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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/04/21

朝鮮半島の変貌を見る⑤

Uehara004 作戦計画が変更か

 このような演習を見ると、作戦計画が変化したのではないかと思うんですね。「韓半島有事、米軍の支援規模は」という朝鮮日報の記事を読みます。日本語版が出たのが3月10日ですが、韓国語版では3月5日にすでに出ています。あまり軍事情報を外に出したくなかったのか。

「現在の韓米による作戦計画によれば、韓半島で全面戦争が起きた場合、米軍は韓国に大規模な増援を行う。戦争開始から90日以内に総兵力69万人、艦船160隻余り、航空機2500機余りが主な内訳だ。艦船には空母5個戦団が含まれる」。アメリカが現在持っている空母が全部で12杯ですから、大変なものです。「韓半島に派遣される空母は排水量9万トンを超える超大型原子力空母で、80機以上の艦載機を搭載している」。

「航空機はレーダーに捕捉されないステルス爆撃機のB-2をはじめ、B-1、B-52爆撃機、世界最強のステルス戦闘機F-22、F-15、FA-18、地上攻撃機のAC-130、MH-60をはじめ、ヘリコプターなどで構成される。米本土だけでなく、アラスカ、ハワイ、グアムなど太平洋地域の基地、沖縄、日本本土の在日米軍基地から出動する」。

「在日米軍基地に配備された空母1個戦団と」、これはこのままいけば今年の夏にジョージ・ワシントンに替わるわけですけれども、「アラスカ基地のF-15戦闘機、EA-6B電子戦機などは全面戦争がおきる可能性が高いか、実際に戦争が起きた直後に真っ先に韓半島に派遣される」。これはちょっと古いですね。いまアラスカにはF-22がすでに配備が始まっていますので、F-22がくることになるでしょう。

「しかし、専門家らは米国の安全保障戦略と作戦概念の変化、戦時作戦統制権の韓国軍への委譲、イラク戦をはじめとする対テロ戦争などにより、増援規模が大きく減少すると見ている。地上戦は韓国軍が受け持ち、米軍は海軍、空軍主体で支援を行うとの戦略に基づき、増援兵力は69万人余りから10万-20万人に削減される可能性が高い。」69万といっていたのが、えらく減るもんだなあという感じがします。「海軍、空軍もステルス機、イージス艦、先端精密誘導爆弾ミサイルなどの最新鋭武器の比重を高める一方で、韓半島に配備する兵器の規模が削減すると見込まれる」。

 こういう予測記事というのは、簡単には書けないはずです。というのは、地上軍が69万から10-20万に激減するのは、作戦計画の変更が前提とされていないとおかしいわけです。朝鮮半島をめぐりましては、シナリオがあるんです。コンプランCONPLANというのがありますが、コンセプト・プランの略ですね。これを「概念計画」というふうに日本語では訳しておりまして、だいたいこういう方向で、というプランです。これが実際に、こういうことが起こった場合にこの部隊をこういうふうに運用して、という、部隊名まで出して具体的な動かし方まで決めていくと、オープランOPLAN、オペレーション・プランになります。

 いま読み上げた朝鮮日報の記事に出ているのは、全面戦争がおきた場合のプランです。これはOPLANないしCONPLANの5027なんです。これについては「北の南侵防護主に『作戦計画5027』拠点早期占領作戦に変わる」という、ちょっと古いですが去年の2月26日付の中央日報の記事があります。昔は向こうが攻めてきたら、まず駆けつけられる者は駆けつけて、まず防ぐ、止める。その間に大規模増援軍がやってきて一気に押し返して、北朝鮮軍を滅ぼす。というシナリオだったんですが、今度は、第1段階でピョンヤンをトマホークや合同直撃弾JDAMなどハイテク兵器、精密誘導兵器でもって一気に叩く。第2段階で大規模兵力を投入して制圧作戦を行う。というふうに変わるというのが、この観測記事です。

