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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2008/12/24

イラク戦争で劣化した自衛隊と日本④

●自衛隊員による不祥事の数々

次に、近年の自衛隊内で何が起こっているかを見てみたいと思います。

1に、情報漏洩です。04年からファイル共有ソフトWinnyをインストールしたパソコンによる情報漏洩事件が多発しました。装備品(要するに武器)の性能のほか、コールサインや米国からの軍事機密も流出しました。防衛庁は私物パソコン持込禁止で対応し、Dellから40億円分のパソコンを緊急調達して配布しましたが、情報流出は止まりませんでした。その後も武器庫の見取り図とか、訓練資料、隊員名簿等が流出しています。

また、05531日付讀賣新聞が「中国潜水艦、南シナ海で航行不能に」というスクープ記事を掲載しましたが、この記事に関連して情報本部の1等空佐が記者への防衛秘密漏洩で取調を受け、立件されました。記事は1面左肩に6段で出ていますが、何が防衛秘密なのか一読してもまず分からないようなものです。26日ごろ、台湾と海南島の中間あたりの公海で演習中に事故を起こしたことを「日米両国の防衛筋が確認」したというのですが、当該艦が「明」級ディーゼル式攻撃型の「300番台の艦番号」と報道したのが秘密漏洩、つまり艦番号が問題だったようです。他紙は潜水艦事故については追いかけ記事を出さず、情報漏洩事件だけ報道しました。

07120日にはイージスシステムに係る特別秘密漏洩で、横須賀の海自艦隊開発隊の3等海佐を逮捕、護衛艦「しらね」乗組員他4名が書類送検されました。「しらね」乗組員の妻の入管法違反容疑で家宅捜索をした際に、あってはならない情報が発見されたのが発端です。イージスシステムの根幹にかかわる情報を含む、米国から供与された資料で教育用資料を作成し、これが隊外に持ち出された事件でした。関係者に対しては本年1028日に横浜地裁で有罪判決が出ましたが、控訴しています。

0754日には、陸自の教育用ビデオが、なんとYou Tubeに流出して誰でも見られるようになっているのが発見されて、削除されました。仮想敵国(というのはないはずですが)特殊部隊への対処法とか、格闘技指導のビデオだということです。

このような情報漏洩の続発に対して、海自は本年2月、記憶装置のないパソコン3万台を導入することで対応しました。こんなパソコンは使いようがないと思いますが。昨年、GSOMIA(日米軍事情報包括保護協定)が締結されており、米国も自衛隊の情報管理のずさんさについて指摘してきています。

2に、隊内での自殺が増えています。フリーライターの三宅勝久さんがこのテーマで『悩める自衛艦』『自衛隊員が死んでいく』の2冊の本を書きました。イジメによる鬱自殺、そして借金苦による自殺が多いようです。非番の日ごとに「飲む・打つ・買う」にのめり込んでサラ金地獄、というのが定番ですね。

063月の政府国会答弁によれば、イラク派遣隊員の自殺が陸4件、空1件ありました。071月にアカハタが入手した防衛庁作成の「平成17年度自殺事故発生状況」によれば、陸6件、空1件です。

防衛相発表の自殺者数は、02年が78名、03年が75名、04年が94名、05年が101名、06年が101名、07年が83名。年齢別の統計はありませんが、同世代と比べても隊員の自殺率はやや高いのではないかと思います。

また071113日付、照屋寛徳議員の質問主意書に対する政府答弁では、テロ特措法派遣10900名+イラク特措法派遣8800名中、在職死亡は35名で、うち自殺が16名とのことです。退職後に自殺した隊員の数については、防衛省は把握していません。もっとも充実した栄えある勤務を経験したはずの若い隊員がこれほど多数自殺していることに、その絶望の深さを感じます。

3に、いくつかの死亡事件等について見てみます。

護衛艦「きりさめ」はテロ特措法で3回派遣されている船ですが、07730日、インド洋上で20代の海曹長が死亡しました。のち「週刊現代」がスクープして問題になり、910日に防衛省が「自殺の疑いあり」と発表しています。詳細は今も不明です。

