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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2009年7月

2009/07/29

拡大する民間人の戦地派遣

緊急報告集会

自衛隊の海外派兵が恒常的になるにつれて、自衛隊装備の修理・整備や装備輸送、通信機器の設置などに民間人が動員されるケースが増えています。インド洋、イラク、クウェートなどでどのような事態が起こっているのか。マスコミで報道されることの少ない現状を報告します。

報告者 吉田敏浩(ジャーナリスト)

腹話術「ゴローちゃんの戦地出張」 しろたにまもる

8月8日(土) 13:30~16:30

全水道会館(JR水道橋駅2分)4Fホール

会場費 1000

主催 重工産業労働組合/造船重機連絡会

2009/07/28

読む・読もう・読めば 59

民主党は憲法を変えるのか

民主党は723日に「民主党政策集 INDEX2009」を、次いで27日に「民主党政権政策 Manifesto」を発表した。前者は57頁で目次・索引つき、後者は24頁。ざっと目を通したところ今回の鳩山マニフェストは、実現可能性をそれなりに考慮した2005年の岡田マニフェスト、大衆受けを狙ったような2007年の小沢マニフェストの中間の感じだ。私ども平和運動者にとって興味深いのはやはり安保・外交・憲法に関する記述だが、憲法についての記述は政策集もManifestoも同じで、400字強しかない。さわりを引用してみる。

「民主党は、『国民主権』「基本的人権の尊重』『平和主義』という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し『憲法は国民と共にある』という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改める点があれば改めることを国民の皆さんに責任をもって提案していきます。」ということは要するにやはり民主党は憲法改正を提起すると言っているわけだが、肝心の9条をどのように変えたいのかは明言していない。

続けて「2005年秋にまとめた『憲法提言をもとに』」と書いているので、20051031日付の民主党憲法調査会の「民主党『憲法提言』」を引っ張り出してみる。終わりのほうに「いわゆる憲法9条問題について次の『4原則・2条件』を提示する」とあり、①戦後日本が培ってきた平和主義の考えに徹する ②国連憲章上の「制約された自衛権」について明確にする ③国連の集団安全保障活動を明確に位置づける ④「民主的統制」(シビリアン・コントロール)の考えを明確にする の4原則と、①武力の行使については最大限抑制的であること ②憲法附属法として「安全保障基本法(仮称)」を定めること とある。やはり具体的に9条をどのように改めようとするかは書いていない。

鳩山氏自身は2002年夏に「憲法改正試案の中間報告」を発表して、「安全保障」および「平和主義及び国際協調」の章条の改正試案を書いている。前者には「日本国は、自らの独立と安全を確保するため、陸海空その他の組織からなる自衛軍を組織する」とある。後者には「日本国は、国際社会の平和と安定に寄与するため、集団的安全保障活動に参画するときは、法律により、主権を制限することができる」とある。明らかな国家武装、国連軍への参加を主張するわけだ。この内容を平易に展開して、2005年には『新憲法試案 尊厳ある日本を創る』という本をPHPから刊行した。

仮に民主党単独政権が成立したとしても、鳩山氏の主張がすぐに実現することはないだろう。この総選挙にさいして民主党が、憲法9条をどうするか政策に明確に書けないでいる、その足踏み状態に注目したい。 2009728日)

2009/07/25

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告19

「平和のための国民審査」運動にご協力を

「自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告18」で被告・国が「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」を国会に提出したことを書きました。違憲のイラク派兵を進めた責任者・竹内行夫元外務事務次官は現在、最高裁の判事となっています。8月18日公示、30日投票の総選挙と同時に最高裁裁判官の国民審査が行われます。

昨年から「自衛隊イラク派兵違憲訴訟」の原告、弁護団は竹内行夫さんが最高裁判事にふさわしくないと捉え「竹内行夫裁判官バッテン運動」準備してきました。いよいよ最高裁判所の判事に対する「国民審査」が行われます。

平和憲法をないがしろにする裁判官にはちゃんと意思表示を、ということで、「平和のための国民審査」運動を原告、弁護団が呼びかけています。

運動のリーフレットは、100枚500円、500枚2,500円、1,000枚5,000円。ポスターは1部200円です。送料は別料金となっています。詳しくは下記のホームページをご参照下さい。    http://liveinpeace.jp/

