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ソマリア国連決議を読む
まだソマリアにこだわっている。
政府は3月上旬にも「海賊対策法案」の国会上程を目指している。広島県呉市の海上自衛隊第8護衛艦隊では「さざなみ」と「さみだれ」の2隻(なんか象徴的な艦名だが)が海上保安庁職員を乗せて出港する準備を進めているし、ソマリアの隣国ジブチを本拠に飛んで海上パトロールをするP3C機も出動の準備を進めている。「海賊対策法」の冒頭には、自衛隊・海上保安庁派遣の根拠・権威づけに、国連安保理事会決議が言及されるはずだ。国連安保理はこのところ立て続けに「ソマリア情勢に関する決議」を採択しているが、そのなかでも海自・海保派遣の根拠として重要なのは決議1951。
「海軍艦船及び空軍機の展開並びに同国沖での海賊行為及び武装強盗に組みすると疑わしき船舶・艦船・武器及び関連物資の没収または処分を通じて同国沖における海賊行為及び武装強盗との戦いに積極的に参加することを要請する。」
と昨年12月16日の安保理決議1951には書かれている。この決議の共同提案者のひとりが日本(非常任理事国)だった。この部分だけが報道されて、まあ海賊退治なら助っ人に行ってもいいか、日本のタンカーや豪華客船が海賊に襲われても困るし、と思う人も多いかも知れない。けれども、この安保理決議は海賊対策のためだけに出されたものではない。ソマリアに大国の都合の良い政府を擁立することが主要な目的なのだ。
だからこの決議に従って派兵する国々は「ソマリア暫定政府を支援する」ことになるのだとはっきり書かれている。自国内で会議を開けずジブチで発足した暫定政権が、沖合の大国の軍艦に援護されつつ勢力を伸ばし、安保理決議1863(1月16日)ではこれを統一政府に昇格させるため本年6月には国連PKO部隊を送ることまで決まっている。要するに国連大国はソマリアに「イスラム原理主義」政権ができることを阻止しようと、必死で暫定政権を育てているわけだ。こういうのを内政干渉と言うのではないか。1992-94年に国連が大軍を送って内戦の一方に荷担し、惨敗して撤退した歴史を忘れたのか。
(2009年2月27日)

