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グアム協定を読む
日米間のグアム協定が18日に衆議院本会議で可決され、参議院で審議が行われている。参議院で否決されても5月中旬には成立してしまう。正確には「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」という。すでに2006年5月1日に日米安保協議委員会で合意し、本年2月17日に来日したヒラリー・クリントン国務長官と中曽根外務大臣とが署名した政府間協定だから、本来は国会を通す必要はない。わざわざ国会に上程して条約なみのものにするのは、たとえ政権交代があっても必ず実施するという縛りのためだ。
米第三海兵隊は沖縄に普天間飛行場のほか8箇所にキャンプ・訓練場を持つ。2014年までに一部をグアムに移転して沖縄の負担を減らすから、グアムの基地整備は日本負担で、というのが協定の趣旨。普天間は県内の名護市辺野古への移転で、環境破壊が明白なため反対運動が根強く続いているし、本当に削減効果があるかどうかは疑問だ。だいたい移転費用というから引っ越し代かと思えば、違うのだ。
日本の出費分は司令部庁舎、教場、隊舎、学校、家族住宅、基地内インフラ整備に使われる。家族住宅用地は1エーカー(約4000㎡)あたり5.6戸、二等兵用でも120㎡以上の建物という、なんとも豪勢なもの。締めて日本負担は60億9000万ドル(国民1人あたり約4700円)。米負担は燃料・弾薬施設、道路整備など41億8000万ドル。という数字はまことにドンブリ勘定であって、協定7条に「未使用残額」は返還される規定があるが、すぐその後には日本の同意があれば「他の個別の事業に使用することができる」とある。利子についても同じく同意を得て使うことができる。要するにいったん日本が払ったら1銭も返ってこない。自民・公明政権は米国にはなんとも気前の良いことだ。
必要な費用を積算するのではなく、総額でふっかけて少し譲歩したような顔をする、という米国のやりかたは、72年沖縄返還のときの日本負担と同じ、と岩波新書『沖縄密約』で西山太吉氏が書いている。 (安保条約発効から57周年の4月28日記)

