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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

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  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/02/21

戦時に向かう言論統制と日本国憲法の精神③

20071215日 田島泰彦

有事法制とメディアの指定公共機関化

2番目は有事法制をめぐる問題です。有事法制全体が、戦時のための法制度をいかに作るかという話だったわけですが、そのなかにメディアも公然と組み入れられることになっていったわけですね。

いちばん大きいのは、いわゆる「指定公共機関」という仕組みです。すなわち有事法制を支えるのは政府と自治体だけではない、民間のある種の公共的な、あるいは国民に重要な影響を与える機関には、有事法制を支える部隊として必要な措置を政府が求めなければいけないという、そういう仕組みを作ることになった。そしてそのなかにメディアも取り込むことになったわけです。

最初に、有事法制の大枠を作った法的な枠組みである武力攻撃事態法で、指定公共機関の仕組みが作られていきます。第2条の「日本放送協会その他の公共的機関及び……公共的事業を営む法人で、政令に定めるもの」、これが指定公共機関とされたわけですね。NHKはもう明示的に書いてあって、それ以外の公共機関も含むというふうにされた。第6条では指定公共機関は、「国及び地方公共団体と相互に協力し、武力攻撃事態への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務を有する」と書かれた。それを受けて14条では内閣総理大臣はそうした措置につき総合調整を行い、15条ではさらに指示を出し、自らまたは関係大臣を指揮して措置を実施する。こういう枠組みが作られたのですね。

そしてそれを踏まえて2004年になって、国民保護法が作られて、指定公共機関の制度の詳細は国民保護法で定められることになったわけです。

指定公共機関、それから指定地方公共機関というのは地方ですが、放送局なども含め対象とされた。指定公共機関のほうは政府により政令で指定されるキー局とか准キー局で、これは16ありましたが、最終的には全部受け入れます。指定地方公共機関は知事によって指定するというふうになった。

指定公共機関や指定地方公共機関は何をするかというと、国民保護に関する政府の基本方針や都道府県の計画に基づいて、まず「国民保護のための業務計画」というのを作らなければいけない。そういう業務計画を作るとともに、武力攻撃事態等対策本部長(首相)による警報、都道府県知事による避難の指示、さらには都道府県知事による緊急通報を、放送しなければいけないという義務づけを負うということになりました。単にアドバイスとかではなくて、義務として命令に服する。すなわち政府の有事体制の一画にそういう形で放送局が受け入れられるということになるわけです。

で、中央も地方もすべて政府が望んだ局は、最終的には全部、受け入れました。地方の放送局には多少の批判や抵抗もありましたけれども。

2点だけこの問題について留意が必要だと思います。

ひとつは、有事法制問題というのは実は有事だけの話では全然ないんですね。有事のために平時に何をするかというのが、有事法制のひとつの柱です。すなわち有事のときにどうするかを念頭に置いて、業務計画を平時に作る。放送局はもう作っているわけです。

また有事になったときに何かしようとしても、何もできない。有事を想定して平時に訓練をするという話になります。もうすでにやっているわけです、日本の各地で。例えばテロリストが襲来したら、どのように避難をしてどういうことをやるかと。そのなかでメディアにも協力させているわけですね。訓練にはいろいろ問題もあるし批判も一部にありましたが、そういうことは全然報道も放送もしないで、いかに有事の訓練をうまくやれたかということを延々と流すようなことをやっているわけです。

もうひとつ注意しなければいけないのは、メディアで指定(地方)公共機関になっているのは放送局だけということです。しかしこの枠組みが永遠に固定化されるわけではない。新聞社とか他のメディアの人たちはやれやれと思っているかもしれませんけれども、じつは武力攻撃事態法のなかでは放送だけが指定公共機関になるなどとことは、全然書いてないんですね。「公共的機関及び公益事業を営む法人で法令に定める者」が、基本的には指定公共機関になりうるわけですから、いろいろな状況が生じてくれば、新聞社や通信社も当然必要になってくるわけです。

さらに、放送局が指定公共機関になって規制を受ける、あるいは命令に服することになったときに、新聞社が無縁の存在としていられるか、という話です。国の大事のときに政府が放送局に対して、これをしなさい、あれをしなさいと言うときに、あるいはこれをやったほうがいいですよということも含めてやられたときに、自分のところは別ですということを新聞社が毅然と言えるかどうか。先ほどのイラク戦争の取材ルールは、放送も新聞も一緒に検閲を受け入れたわけですね。ひとたび放送が政府の支配下に置かれたときに、おそらく新聞もそれに抵抗するのは易しいことではないだろうと思います。しかも新聞と放送は提携の関係があるわけですね。

他の国の例を見ると、戦時的な規制を念頭に置いた法律を作ったときに、それを支えるためには、法律では厳しい規制はなかなか難しいけれども、自主的なレベルだったらやれる可能性がある。

イギリスの場合は、政府と主要なメディア機関がインフォーマルに自主規制のシステム、DAシステム(Defense D)をかなり前から作っている。これは法律に根拠がある制度ではないし、強制力がはたらくことはもちろんないんですけれども、事実上は政府とメディアが国防に関する問題のありそうな情報をどうコントロールするかということを、自主規制でやってきたんです。もしかしたらそういう仕組みがある時点で動き出す可能性も十分秘めていると思います。

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平権懇 2007年第5回学習会 戦時に向かう言論統制と日本国憲法の精神」カテゴリの記事

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