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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/09/26

2008.9.6 平権懇学習会「裁判員制度を考える  西野喜一」③  

3

    憲法違反の制度を実施するのか

                                                            

 2番目の問題点は、この制度は憲法に違反するということです。言うまでもなく憲法はわが国の骨格を定めた法でして、これに反するようなことがあってはならないものです。どうしてもどこか具合の悪いところがあるならば、正式に憲法を改正して、新しい体制作りをしていくのが本道で、憲法改正をせずに、それをかいくぐってやるわけにはいかないものです。しかしながら私の意見では、裁判員制度は完全に憲法違反です。これを「違憲のデパート」と呼んだのは私ですけれども、この言葉は幸いにも使ってくれる人が多くなりました。こんなことを本当にやっていいのかと思うほど憲法違反が多いのです。憲法の具体的な解釈論、法律論については今日はカットしますが、近く刊行される『裁判員制度批判』(西神田編集室)という専門家向けに書いた論文集のなかで、どこがどのように憲法に違反しているのかということを、ていねいに書いたつもりですので、もし興味があればこれを見てください。

 ただし、推進論者の超強引な合憲論について、ちょっと述べておきたいと思います。裁判員制度をやりたい人は、これを是が非でも憲法違反ではないということにしなければなりません。そこで御用学者は、これは憲法違反ではないとさまざまな理窟を唱えているわけです。その中には、本当に無茶苦茶としか思えないようなものがあります。

たとえば、最高裁と高裁は憲法が定めた裁判所であるが、いちばん下の地裁には憲法の規制は及ばないのではないか、と真顔で言った人もあります。地裁には憲法の保障が及ばない、好き勝手にやればよいと言うわけですね。これはとんでもないことで、いやしくも憲法論者を名乗っている人、大学で憲法を講じている人がそういうことを言う時代になったということを恐れるべきだと思います。

 それからまた、実際に裁判員制度で問題になるのは、その人が有罪か無罪かということが中心だと思いますが、これは事実の問題ですね。その有罪か無罪かを判定する事実の問題は裁判の本質的な要素ではない、裁判所の仕事から外してもかまわない、とこれまた堂々と唱える人がおりました。事実認定は裁判所以外で担当しても構わないとなると、県庁や市役所で判断しても構わないことになりますが、さすがにそういう人でもそこまでは言わないと思います。

 それからまた、憲法で被告人にはこういう権利があるという条文がいくつかあるわけですが、条文によって「裁判所」という言葉の意味が違うと言う人がおります。つまり憲法は第6章で「司法」という章を設けまして、裁判所についていろいろ規定しておりますが、30条台の人権にかかわる規定の中にも裁判所という言葉が出てきます。37条には「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な裁判を受ける権利を有する」と書いてあるのですけれども、第6章に出てくる「裁判所」と37条に出てくる「裁判所」では意味が違う、と堂々と主張する人があります。こうまでしてでも、裁判所に裁判官でない者が加わっても構わない、という結論を導き出したいわけです。

 結局、一部の推進論者の唱える憲法論はこのように乱暴で危険なものでして、こういう論理が通るのであるならば、憲法はなんとでもなります。例えばわが憲法第9条は戦力の保持を禁じているわけですが、先のような議論が通るのであれば、どんな解釈でも可能になります。例えば、核兵器以外は戦力でないとか。こういう憲法論議をしているのが、現在の危機的な状況です。

 現在の主流と思われる憲法学者の合憲論はそれほどひどくはなく、もうちょっと洗練されておりまして、一見するとそういう議論がなり立つのかなあと思われるような巧みなレトリックを使っております。しかし、私の意見では、それも細かく見ていきますと、やはり裁判員制度合憲論はとうてい無理です。先ほどご紹介いたしました『裁判員制度批判』では、一見洗練された合憲論でも、それが本当はいかに粗雑なものであるかということを、私としては十分に論証したつもりでおります。

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 西野教授のご著書「裁判員制度批判」先生ご自身から,下付されました。これから読んでみるところです。

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