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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/10/04

2008.9.6 平権懇学習会「裁判員制度を考える  西野喜一」⑪

○質問に答えて

質問 裁判所からの呼出状を受け取ってしまったとき、無視しても大丈夫でしょうか。

回答 期日に裁判所へ行かないことで充分だと思いますが、無視しても大丈夫だという保障はいたしかねるわけです。法律上は10万円以下の過料と書いてありますけれども、最初は発動しないであろうということだけですので。しかし呼出状を受け取らなければ大丈夫です。

細かい話になりますが、裁判所からの書留が来たときに、民事裁判関係の呼出状ですと、無視すると欠席のまま審理が進んでしまう恐れがありますので、裁判所からの書類を全部受け取らないというのは、また別の危険があるわけです。そこが難しいのですが、封筒の表に裁判員選任に関するものだと書いてあれば、受け取らないのがいちばん確実でしょう。

期日に行かないと、裁判所から電話がかかって来るかもしれません。じっさいには面倒ですから最初のうちは裁判所もそんなことはやらないし、やれないと思うのですが、行きたくない場合にどう答えるか。電話をかけてくるのは裁判長ではなくて、書記官、事務官ですから、向こうが「そういう理由ならもう仕方がない」と思うような返事をすれば、向こうとしてもやりやすいわけです。したがって「行きたくなかった」と言うより、「どうしても休めない用事があった」と言うほうが宜しいと思います。

なお実際に裁判所に行ってみて、裁判所にはどんな人間がいるのか見てみたい、議論もしてみたいというのであれば、そういう道を選択されるのもひとつの方法だと思います。

質問 これほどひどい制度を敢えて導入しようという、その意図はいったい何なのか。司法制度改革ということで90年代半ばからいろいろあったと思うんですけれども、その一環としてこのことがあると思います。司法制度改革というものの根本的な狙いというものが何なのか、このあたりについてのお考えを聞かせていただきたい。

回答 裁判員制度をもたらした根本的な思想が何であるかを説明することは、私にはまだ自信がありません。ただ司法制度改革審議会の記録を見ますと、国民参加にすれば誤判が減るはずだと無邪気に信じ込んでいた人たちが多かった。それが裁判員制度ができた原因だろうと思っております。裁判員制度を支える根本的な思想として、きわめて国家主義的、全体主義的思想があるだろうと思いますが、司法改革審議会の委員たちがそこまで確信的にやったとは思われません。

質問 3人の裁判官と6人の裁判員は同じ重さで扱われるのですか。また、弁護士は対応できないというお話ですが、従来から弁護士は裁判に出ていたわけで、これからできなくなるということが分からないのですが。もうひとつ、裁判員に選ばれた人は、どの段階で自分が担当する事件が分かるのですか。

回答 裁判官と裁判員の票の重さは同じです。ただし裁判員法の規定によりまして、有罪とするためには少なくとも裁判官1名、裁判員1名が入っていなければならないという規定になっております。裁判官と裁判員併せて9名で、原則として多数決です。裁判官3名が全員有罪、裁判員6名が全員無罪の場合は、多数決で無罪になります。逆に裁判官3名全員が無罪、裁判員6名が全員有罪の場合、多数決では有罪になりそうですけれども、有罪とする場合には最低裁判官が1人入っていなければならないという条件を満たさないので、無罪になります。

 弁護士が対応できるかどうかということですが、今までの刑事裁判は、かなりの重大事件でも公判はせいぜい月に2回しかありませんでした。だから主に民事事件をやっている弁護士でもその合間に刑事事件を担当することができました。しかしながら裁判員制度のもとでは、集中審理が予定されております。数日間集中するためには、事前に相当力を入れて完璧な準備をしておかないと、効率的な反対尋問などはできません。事前に34週間はその事件のためだけに準備をして、どんな証人がどんな供述をしているかを全部頭にたたき込んでおかないと、その場での反対尋問は無理でしょう。また、審理が終われば最終弁論になるわけですが、これも紙を見ながらでは迫力がありませんから、審理の経過を全部頭にたたき込んで、パフォーマンス豊かにやらなければならない。そういう点で、普通の弁護士では対応できなくなるのではないかと考えております。

 裁判員制度の対象となる事件が起訴になりますと、裁判所はかねて用意している候補者の中から抽選で、呼び出すべき人50人ないし100人に呼出状を出します。当初私はその段階でこういう事件だということがその人に分かるのだろうと思っていましたが、必ずしもそうではないようで、実際に裁判所へ行ってみて初めてそこで事件のことがわかり、この事件に関係のある人はいるかと聞かれるような運用になるかも知れません。6週間前の最初の呼びだしの段階で分かるか、あるいは行ってみてそこで分かるか、そのどちらかに落ち着くはずです。

質問 裁判員として抽選で呼び出されると、面接調査がされるそうですけれども、どのようなことを聞かれるのでしょうか。それによって裁判所は、都合のいい人を選ぶということはないのでしょうか。

回答 法律によりますと、職業その他の理由でそもそも裁判員になれない人というのがおります。それから裁判員になれなくはないけれども、本人が希望すれば辞退できるという事由もあります。そこで選任については、裁判所はそもそも裁判員になれないような事情の人にあてはまるかどうか、そして本人が辞退できる場合には辞退をするかどうか、ということを聞くことになるでしょう。一人ずつ聞いていけばとうてい時間が足りないと思われますので、質問票という一種のアンケート調査用紙を使い、この辺ではまだ直接1対1では聞かないと思われます。

