は絶対正しいと思います。けれども、インド洋給油は既成事実になってしまった。それがズルズルと、6年間も続いているわけですね。

江田さんは、米軍のホームページから得た情報に基づいて指摘しています。米国の海軍中央司令部&第5艦隊のホームページにアクセスして得た情報なのです。私はすぐ毎日新聞防衛担当の辣腕記者に連絡してアドレスを聞き、このホームページにアクセスしてみました。ところが、江田さんの問題提起のあとアクセスできず、見られませんでした。それほどアメリカ側も、ああいう事実が出ることを恐れたと思います。このあわて振りを見ても、間接給油は事実としてあったと推測されます。

「日本が提供した燃料は、不朽の自由作戦開始以来、86,629,675ガロン、7600万ドル相当。換算すると33万キロリットル、80億円になる」ということを米軍のホームページで見て、江田さんが「朝まで生テレビ」で言ったので、衝撃が走ったわけです。

江田さんはそれがイラク戦争に使われたなどと短絡的なことは言っていないのですけれども、要するに油ですから、間接給油されたら、イラクに行こうがアフガンに行こうが選別できませよね。マネーと同じですね。ロンダリングされちゃえば分からない…。江田さんも言ってます、「イラク、アフガン渾然一体となった統計の数字ではないか」と。しかし渾然一体となっちゃ困るわけですね。

シーファーというアメリカ大使が小沢氏に会った時に「情報開示します」と言っており、江田さんも「機密情報を含めた情報開示をすると言明しているのだから、国会で徹底的に真実を解明していきたい」と言ってるんですね。さらに江田さんは質問主意書を出してるんです。それに対して政府は102日の閣議で、どう答弁するかを決定しました。そこでアメリカに給油した合計385000キロリットルのうち、洋上警備に当たっている米駆逐艦への直接給油より、米補給艦への間接給油がはるかに多い実態が明らかになってきたわけです。空母キティホークに間接給油され、イラク作戦に流用されているんじゃないかと。この指摘は当たっていると思うんです。

今まで新聞は多少小出しには書いていますけれども、実際の洋上給油はこういう状況であって、こんなに無駄遣いしているというはっきりしたデータを、読者に分かるように報道してないんですよね。私も多少イライラして、防衛庁ホームページを検索したり広報部に聞いて数字などを確認しました。

私がつい最近調べた数字を申し上げておきますと、200112月の給油開始時から今年の830日までに海自補給艦が提供した給油量の合計は484000キロリットル、これは防衛省の発表ですが、このうちの79.5%に当たる385000キロリットルが米艦船向け。ですから、フランスやイギリス、いろいろ艦船に補給していますが、アメリカの艦船が圧倒的に多いんです。6年間に日本が無料ガソリンスタンドで供給した合計金額は、現段階では220億円。そのうちの162億円分がアメリカの艦船に渡っているということになるわけです。だから、いかにアメリカが得しているか…。海上自衛隊の補給艦のところに行けば、タダで燃料がもらえるわけですからね。

国連の感謝決議が出ましたけれども、感謝するに決まってますよね。タダでもらえるのだから。油がなくなってもいちいち港まで行って給油してくる必要がないわけですから。とんでもない話ですが、あまり情報開示しないからよく分からなかった。ここにきて、わりにはっきり情報が出てきました。

2007/10/20

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」②

Ikeda001_2 池田龍夫と申します。私には大きすぎる課題ですが、関心を持っているテーマですので、いろいろな情報を整理して、皆さまに具体的材料を提供しながら話を進めたいと思います。

最初に簡単な自己紹介を…。昭和28年(1953年)毎日新聞へ入社、新潟支局を経て東京本社社会部に配属。このあと整理本部に移って、新聞編集に携わりました。整理本部長のあと名古屋の中部本社編集局長、また東京に戻って新聞研究室長に。その後、新聞研究室が紙面審査委員会に改組され、初代委員長を定年まで務めました。品質管理のため毎日新聞が先鞭をつけた組織で、朝日の紙面審議会をはじめとして各新聞社が相次いでその種の組織を作りました。

テロ特措法とインド洋給油疑惑   

前置きはこの程度にして、直近のテーマ「テロ特別措置法」問題から話を進めましょう。私が『新聞通信調査会報』9月号に書いた「『テロ特措法』延長で激突」という論稿に、わりに新しいデータが入っており、お手元の資料をご覧ください。その後もホットな情報や疑惑が続々浮かび上がってきており、現在までに私が入手した情報を示して話を進めます。

2007/10/19

池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」①

2007年10月13日 平権懇 第4回学習会

報告者 池田龍夫(元毎日記者)

1、「テロ特措法」をめぐって

  2001年末以降、海上自衛隊給油艦がインド洋上で実施している他国艦艇への無料給油(時限立法)は、今国会で延長が認められなければ111日で時間切れとなり、給油はストップする。野党の反対が強く延長ができないため、政府与党は新法を今国会に提出。この間、アフガニスタン・テロ対策用の給油が、イラク攻撃向け米空母に間接給油されていた実態などが明るみに出て、疑惑はますます深まってきた。

2、自衛隊の市民情報収集

  今年6月、自衛隊の情報保全隊が反戦・平和活動などの情報収集を、極秘裏に行なっていたことが明るみに出た。自衛隊が全国の市民運動を監視し、膨大なチェックリストを作っていたのである。健全な市民社会にとって、放置できない大問題である。

