池田龍夫「軍事機密と報道規制、市民監視」⑤
自衛隊が市民情報収集
次は、自衛隊の市民運動監視の策動です。6月7日付「しんぶん赤旗」に掲載された大きな記事のコピーをお回しします。ご覧になっている方もいると思いますけれども、これはすごい資料です。自衛隊の情報保全隊が反戦・平和活動などをしている市民の情報収集をして、チェックリストを作っていました。「赤旗」を毛嫌いする人がいるかも知れませんけれども、問題を重視してこれだけの報道をしたことはすごいと思います。
私は、これほど悪どい情報収集を自衛隊がやってるとは知りませんでした。政治家はもちろん誰も知らないでしょう。当時の防衛庁長官は久間氏でしたが、彼も知らなかったんです。これは内部告発にちがいなく、共産党が入手した大特ダネですね。6月6日に志位委員長が記者会見してこの資料を示しました。
自衛隊に昔は調査隊があって、情報保全隊というのはそれに代わって、2003年3月27日に発足しているんです。イラク攻撃の直前で、まだ自衛隊はイラクに派遣されていませんでしたが、派遣反対運動がかなり盛り上がって来ている時期なんですね。
「週刊金曜日」の報道によりますと、情報保全隊は、市民監視が任務ではないと条文に書いてあるんですね。「陸上幕僚監部、陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関並びに別に定めるところにより支援する施設等機関等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集整理及び配布を行うことを任務とする」と、「情報保全隊に関する訓令第7号」に明確に記載されているそうです。ですから市民監視活動は憲法21条を侵すもので、とんでもない話ですよ。密かに約900人の保全隊員が監視しているわけですから。全国くまなく、イラク派遣を考える市民の集会などに私服で潜り込んで、カメラで撮りまくって情報を収集している、ということなんです。
「赤旗」に掲載されているは、2003年の12月から04年3月までに情報保全隊が作成した資料だけです。それでも原資料はA4版166ページの克明な資料なんですね。一つは陸自の北部方面情報保全隊が担当したもので、北海道方面の情報収集を懸命にやったみたいです。陸自情報保全隊本部が作成した全国規模のものが二つ目で、二部構成になっています。
二つ目には「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力反対の動向」という題名がついて、41都道府県289の団体・個人がリストアップされています。例えば前回ここで講演された高野孟さん、あの人の名前も載っているんです。それから「幸せの黄色いハンカチ」の映画監督、山田洋次監督の名前もリストアップされています。市民がイラク派遣反対で「黄色いハンカチ」運動を北海道でやったからですね。ですから、皆さんだってリストアップされているかも知れませんよ。こんな人までという人がリストアップされている。朝日新聞の労働組合も入っています。だから戦前の憲兵がしたようなことをやっていると、極言すればそういうことでしょうね。非常に危険な状況だと思います。
「週刊金曜日」が、マークされている個人や団体名の表をかなり詳しく掲載、註釈まで付けているんです。資料を配布しましたが、Pと書いてあるのが共産党。Sが社民党、GLが民主党とか…。市民運動はCVとか。そういう色分けをして調査しているんですよね。
防衛省の前事務次官・守屋氏は「こんなの日常的にやっていることで、たいしたことじゃない」と弁明、久間氏も「その時の資料は3週間で廃棄しました」とトボケています。900人も使って全国くまなく調べたデータを3週間で廃棄するなんて考えられないですね。とんでもないことを言うなと思います。
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