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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/08/08

自衛隊の変貌を見る④

○派兵恒久法を阻止するために

 活用の第2点は、派兵恒久法を阻止するうえでの非常に強い論拠が加わったということです。恒久法については私は日本平和委員会の機関誌「平和運動」の本年2月号に、問題点を指摘しておきました。

 福田総理などは一般法と呼びますが、恒久法の名で運動のなかに広がっている。面白いことに恒久法というのは、法案がいま決まっているわけではないんです。法案は決まっていないけれども、反対運動は平和勢力を中心に非常に広がりを見せてきている。日本平和委員会事務局長の言葉を借りて言うと「先制攻撃」、我々が攻勢をかけているというのが、今の政治情勢であるわけであります。

 ただし法案はないけれども叩き台はあります。石破茂さんが自民党国防部会の防衛政策小委員長のとき、068月に作成した。彼はかなりの専門家ですから、自分で鉛筆握って書いたと思いますが。これが石破試案であります。全文は60か条、うち23か条は船舶検査に関するものです。

この法案のポイントは3つありまして、第1は自衛隊の海外派兵の出動要件を拡大している。第2は出動した自衛隊がどういう行動ができるか、武器使用がどこまでできるか、この要件を緩和している。第3は現実に米軍が行っている掃討作戦、海上阻止作戦への積極的参加を、ということです。

 第1条で国際平和協力活動の定義をしております。自民・公明両党のプロジェクトチームでは「6つのメニュー」という表現で言っております。人道復興支援、停戦監視、安全確保、警護、船舶検査、後方支援。この6つのうち注目すべきはやっぱり安全確保です。これは掃討作戦そのものへの参加だと思います。これも他国軍隊の警護を含めた掃討作戦への介入ですね。船舶検査は水・油に限らない海上阻止活動へのアメリカの艦隊への協力。後方支援というのは武器弾薬を含めた後方支援という点が非常に問題になると思います。

石破試案の第258項で危害射撃について規定しています。現行制度のもとでは相手の人間に危害を与える、つまり殺傷するということは、海外での活動でも刑法36条正当防衛または37条緊急避難の場合に限られておりまして、極端に言いますとこれに違反して武器使用した場合には、その隊員が警務隊によって捜査の対象となり、その部隊の出身地の地方検察庁が立件して起訴し、裁判所が審理するということになりかねない。こういう現行法のしばりを緩めまして、次の各号のいずれかに該当する場合にも危害射撃ができると、こういうふうにしたわけなんですね。この文言は非常に回りくどいのですが、読み解いていくと、部隊が安全確保・警護活動を命ぜられて行動中、武器を持たないが多数集合して暴行を加える危険があると認めた場合、武器を所持した人間による暴行の危険がある場合は、武器を使って人に危害を与えてもいい。自衛隊の部隊が警護活動中、暴行侵害を受ける危険があれば、武器を使用して危害を与えてもいい。平たく言うと、こういうふうに拡大しようとするのです。

このことは、現場の部隊指揮官の裁量権が非常に広がることなんであります。戦場の雰囲気からいって、撃てという命令が非常に出しやすくなる。撃てという命令を出して、現実に撃って、相手が殺傷されても、裁判所にかけない。そういう環境に置かれた兵隊がどういうことをするか。そういう意味で、これは非常に重要な条文であると思います。

それから、今まで作ろうとしてできなかった掃討作戦のマニュアルを、26条以下で法文化したということです。これは制止から、物を開示させることから、建物への立ち入りから、全部に、法律上の根拠を与えた。それから34条以下では、海上での臨検のマニュアルを作ろうとしている。信号弾を使うこととか、検査官を乗り込ませることとか、港へ回航するとか、乗組員を引き渡すとか、普通の国の海軍がやっている臨検を法律条文化しようとしているということであります。

民主党はいま野党第1党として自民党と対決姿勢をとっているわけですが、知られていないのは民主党の出した「国際的テロリズムの防止、根絶のためのアフガニスタン復興支援特別措置法」のことです。昨年の1221日に参議院に出されて、そして自民党が廃案にしないで、これは使えるという思いからでしょうか、621日に閉会いたしました通常国会におきましても、次期臨時国会に継続審査となった。生きているんですね。この中で注目すべきは民主党案の25条で、「安全保障の原則に関する基本的な法制をすみやかに整備する」と。中身はいっさい書いてませんが、テロ阻止活動、海上阻止活動に参加するための法制を速やかに整備することを謳ったということは、これはひとつの火だねが残っているということです。

また民主党案は、アフガニスタン本土で活動しておりますNATO軍の国際治安支援部隊、ISAFに協力するということを、明文をもって書いているのであります。ISAF部隊は当初、タリバン政権崩壊後のカブールと周辺の治安対策のためにできたものですが、その後アメリカの「不朽の自由」作戦と連携しまして、当初任務を逸脱して掃討作戦をやっている部隊です。したがって町村官房長官は当初、ISAFは武力行使を伴う部隊だから、民主党案こそ憲法違反だとまで言っておったんですが、最近では変わりまして、ISAFの輸送ぐらいなら、というふうに変わってきまして、6月中旬に政府は調査団を防衛省中心にアフガニスタンに派遣いたしました。

さらに民主党案の第20条で、武器使用の制限を緩めているというところも、頭に置いておく必要があると思います。もちろん現在の政局、民主党の政権獲得のための戦略、それから衆議院選挙で野党色を出さなければいかんという政治判断、とくに07年の参議院選挙に当選した新しい方のなかに、いわゆるリベラル派が存在している、こういった点から、これがすぐに出てくるとは私は即断はいたしませんが、火だねが残っているということは、独自の私どもの恒久法に対する警鐘を鳴らすという活動が、いっそう重要だと思っております。

名古屋高裁との結びつきの第2点に話を戻しますと、これはもう単純な論理であります。空輸でさえ憲法違反とされたわけですから、いま挙げたような恒久法石破試案の内容は武器の輸送、海上における臨検作戦、陸上における掃討作戦への参加を可能にする、これはもう明白に憲法違反だろうと。この確定判決をもとに法制局に迫った場合、内閣法制局の中にも必ず動揺が起こりうる問題ではないかと私は思うんであります。

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