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世襲
北朝鮮の金正日総書記もすでに67歳、昨年8月に脳卒中の発作を起こしたとされ、健康問題が心配されるなかで、後継者が誰になるかがさまざまに報道されている。昨年12月1日には朝鮮労働党組織指導部が一部の党幹部に対して、後継を世襲とすることを強く示唆する内部通達を出した、同20日には軍総政治局も軍幹部に同様の通達を出した、というのは朝日新聞報道。毎日新聞はもっと具体的に、人民軍政治局が「後継者に三男正雲氏が選ばれたとする内部通達を出していた」と書いた。ともに北京情報だ。
3月8日の最高人民会議代議員選挙では683人が当選したが、当選者のなかに金総書記の3人の子息の名はなかった。総書記自身が代議員になったのは82年、74年の後継者指名以後8年もたってからだから、不都合はないのかも知れない。しかしこのように世襲を前提とした後継者選びが憶測を交えて報道されるのは、指導者が世襲でなければ国家の統一が維持しがたい苦境を現しているのだろう。金王朝とも揶揄される。しかしながら日本の国会も世襲議員ばかり、米国もブッシュ世襲とクリントン夫婦の4代続く大統領を戴きかねなかったのだから、民主主義の質に関してはいい勝負だ。
韓国軍事政権下での革命運動家群像を描いた李恢成の長編小説『見果てぬ夢』のなかでも、難所のひとつが「後継者問題」だった。朝鮮労働党の意向を伝える羅道卿は言う。「革命は代を継いで行われるのですから。そこで金日成主席に最も忠実で、主席の革命思想を継承・発展させる人物を早く準備する必要がある」「たまたまあの方が金日成主席の御子息だというので絶対に後継者になるのはいかんというのじゃ、これは人権侵害というか、当人に気の毒じゃありませんか」。ヘリクツであろう。
同じような会話が繰り返されるのだろうか。人工衛星「光明星2号」打ち上げが後継者指名を祝う花火であるとしたら……。 (2009年3月14日)
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