 イミョンバク政権に変わりましてから、作戦計画がいろいろある中でも5029というのが浮上します。5029は、北朝鮮が自己崩壊する場合を想定した計画です。これは2006年の1月でしたか、北朝鮮の中で起こることに対して作戦計画を作るのは内政干渉に当たるのではないかと、ノムヒョンは考えたわけです。それでCONPLANをOPLANにすることに待ったをかけた。イミョンバク政権のもとでは、本格的にOPLAN化しようという動きが、今のところ進んでいます。といったことでシナリオも変わり、シナリオの変化にまた演習の流れも対応しているわけですね。

今回の演習について北朝鮮は、武力挑発だとか、こういうことが朝鮮半島に破壊を招くとか、ありとあらゆる文言を尽くして、相当しつこく連日非難報道をやったようです。

北朝鮮は実際に脅威なのか。韓国とアメリカ側の評価を見ます。

「北朝鮮の軍事力は弱化したが脅威」であると在韓米軍のベル司令官が2月2日に記者会見で述べた。聯合通信報道です。まだ脅威だと強調するか、弱くなったと強調するかで非常に意味が違うだろうと思うんですね。

「最大の憂慮は北朝鮮通常兵器の脅威」というのは、同じベル司令官が「ウォールストリート・ジャーナル」のインタビューに答えた2月23日付の記事です。逆に言うと、北朝鮮の通常兵器は脅威だけれども、あとは大して怖くはないと言っているわけですね。この中で、「北朝鮮の兵器は老朽化しており、訓練も不足しここ数年間軍事力が低下したものの、北朝鮮軍は明らかにソウルに向けたロケットや在来式の大砲などを動員する能力がある」。これが脅威だと言っているわけです。

「北朝鮮のミサイル開発生産は自給自足水準」と、アメリカではもう報告書が出ている。3月4日付ワシントン発聯合通信ですが、「北朝鮮は弾道ミサイル生産のため原資材と部品を外国から輸入しているが、弾道ミサイルの開発と生産ではほとんど自給自足の水準であると米情報当局が評価していることが分かった」。よそに売るほどの余裕はないと言っているわけですね。

 このように両面に読めるんですが、要するに脅威が続いているとは書いているけれども、強まったとは一切書いてないわけですね。

韓国軍・韓国社会の変化

 韓国社会の変化にちょっと触れたいと思います。

朝鮮戦争が起こりまして1950年の4月17日に、李承晩大統領が作戦統制権をマッカーサー、当時の国連軍司令官に譲りました。李承晩は朝鮮戦争の休戦協定には署名しませんでした。非常におかしな話ですけれども、南側の当事者は国連軍なんですね。

 78年には韓米連合司令部が発足しましたので、こちらに作戦統制権は国連軍から移った。とは言っても韓米連合軍司令官は駐韓米軍司令官が務めるということになっているので、相変わらず米軍が握ることに変わりはありません。しかしすでに平時の作戦権はだいぶ前に韓国側に返還されているんですけれども、2012年4月17日を期して、戦時の作戦統制権も返還されることになっております。これには若干の条件づけがありまして、要するに韓国が自分で北の脅威に対処できるということが証明された暁には、というより、この2012年までにその軍事力を韓国軍が蓄えるということで、計画されて進められてきたわけです。

 10大任務というのがありまして、半年ごとにそれぞれの任務についてアメリカ側が検証してテストして、はい合格、となったら韓国軍にその任務を移譲するということで、もう任務移譲が進んできているわけです。この間アメリカは、在韓米軍から陸軍の2個旅団を引っぺがしてイラクへ持っていって、それも韓国にはもう戻さない。アメリカに戻る。というように、地上軍を減らしています。

 10大軍事任務のうち9つ目の戦時気象予報任務が2006年の12月31日に韓国に移りまして、残るのはあとひとつだけです。残ったひとつは昼夜間探索救助です。ミリタリー・マニアなら「コンバット・レスキュー」と言ったほうが分かりやすいと思うんですが、要するに昼夜間、悪天候を問わず、敵の後方に置き去りにされた味方の兵隊を捜索して、敵の攻撃に応戦しながら救出する、これが昼夜間探索救助という任務です。この任務が韓国に移ると、もう韓国軍は戦時作戦統制権を握る。合同の作戦計画に沿って米軍は増援をやりますが、そのとき指揮権は韓国軍が握っているという、いちおう形はそうなります。