護衛艦「たちかぜ」乗員のイジメ自殺事件は0645日に起こった事件です。横浜地裁で係争中で、次回公判は218日です。

護衛艦「さわぎり」乗員のイジメ自殺事件は、99118日に演習航海中に起こった事件です。遺書が紛失しており、貯金が本人でない者によって引き出されています。本年825日に福岡高裁で国賠を求めた遺族が勝訴し、確定しました。

空自浜松基地整備隊員のイジメ自殺事件は、051113日に起こりました。イラク派兵で選抜され帰ってきた隊員が、選抜されなかった先輩に虐待され自殺したものです。29歳、結婚して子どもが生まれた5ヶ月後でした。静岡地裁浜松支部で係争中です。

そして本年99日には江田島の特殊部隊「特別警備隊」の隊員養成課程に所属する3等海曹が、15人を相手にする「格闘技訓練」で死亡しました。同課程を辞退して他へ異動するに際しての「送別」ですから、当然、集団暴行殺人にあたると思います。

関連して、女性自衛官人権裁判について述べます。0699日、北海道の部隊で上官による強姦未遂事件がありました。この女性は泣き寝入りせず隊内で訴えましたが、逆に「お前が悪い、退職せよ」といじめられ、国賠訴訟を起こしました。

これらの係争事件で特徴的なのは、いずれも訴えられた自衛隊側が組織的に口裏を合わせて徹底して否認し、証拠を隠滅していることです。閉鎖社会で起こった事件の事実究明は困難なことですが、裁判の行方に注目したいと思います。

 第4に、イージス艦「あたご」の漁船衝突事件について見ます。平権懇は「なだしお」事件、「えひめ丸」事件に続いてこのような「軍事優先の海」の危険性について注目してきましたし、「あたご」事件直後には声明を発しています。私も横浜での海難審判に通っています。

事件が起こったのは本年219日の朝、千葉県野島崎沖を出漁していく漁船群に「あたご」が自動操縦のまま、海上衝突予防法を無視して回避行動をとらずに突っ込んできたものです。事故通報の遅れで救援活動も遅れて、零細な漁船「清徳丸」の親子2名が行方不明のままとなりました。艦長は就寝中、見張りは雨を避けて甲板から艦橋に入っていたというお粗末さです。

さすがに衆院安全保障委員会では石破防衛相がわびていますし、321日付の防衛省事故調査委員会報告でも、見張りの不備、回避措置の不十分さが指摘されていました。そして艦長が勝浦市の家族宅を訪れて謝罪したため、一件落着のように思われていますが、海難審判が始まると海自は、衝突の原因は漁船側にあったとの主張を始めました。裁決は年初と言われていましたが、今のところ1月の予定には入っていません。

海難審判は衝突の原因と責任について判断します。この結果を待って刑事裁判が始まると思いますが、そこでは「あたご」がハワイで何をしていたのか、なぜ最短距離で横須賀に向かわなかったのか、なども追及されるべきだと思います。なんと言ってもイージス艦がミサイル防衛に役に立つ、つまり米本土防衛に寄与する自衛隊になったことへの驕りが、事件の背景にあったと思います。

5に、いずれも報道では小さな扱いでしたが、特徴的ないくつかの事件について述べておきます。

本年58日、国会構内で自衛官の諫死未遂事件がありました。朝霞の体育学校所属の陸士長です。短刀で切腹しようとして果たせなかったのですが、福田首相あての遺書(未公開)があったということですから、単なる自殺ではなく諫死、つまり君子を諫めての死だと思います。

本年719日、さいたま市内で富士の戦車隊員がバイク無免許運転で逮捕されました。当然、戦車は運転できる、つまり無限軌道限定の大型特殊免許は持っていながら、普通運転免許証も二輪免許証も持っていないからバイクにも乗れない。かつては運転免許がタダで取得できると言って自衛隊に勧誘していたものですが、昨今はそれもままならないほど忙しいようです。

本年918日には、座間市議選に立候補中の予備自衛官が、トラックの荷台から消火器弾を皇居に向けて発射した事件がありました。習志野の空挺団にいたのですが2年で自衛隊を辞めた、つまりエリート部隊について行けなかったのでしょう、次はフランス語もできないのにフランスの外人部隊に半年いた、という人です。消火器弾といってもべつに新左翼との接触もないようですし、「世間を騒がせたかった」「皇居は広くてけが人が出ないと思った」と語るような無思想の人ですね。市議選には当然、落選しました。

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