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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/08/10

自衛隊の変貌を見る⑥

Naitou003 ○続発する不祥事と文民統制

その前提に立って、いまの自衛隊の問題をいくつかお話しします。

これは米軍人の問題ですが、とくに日本本土で特徴的なのは、この3年来、アメリカ海軍横須賀基地において第7艦隊の基幹的な艦の乗組員が、もっとも凶悪なる殺人事件を起こしているということです。200613日に殺害された横須賀の女性の事件、私は被害者のご主人の山崎さんの代理人になって、第1回弁論で7分間しゃべった。この事件はですね、女性に道を聞くふりをしてバッグを奪おうとした。女性が拒否した。それに対して拳骨で鼻が陥没するくらい打撃を与えた。マンションの廊下に引きずり込んで、今度は体をコンクリートの壁にぶつけた。次に倒れている女性を靴で踏みつけた。いうことで、内臓破裂による出血多量で死に至らしめたんですね。強盗殺人事件です。刑事事件は無期懲役で、犯人は横須賀の刑務所に入っています。

 このようなことは兵隊でなければできないことです。今年起きました、タクシー運転手さんに対する殺害もそうです。こういう事件がアメリカ海軍の中心的軍艦、キティホーク、カウペンス、ブルーリッジの乗組員で、順番にひとつずつ起きている。これはやっぱり、戦争参加艦艇が日本にそのまま入って来ることによる事件です。ストレス解消のために、もう酒しかないんですね。

 自衛隊も海外派兵をやっていくと、人間の変質というのが必ず起きてくるだろうと思います。現に陸上自衛隊で九州の演習場の近くで、タクシー運転手を刺殺した事件が起きております。

 昨年来の自衛隊、とくに海上自衛隊における事件として、インド洋の給油量を事実に反して報告した事件、それから野島崎沖の「あたご」の漁船衝突轢断事件、業界との癒着の守屋前次官の事件、等々が発生しております。根源は対米従属・海外派兵・業界との癒着の自衛隊の変貌のなかで、そのしわ寄せが現場の隊員に行って、こういう事件が起きたということです。業務量が多くて基本的な任務が疎かになっている。

715日に発表されました防衛省改革会議の報告書は、それらの不祥事に触れているんですが、問題を幹部職員の規則遵守が徹底していないこと、それから隊員のプロフェッショナリズムが確立していないことだと書いて、本質から目をそむけております。そしてそれに乗じてですね、制服組を防衛省の中枢に入れて、制服組の発言を組織的に強化しようというものです。

規則遵守の徹底については、防衛省事務方のトップが、自分には規則の適用がないと思って、倫理監督官になっていたということがいけないんだと。補給艦の航海日誌をシュレッダーにかけたという事件というのがありました。「しらね」の艦橋の戦闘指揮所に冷蔵庫を持ち込んで、それが火事になったとか、イージス艦の情報を第一術科学校の教官が漏らしたとかいう事件もありました。そういう問題も規則の徹底ができていないということだけにしています。

そして秘密についての規則遵守をやっていないのは、情報保全隊の強化と警務隊の強化によって解決していくというふうに持っていくのです。防衛調達の透明性につきましては、無策に等しくて、例えば監査機能を強化するとか、もうお題目だけですね。外国メーカーと直接取引するとか、これは財界・兵器産業との根本的な癒着体質というものを変えない限りは、こういう弥縫策ではできないと思います。プロフェッショナリズムの確立は確かに大事なことです。だけど、初歩的なことがなぜできていないか等、ことの本質にさかのぼっての反省はないということですね。

そこで文官と制服自衛官を一体化していって、そこに緊張感を醸成させていくということに絞っていって、提言にしているわけです。これは文民統制とは何かという問題ですね。本来の文民統制は軍隊からの安全なんです。しかし石破大臣の認識は、それは旧軍が国を敗戦に導いた過去の日本にとっては重要であったが、自衛隊誕生以来54年間の実績から見て、自衛隊に民主政治を破壊する可能性はなくなったと、したがって文民統制の考え方は、軍隊からの安全という機能はもちろん堅持するが、軍隊を活用した安全が重要になっていると。こういう考え方を打ち出しました。

また、総理大臣をどのように補佐するか。補佐官を政治任用で任命する、高度の軍事知識をもった人間を補佐官に任用すると言っています。おそらく現職自衛官または退職自衛官を任用する含みだと思います。そして防衛省の司令塔機能を強化する。この報告書に言う文民統制というのは、国民が防衛政策を統制することだと、ここらへんまではいいですよ。しかしこれは、国会が内閣総理大臣を指名する、その内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持つとともに、防衛大臣を任命する、このことが文民統制の根幹だと限定しております。

この報告書は五百旗頭防衛大学学長が主に執筆されたということですが、この案は現行の内部部局と統幕・陸幕・海幕・空幕の組織は基本的に存続させながら、まず内局の、防衛大臣の最高補佐機関の防衛参事官制度というものを廃止したわけです。50数年来、防衛に関する基本政策・方針を決定する防衛参事官は現在8名、一時は10名おりました。これは防衛省だけではなくて他の省庁からも参加して、自衛隊が勝手な行動をしないように抑制する、戦前の日本軍部の台頭の厳しい反省の上に立った制度であります。しかしこれを廃止して、その代りに防衛大臣補佐官を任用で任命する。それから防衛会議というのをつくって、そこに幕僚長4名を入れた防衛会議でこれを補佐する。というふうに、幕僚長の地位を、大臣を補佐する段階に格上げするわけです。

防衛政策局というナンバーワンの局長は文官にしておくけれども、次長・課長に現職の自衛官を入れる。統合幕僚監部の副長以下に文官を入れて、そのかわり本来統幕を統制すべき防衛省の運用企画局を廃止する。部隊の運用は全部、制服の統幕に任す。これは大きな問題だと思いますね。そして兵器の整備、装備については、内局と幕僚部を包括した整備部門をつくる。火事場泥棒とある人が称しましたが、不祥事をなくすためと称して、それに便乗して、制服組の発言力強化をはかるというのが「防衛省改革報告書」の狙いであります。

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