『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』 イージス艦の漁船衝突事件に際しての声明
『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
編者 平和に生きる権利の確立をめざす懇談会 松岡英夫・浦田賢治・榎本信行
昭和出版 1989年1月刊
執筆 松岡英夫・西沢優・松尾高志・林茂夫・浦田賢治・斉藤一好・稲垣純・田熊久枝・梅靖三・谷口隆良・田中由美子・江川紹子・小澤一彦・横田力・ゆりはじめ・山崎元・間部俊明・三上正良・佐藤和利・田中孝典・山崎泉・杉山隆保・榎本信行
1988年7月に起こった「なだしお事件」の問題点を先駆的に追及した緊急出版。刊行18年を経て、軍事優先の海が今なお続くことを悲しむ。定価+送料 1200 円。残部僅少、購入申込は nora@cityfujisawa.ne.jp へ。
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ミサイル防衛計画を中止せよ!
太平洋を平和の海に!
イージス艦の漁船衝突事件に際しての声明
2008年2月25日
平和に生きる権利の確立をめざす懇談会
2月19日朝に千葉県野島崎沖で起こった、イージス護衛艦「あたご」の衝突による漁船「清徳丸」沈没事件は、軍事優先の海がなお続く実態を明らかにしました。1988年の「なだしお事件」、2001年の「えひめ丸事件」の際に、情報を隠蔽・改竄し責任逃れをする自衛隊・米軍に対して、海で働く皆さん、海の平和を求める市民とともに真相解明・被害者救援の運動の一端を担った私たちは、このような事故の再現に、強い怒りをおぼえます。
清徳丸はわずか7.3トン、家族経営の零細な漁船です。父親の吉清治夫さんとともにいまだ行方不明の吉清哲大さんは、23歳の若者でした。20万漁民の半数以上が60歳を超え、林業・農業に続いて漁業崩壊の危機が叫ばれるなかで、わずかに残る希望の灯のひとつを、海上自衛隊が消したのです。
防衛省・自衛隊の情報隠しにより、いまだ事件の真相は明らかではありません。しかし明らかなことは、「あたご」が前方に漁船団がいることを承知のうえで、自動操縦態勢のまま、海上衝突予防法を無視して、回避行動をとらずに突っ込んできたことです。さらに、事故通報の遅れにより救援活動の開始も遅れました。これは単なる事故ではなく、暴走艦によって引き起こされた重大事件と言わねばなりません。
奇妙なことは、艦の運航責任者である艦長の舩渡健1等海佐の肉声がまったく聞こえてこず、また航泊日誌の存在が不明なことです。横浜地検と第3管区海上保安部による調査の進行を待つほかはありませんが、被害者救援、事件の真相究明、事故責任の明確化、再発防止策の強化が望まれます。
そして「あたご」は、最新鋭・世界最大のイージス艦です。イージス・システムは、軍事衛星や僚艦からの情報も総合して、20の目標に同時に対応できると言われますが、米国製で全容は日本に開示されていません。「あたご」がハワイでの訓練からの帰路であったのも、システムの改良や点検、僚艦とのデータリンクの確認が、国内では不可能だったからでしょう。このイージス・システムと、開発中で近く配備されるSM-3ミサイルで、海上自衛隊のミサイル防衛システムが完備されます。こうして米国の核先制攻撃態勢に組み込まれ舞鶴に配備された「あたご」は、朝鮮半島を睨むのです。
このような軍艦が、はたして日本に必要なのでしょうか。このような艦の運用は、平和憲法をもつ日本にふさわしくないのではないでしょうか。日米同盟のもと、米国本土防衛に資することの驕りが、民間船を蹴散らして進むことにつながっているとしたら、恐ろしいことです。
そもそも海上交通稠密な東京湾口に軍港・横須賀があるのは誤りであることは、「なだしお」事件当時から言われていました。また房総から三宅・八丈付近の漁場へ向かう付近の野島崎南方に、広大な海上自衛隊の射撃訓練場「C区域」があり、今回の事件当日の予定も含めて頻繁に訓練を行っていることも、民間船にとっては脅威です。海の軍事優先使用をやめさせなければなりません。
東太平洋には、国家非武装の憲法をもつ国、コスタリカがあります。ラテンアメリカにはトラテロルコ条約、南太平洋にはラロトンガ条約、東南アジアにはバンコク条約があり、いずれも非核兵器地帯であることを定める条約です。東アジアに位置する日本が、米国とともに軍拡・軍備革新に邁進するのは、世界の動きに逆行するのではないでしょうか。
私たちはイージス艦の漁船衝突事件に際して、何よりも被害者救援と真相究明の徹底を求めるとともに、ミサイル防衛計画の中止を求め、太平洋を平和の海にするために、力をつくします。
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日本に自衛隊という名の軍隊も、日米同盟という軍事同盟も、日米安保条約もいりません。
当たりもしないミサイル防衛など、屏風にかかれたトラを追い出せといっているようなものです。こんな税金の無駄遣いは許せません。即刻中止を求めたいです。
日米安保条約破棄、日本国内の米軍基地完全撤去、自衛隊の完全武装解除、自衛隊の国際救助隊への改組を!
投稿: ミュウタント | 2008/03/03 13:29