3、不可解な防衛省機密漏洩事件

  今年2月明るみに出た「防衛省機密漏洩事件」に作為的な何かを感じる。槍玉に上がったのは、2年前に読売新聞が報じた「中国潜水艦火災」に関する特ダネが、機密漏洩に問われたものだが、「知る権利」を規制する権力側の策謀の臭いがする。

4、イラクへの自衛隊派遣と報道協定

5、沖縄返還密約と「西山国賠訴訟」の今日的意味

以上の5項目を挙げましたが、「4」と「5」は時間が許せば報告したいと考えています。

2007/10/14

読む・読もう・読めば 17  自衛隊の民活

米国の戦争請負会社、ブラックウォーター社のイラクでの蛮行が裁かれようとしている。9月に民間人17人を殺害した事件を、イラク市民が1011日、米ワシントンの連邦地裁に提訴したのだ。ブラックウォーター社はイラクでは米軍の食糧輸送と在イラク米大使の警護を担当しているが、社員は戦闘訓練を受け完全武装した事実上の傭兵であり、しかも正規の兵ではないから国際人道法の適用も受けないと主張しているという。

日本人で同種の会社で働いた経験のある者も出てきたが、幸いに日本に戦争請負会社はまだない。それでも自衛隊の艦船修理のため石川島播磨重工から中東に派遣された労働者の例がある。朝鮮戦争では機雷掃海作業にかり出されて亡くなった民間人船員もあった。そのような系譜を頭に置いて読むと興味深いのが、7月の参院選で晴れて議員となった佐藤正久氏(元自衛隊イラク派遣先遣隊、ヒゲの隊長)が今年3月に出した著書『イラク自衛隊「戦闘記」』だ(戦闘行為がなかったことが最大の功績なのに、戦闘記とは!)。

佐藤氏が強調しているのは、イラクで自衛隊が行った復興支援活動は本来は民間に託すべきことだが、自衛隊が警備を担当して民間が復興支援を行うことはイラク特措法ではできないので、自衛隊が「民間の発想」で活動した、ということだ。友好第一で現地社会にとけ込むことができたのは、何よりも上司が自由裁量を認めてくれたからだと。そしてこれまでの陸海空自衛隊の体質を自ら揶揄するものとして隊内に伝わる言葉を挙げている。陸自:用意周到、動脈硬化。海自:伝統墨守、唯我独尊。空自:勇猛果敢、支離滅裂。そして自衛隊最高機関である統合幕僚会議:高位高官、権限皆無。

シビリアン・コントロールの原則から言って統幕は権限皆無であり続けてほしいものだが、有事(=戦時)法制の整備が進んでいるいま、自衛隊が民間から学ぶというよりも自衛隊の民活が現実の問題になっている。自衛隊OBを役員とする「調査会社」や「警備会社」が、国民保護計画作成・有事訓練で次第に大きな顔をし始めていることに注目しておきたい。日本のブラックウォーターに成長しないように。

(大内要三 20071014日)

ありがとうございました

第4回学習会「軍事機密と報道規制、市民監視」(池田龍夫・元毎日新聞記者)は終了いたしました。テロ特措法をめぐる疑惑、放置できない自衛隊の市民情報収集、不可解な防衛省機密漏洩事件について報告がありました。その内容は、原稿にまとまり次第、アップする予定です。

今年最後の学習会は、12月15日土曜日、毎日新聞社会議室にて開催の予定。こちらも詳細が決まりましたら、ご案内いたします。

2007/10/08

シンポジウム「なくそう!医師の過労死」過酷な医療現場の改善をめざして

過酷な労働条件で勤務し、過労死に至る医師。
医療現場の改善をはかるため、多くの方々に参加していただきたいシンポジウムです

日 時:2007年11月14日(水)
    17時30分開場 18時開会(21時終了予定)
会 場:中央大学駿河台記念会議室
    〒101-8324 東京都千代田区神田駿河台3-11-5
参加費:無料
定 員:約150名
申込み:できるだけ事前に、Eメールまたはファクシミリ、郵送でお申し込み下さい。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-27-17 ICNビル4階 川人法律事務所内  過労死弁護団全国連絡会議事務局 FAX03-3813-6902
Eメール:1114@kwlaw.org
【シンポジウム】パネラー
 ●岡井 崇 氏(産婦人科医・昭和大学主任教授)
  近著に大学病院の女性産科医をテーマにした小説「ノーフォールト」(早川書房)がある。
 ●千葉 康之 氏(小児科医・ちばこどもクリニック院長)
  小児神経学・睡眠学を専門領域とする。論文多数。
 ●塚田 真紀子 氏(ジャーナリスト)
  著書に、過労死で亡くなった研修医のルポルタージュ「研修医はなぜ死んだ?」(日本評論社)がある。
 ●松丸 正(弁護士・過労死弁護団全国連絡会議代表幹事)
  多くの医師の過労死事件を担当している。
 コーディネーター
  川人 博(弁護士・過労死弁護団全国連絡会議幹事長)

※全国から、亡くなった医師のご遺族が参加し、発言される予定。
主催 過労死弁護団全国連絡会議(事務局 TEL03-3813-6999)

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