 作戦統制権が完全に移譲されますと、米韓連合司令部は解体することになっています。ただし南の人たちはやはり心配性と言いますか、同じ民族同士で血で血を洗う戦争をやったものですから、心配でしょうがない人はいるもので、作戦権が移譲されても北の核問題が解決されない限りは米韓連合司令部は解体しないでくれという、1000万人署名運動を展開している団体があります。韓国というのはそういうところです。

 一方で市街化した地域の基地の移転もやっていますね。これは日本よりずっとマシかなと思うんですけれども。チャンウォン(昌原)というところの第39師団が、周辺が都市化したので隣の郡に移るということで合意していますし、光州事件で有名なクヮンジュの飛行場も、移転作業が具体化しています。この間、日本で北朝鮮の脅威が言われるのと裏腹に、カンウォン(江原)道、これは北と隣り合っているところですが、今年、海岸の鉄柵を12.5キロ撤去する。全体からすればわずかですけれども、いまさら北朝鮮からボートに乗って攻めてくる時ではないというので。海水浴場とか、そういう観光開発を進めます。

 インチョン(仁川)は、朝鮮戦争のときに力関係を一変させた上陸作戦が行われたところですが、ここの一角のパルミド(八尾島)は、有事保護区域になっているんですが、そこも8月から一般開放するという動きです。北朝鮮と海をへだててすぐそこです。

 と言ったようなことで、韓国には北朝鮮が攻めてくると思っている人たちもまだいますけど、一般的にはもうそうではないということですね。

 一方では軍学共同が非常に進んでおります。要するに韓国軍がアメリカのトランスフォーメイションのマネをしているわけですね。トランスフォーメイションという言葉が出る前にはRMAというのがありました。軍事革命ですね。大昔であれば例えばICBMの基地でカナヅチを1丁買うのに、町の金物屋に行けば1個50セントで買えるものが、業者を通じて買うと300ドルぐらいになってしまう。そういうバカなことは止めようということから始まったのがRMAだったんです。民間企業の合理性をマネしようということで、米軍は今ではインターネットで一般競争入札をやっています。それを韓国軍でもどんどんやっておりまして、今年に入ってからですが10ぐらいの大学と研究機関と提携協約を結んでおります。韓国軍のパイロットが大学の夜間課程に在籍して卒業証書をもらえるという協約とか、そういうことも進んでおります。

一方で徴兵制の徹底も進んでいます。ちょうど私がハングルの勉強を始めたころ、NHKのハングル講座で4コマ漫画の紹介をやっておりました。若いお嬢さんがお父さんに、「今度、彼氏連れて来るわ」と言うんですね。2コマ目ではお父さんが、「その男は徴兵は行ったのか」。「ええ、もちろんよ」と娘さんは答えるわけです。すると親父さんは、「そんなやつはイカン!」と言うんですね。昔は徴兵に行かないと男じゃないと言われたわけですが。だから「なんでよ!」と娘さんは聞くわけです。お父さんの言うには、要するに人脈や金脈を使って徴兵なんかいくらでも逃れられる。そんな金もコネもないような奴は将来の見込みもない、そんな奴のところに大事なお前を嫁にやるわけにはいかない、というオチだったんですね。

ところが最近になりまして、サッカー選手が高血圧とか肩の脱臼とかと偽って徴兵逃れをしたのが、大々的に摘発されています。韓国では一部の財閥だとかエリート層の特別扱いがひどかったんですね。大統領でも刑事犯で捕まらなかった人はほとんどいないんです。ノムヒョンは清潔なほうだと思いますけれども、甥がひとり逮捕されています。イミョンバクは閣僚候補者が次々と灰色になってきて、組閣が非常に遅れるという状態に、すでになっております。ですから非常に日本の戦前の社会を彷彿とさせるような、学閥・財閥の支配している社会です。徴兵制に対しては公平を期すという点では、ある意味では平等性が進んでいるのかなあと思います。

障害者に対する配慮も、十数年前には全然なかったんですけれども、ワールドカップのときに相当認識が変わりましたね。障害者は当然のごとく福祉を受けるべきものだという。それまでは昔の日本と同じように、差別の対象でしかなかったんです。やはりワールドカップを機に、トイレをきれいにしようというキャンペーンがあって、全国の公衆便所が非常にきれいになったそうです。

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