 その後で、個別面接で何を聞くのかということになりますと、まだ始まっていないので想像が混じりますが、大変だけれどもやってもらえるかどうか、ということは間違いなく聞くだろうと思います。また、辞退したがっている人には、その具体的な事情を聞いたり、やるように説得したりということもあるでしょう。死刑制度に反対かどうかを裁判長が聞くかどうか、ちょっと私には分かりません。死刑はないだろうという事件もあるでしょうから、その場合にはそこまで聞かないと思います。ただし死刑が対象になっている事件であるならば、たとえば検察官からその人は死刑に絶対反対かどうか聞いてくれと、裁判所に申し出ることはあるだろうと思います。むしろ死刑について自分の考えを述べておきたいというのであれば、むしろ自分のほうから言っておいたほうが確実です。

 警察・検察という国家権力に対してどういうふうに考えているかも聞かれるかも知れません。信頼できる組織であってそのおかげで国民は安心して生活できるといえば、検察側は是非残そうとするでしょうし、逆に弁護側としては、そういう権力組織は暴走しがちだから、国民としてはよく監視しなければ危ない、という人を選ぶでしょう。

質問 裁判員に選ばれた場合に、そういう質問される席が設けられるんですか。具体的に警察について質問されるとか、死刑について質問されるとか。私は死刑はないほうがいいと思っているんですけれども、実際にはそうは言わないで「よく分かりません」と答えたら、偽証というんですか、罰則があるんでしょうか。

回答 最終的に裁判員を選ぶときに裁判長が、たとえば死刑制度をどう思うか、などと口頭で聞くか、それとも質問表に書いてあるか、現段階では分かりません。質問表に虚偽の記載をすると制裁があるという条文があります。虚偽の答えをすると、これに対しては制裁の規定があります。ただし、この制裁を裁判所がどの程度本気で使うつもりでいるのか、現段階ではまだ想像がつきません。たとえばそもそも裁判員になる資格がないのにそれを隠して裁判員になって、被告人の罪を決めたということになると、これは具合が悪いし、判決の有効性の問題が出てくる。だから虚偽の記載あるいは答えに対して制裁が必要かもしれません。

 しかしながら、これが問題になるのは、故意にうそを書いた場合だけです。死刑制度についてどう思うかという問いに対して、お前は本当は反対なのにあのときは分からないと答えただろう、などといって制裁を発動することは、あり得ません。聞かれたときはよく分からなかったけれどもよく考えた結果としていまは反対だ、という人がいたらどうにもならないからです。

質問 私個人の考えでは、民事事件だったら裁判員制度でもいいと思うけれども、なぜ重大刑事事件だけが対象なのでしょうか。それから私も呼出状を受け取らないようにしようかと思ってるんですけど、人から受け取り拒否をもらったら、あんまりいい気持ちはしないですね。もし配達証明とかそういうのを付けなくても、受け取り拒否と書いて出せば必ず戻りますよね。

回答 審議会ではまず陪審制を採り入れるかどうかという議論をしておりました。陪審はもっぱら刑事事件の話でしたので、やるとすれば刑事だという雰囲気がいつの間にかできあがっておりまして、刑事事件以外は審議会ではまったく問題になっておりませんでした。なぜ刑事の中でも重大事件だけなのかということについては、裁判員制度の原案を作った人が、やはり国民にいちばん関心が強いのは重大事件でしょう、と1行だけ説明していますが、それで済んでしまいました。それが審議会の現実です。

 次に受け取り拒否の件ですが、個人の場合ですと自分が出したものが受け取り拒否で帰ってくるとショックを受ける人がいるかもしれませんが、裁判員制度の場合には、相手は裁判所という国家機関ですから、遠慮されるには及びません。裁判所のほうだって、絶対に反対だという人はたぶん受け取り拒否をするであろうと予想しているからこそ、1件で100人近い人を呼び出そうとしていると考えられます。

質問 裁判員の義務として秘密保持がありますが、これはどういうことですか。

回答 まず秘密保持の対象となる秘密の内容ですが、条文によりますと、「職務上知り得た秘密」ということになっております。したがって評議の内容、例えば評決は何対何であったとか、誰はどういう意見であったかということを漏らせば処罰の対象になりますが、裁判員でなくても知ることができたようなこと、法廷で皆が見ていたこと、マスコミで報道されて誰でも分かることならば、まったく問題がありません。

質問 裁判員にならなくてもいい人とは、どういう人ですか。

回答 裁判員法で決まっていて、条文によると、①国会議員、国務大臣、②一定地位以上の幹部職国家公務員、③警察または法律関係者(裁判官、検察官、弁護士、弁理士、司法書士、公証人、警察官、公安委員会職員、裁判所・法務省職員、司法修習生、法律学の教授・准教授)、④都道府県知事、市町村長、⑤自衛官、⑥禁錮以上の刑に当たる罪で公判中の被告人、⑦逮捕・勾留されている者、です。また本人の意思で辞退できる人は、①70歳以上の者、②会期中の地方議員、③学生・生徒で常時通学が必要な者、④過去5年以内に裁判員・補充裁判員であった者、⑤過去1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続に出頭した者、⑥過去5年以内に検察審査会の検察審査員・補充員であった者、⑦次の事情で裁判員として職務を行うことが困難な者──重い疾病、傷害のある者、同居の親族の介護、養育に当たっている者、仕事の上で重要な用務を控えている者、父母の葬式その他生活上重要な用務を控えている者、その他、内閣で定める事情に該当する者、ということになっています。これらの事情に該当するかどうかは、最終的には裁判長が判断します。

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