読む・読もう・読めば 33
『ロスジェネ』を読む
5月に発売されて一部で話題になっている『超左翼マガジン ロスジェネ』創刊号を書店で見つけて買ってみた。編集長は浅尾大輔さん、「3月まで都内の労働組合で非常勤職員の組織化を担当。2003年小説『家畜の朝』で新潮新人賞を受賞。元『しんぶん赤旗』記者」と紹介文にある。適任だ。
「ロスト・ジェネレーション」、直訳すれば「失われた世代」とは、本来は1920年代から30年代にパリで暮らしていた一群の米国の作家たちのことだった。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、スタイン、その他。青年期に第一次世界大戦を経験し、旧秩序の崩壊を目の当たりにした人々だ。のちにより広い意味でも使われるようになったが、本来は文学史の用語だった。それを、2006年に朝日新聞が団塊ジュニアの、バブル崩壊期=超就職氷河期に就職活動をして割を食った人々の呼称として使い、なんとなく定着した。就職氷河期は長く続いたから、正規雇用に就けないロスジェネはいまや2000万という。団塊は団塊と呼ばれるのが嫌いだが、ロスジェネは自らロスジェネというらしい。で、雑誌だ。
マルクス・エンゲルスの「共産党宣言」をパロった「ロスジェネ宣言」の文章は歯切れが悪く、複数の起草者がいろいろ書き込んだままらしく整理も悪い。宣言中の「私たち左翼」という自己規定は、仲間を増やすことに障害とならないのか。実際に巻頭の赤木智弘さん(「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争」で論壇デビュー)との編集長対談も、かなりすれ違いが多い。私ども本家左翼中高年との間だけでなく、同世代同士でもロスジェネ同士でもなかなか話が通じないらしい、というのは残念なことだ。
意思を通じるための道具としての言葉を研ぎ澄ましていくには、どれだけの研鑽が必要なのかと、読解を拒否する長文を読み進みつつ嘆息する。いかにも身内以外との議論の習慣なくどの世代も過ごしてきたのだ。せめて『ロスジェネ』のような雑誌を読む努力は続けたいと思う。『赤旗』には「期待します」と紹介記事が出た翌日、「特定の雑誌を支持、讃美する方針はとっていない」とわざわざ編集局告知記事が出たが。第2号は12月刊とのこと。(大内要三 2008年6月14日)
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