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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/02/25

戦時に向かう言論統制と日本国憲法の精神⑦

20071215日 田島泰彦

GSOMIAの成立と今後の動向

GSOMIAというのはあまり耳慣れない言葉かもしれませんけれども、こういう日米の軍事的な秘密保護協定が、今年の8月に成立しました。私は条文を早く知りたかったんですけれども、どこの官庁のウェブサイトのどこの部分に掲載されているかがなかなか分かりづらくて、少し時間がたってやっと分かりました。「秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」というものです。

GSOMIAというのは、ある種の総称的な中身でして、General Security of Military Information Agreement というのが英語の表記です。日本語で言えば「軍事情報包括保護協定」です。

一部のメディアは多少報道しましたけれども、あまり大きな報道はされていないので、多くの人たちが認識しているというのとはかなり違う事態だと思います。ただしこれはかなり大事な問題で、今後の日本の秘密保護法制がどういう形で動いていくか、そのもっとも重要な根拠的な規定になっていく可能性があるわけです。

これはいったいどういうものか。アメリカは他の国とGSOMIAという一連の協定を二国間協定として結んできました。60数カ国がこういう協定を米軍と締結していると言われています。ただそのうちの20数カ国は協定の中身も秘密にしているので、克明に全部を調べることはできません。

何のために協定を結ぶかというと、基本的には米軍と他の国との間で相互に軍事秘密を提供した場合に、了承も得ないで勝手に第三国に提供したり等々ということがあるとまずいと、だから秘密保護を両国間でしっかり保護しましょうという話です。しかし向いている方向は、アメリカから他の国への情報提供が主要な側面ですね。アメリカに対して他の国が情報を提供することは少ない。相互の協定ですから、秘密保護のシステムは相互に守らなくてはいけないんですけれども。

しかもこのシステムが大事なのは、個別的な問題ではないということです。提供された軍事秘密についてはいっさいの保護の対象にするという協定です。あらゆる提供された軍事情報を包括的にカバーするということです。日米安全保障協議委員会でこの構想が議論されて、この810日に正式に日米間で合意されました。

その概要を言いますと、ひとつは先ほど言ったように、軍事情報を譲渡した国の了解なしに受領した国が第三国にその軍事情報を譲渡してはいけないということです。条文で言うと、第6条のaからfまでに書かれています。

2番目に非常に大事なことは、ではどういう形で提供された情報を保護するかという話です。譲渡した国と同程度の保護の措置をとらなければいけないというルールになっています。アメリカが日本に対して軍事情報を提供したとき、提供された日本の政府は、アメリカが自国で情報を保護しているシステムと同じような程度できちんと保護しなくてはいけない。アメリカには防諜法という法律がありますが、これはかなり厳しい法律で、刑でいうと10年くらいの刑ですね。しかも軍人だけではなくて、一般市民も軍事秘密を漏らした場合には対象になります。

ではここでいう秘密軍事情報とは何か。第1条、定義の規定のいちばん最後のところを見ていただきたいんですけれども、「秘密情報は口頭、映像、電子、磁気若しくは文書の形態又は装備若しくは技術の形態をとることができる」。なんでもみんな保護の対象だと書かれているわけですね。

さらに秘密区分についても、譲渡した国のレベルに合わせて受け入れた国のなかで扱わなければいけない。アメリカには秘密区分が3つあります。第4条のところに「同等の秘密としては次の通りとする」と書いてあります。top secret, secret, confidential というんですね、重要度に応じて。だからそれに相応して日本側も秘密指定をしなければならないと書いてある。

注意が必要なのは、この協定は今年8月に結ばれたということです。先ほど言った今年7月の「秘密保護と保全に関する訓令」では、日本の国内の省秘は秘だけになっている。そういう変動したときに日本のほうでどういう扱いをするのか、検討の余地はあると思います。

あと条文のなかで注意をしていただきたいのは、第7条の部分と、第16条の部分です。提供された軍事的な秘密情報に、誰がアクセスできるのかということについて、かなり詳細に書かれています。7条では公務員、16条のほうは契約企業、要するに民間企業で秘密の軍事情報にアクセスできる、そういう人についての規定です。両方とも共通して大事なことは、秘密軍事情報の取扱資格をきちんと明確に定めて、そういう資格がない人は、その人がどんな地位がってもアクセスできないということです。これをクリアランスと言っているようですけれども、要するに秘密の軍事情報へのアクセスをきちんとしたシステムにする、秘密軍事情報取扱資格を整備して、その人たちだけが情報に接することができるシステムを日本でも作るとことを要請しているということです。

それではいったいなぜ、こういう日米の軍事情報の秘密保護の新しい展開が見られるようになったか、その背景の問題です。

従来、政府は必要がないとは言っていないが、作るつもりはありませんと国会答弁で言っていたんですけれども、にわかに作ることになったんですね。その背景は何かというと、ひとつはやはり日本とアメリカの軍事協力の進展です。アメリカというよりもアメリカの軍事戦略に日米が深くコミットし、協力をしていくという、日米の軍事的な一体化の方向に向かって動いている。

従来、日米の関係の中心的なモチーフは何であったかというと、基地の提供がひとつ、もうひとつはお金の提供です。そういうスタイルは対等に向かうというよりも、上と下の関係ですね。しかしそれだけでは足りない、パートナーとして日本が軍事的な役割を強め、アメリカとの軍事的な関係をより一体化する、軍事作戦も含めてやっていくということになると、これはたんにお金の問題とか基地だけの問題ではなくなります。軍事作戦を一緒に推進し展開していくためには、軍事情報の提供が不可欠です。すると、提供された情報をみだりに漏らされては困る。みだりにというのは、他の国だけではなくて、国民とかメディアを含めてのことですが、そういうものからちゃんと守る必要がある。それがひとつです。

もうひとつの背景は、それとも密接にかかわりますけれども、ミサイル防衛システムの日米共同開発をはじめとする日米の防衛企業の関係の進展です。たんに政府だけが軍事情報を共有しようという話ではなくて、さまざまな企業による軍事技術、さまざまな形の装備の展開での協力を、どんどん強めているわけです。こういう日米防衛企業の協力関係を背景にして、お互いに必要な軍事情報を共有して守るというふうになる。

では結果として日本の今後の軍事秘密法制がどういう形で動いていくかというと、端的にいうと、現行の日本の国内法をもっと強化するというのがひとつです。もうひとつは、まだ作られていない立法措置について、新しい法律を作る必要がある。例えば国会議員に対して軍事情報保護について規制をストレートにできるようには、なっていないわけですね。いちばん新しいところで言うと、秘密保護新法というのを考えていく必要があるのではないかと言われています。これは何かというと、軍事転用可能な技術リストを作成して、公務員に対しても罰則を強化する、さらには軍事転用可能な技術リストを漏らした民間人を法律で規制する。要するに秘密保護新法を作る必要があるのではないかということです。

最終的にはアメリカの防諜法のような方向で、日本の新しい秘密保護法制を再編し、強化していくことは必至だろうと思います。

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