戦時に向かう言論統制と日本国憲法の精神⑧
2007年12月15日 田島泰彦
抵抗の支えとしての日本国憲法
いずれにしてもいまの状況を見ると、ますます言論統制という面でも、戦時へと一歩一歩向かっている状況ですし、さらには戦時自体に足を踏み込む事態もあるというのは、残念ながら事実と言わざるを得ません。ただ、我々がこういう現実を仕方がないと黙っていなければいけないかというと、これは戦前とちょっと違うところがあるだろうと私は思います。
すなわち我々の憲法はいま改正のターゲットになっていますけれども、いまのところ憲法が変えられるという状況はないわけです。日本国憲法、とくにその中でも9条に書かれている平和条項、徹底的な非武装・非軍事の平和条項と、さらにいっさいの制限を受けない表現の自由の規定ですね、こういうものを我々が持っている限り、やはり非常に有力な抵抗の武器になるのではないか。
戦前の厳しい状況を考えると、明治憲法はそういう役割を果たすのはやはり難しかったわけです。それと比べると、先人たちの努力によって我々が作り上げてきた成果でもあるわけですけれども、我々は闘いに挑む武器というか手段を持ち得ているということですね。これはやはり我々がきちんと再確認すべきことです。日本国憲法があることによって多くの人たちに、いろいろ訴えることが可能なわけですね。とりわけ表現の自由という武器をもって、まあ表現に対する言論の規制は強まっていますけれども、全部なくなっているわけではもちろんないわけですから、そういうものも使って人々に働きかける、いまの事態が何であり、どうしなくてはいけないのかを言うことはもちろんできるわけです。そういうことを支えにして、いま向かっている方向に異議申立をして諍っていくということが、我々のすべきことかなと考えています。
状況は厳しいのは確かですけれども、そういうところを希望に持ってやっていくしかないかなというのが、いま思っていることです。
[付記]
軍事をも含む言論・メディア統制については、私の下記の文献を参照されたい。『この国に言論の自由はあるのか—表現・メディア規制を問う』(岩波ブックレット・2004年)、「統制される言論とジャーナリズムから遠ざかるメディア」法の科学38号(2007年)。
なお、GSOMIAについては、福好昌治「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の比較分析」レファレンス2007年11月号も参照のこと。
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