リーフレットなどの注文方法はホームページから注文書をダウンロードし、ファクスでお送りください。

■郵送での注文先  〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-2-7 丸森パークビル7階 荒尾法律事務所  弁護士 荒尾 直志(電話052-587-3900 ファクス052-587-3911)

(2009/7/25 杉山隆保)

2009/07/20

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告18

被告・国が「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」を国会に提出

自衛隊イラク派兵違憲訴訟の原告と弁護団は自衛隊がイラクから撤収した後も被告・国に対して「自衛隊をイラクに派兵した結果を検証せよ」と求め続けてきました。7月3日、ようやく国会に「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」という報告書が提出されました。

このことは自衛隊イラク派兵違憲訴訟の原告と弁護団が「『イラク戦争支持判断の検証』とイラクに派兵された航空自衛隊による輸送活動の十分な情報開示を求める要請書」などを国会に提出し続けてきた地道な活動の成果と言えます。

防衛省のホームページには7月3日付で、国会に提出された「イラク特措法に基づく対応措置の結果について」が公表されました。また、航空自衛隊の運用実績なども一覧で載っています。
http://www.mod.go.jp/j/iraq/kokaihoudou.pdf

この報告は 7月4日付の「しんぶん赤旗」でも報道されました。

空輸活動のためにクウェートに派遣されていた航空自衛隊の空輸実績

・2003~2008年の航空自衛隊派遣期間中、延べ46,479人を輸送。そのうち30,235人(約65%)が米兵を中心とした多国籍軍関係者
多国籍軍関係者の内訳
 米兵          20,372人
 米兵を除く多国軍兵士   1,447人
 文民など軍関係者     5,061人

多国籍軍関係者以外の内訳

陸上自衛隊関係者     10,895
国連関係者         2,799

2004年3月~2005年3月末までは陸上自衛隊関係者が多く4,143人で、米兵中心の多国籍軍関係者は2,026人。しかし、陸上自衛隊撤収と航空自衛隊の輸送先をバグダッド空港に拡大した2006年度には多国籍軍関係者が8,997人陸上自衛隊1.791人と逆転した。

2007~2008年度では全体の輸送人員19,224人のうち多国籍軍関係者が15,880人と約83%に達した。

ご紹介ですが日本民主法律家協会発行の「法と民主主義」の5月号に自衛隊イラク派兵違憲訴訟の評価も含めて<「平和的生存権」の深化を問う>という特集が組まれています。この編集に「平権懇」会員でもある清水雅彦さんが関わっています。 (杉山隆保)

2009/07/19

神田香織さん講談「悲しみの母子像」

■日時 7月25日(土)午後6時30分開演
■会場 葛飾 文芸センター http://www.koyaza.jp/map.html
1977年9月27日、米軍ジェット機墜落事故で3歳と1歳の男の子がなくなり、若い母親・土志田和枝さんが全身に火傷を負いました。幼い子を亡くした母の思いはどんなに苦しかったでしょう。無念の中残念ながら4年4か月後、和枝さんも息を引き取りました。なぜ、こんな悲劇が起きるのでしょう。
私の友人である講談師の神田香織さんは、和枝さんのお父さんである故土志田勇さんに「講談で語り継ぎます」と約束していました。ようやく「悲しみの母子像」という講談が出来上がり、さまざまな所で公演しています。
この講談の冒頭には、「平権懇」発足の契機となった1964年の米軍機墜落事故「舘野鉄工所事件」の舘野正盛さんが登場します。
私が舘野さんから話を聞いたところによると、事故をテレビで知った舘野さんは「俺と同じ目に(被害)遭わせてはならない」と、当時住んでいた神奈川県平塚市から横浜市緑区の事故現場に駆けつけたのです。
ところが、舘野事件と同じように事故現場は、米軍が取り仕切り、被害者さえも立ち入り禁止になっていたのです
(2009.7.19 杉山 隆保)

平権懇2009学習会「日米安保条約50年の現実」(最新記事は1つ下にアップ)

●平和的生存権の新たな展開――長沼訴訟からイラク派兵違憲訴訟へ

(終了しました☆参加ありがとうございます)
7月18日(土)14時~16時  会場・スモン公害センター 参加費500円

講師 新井 章さん

●横田基地見学ツアー――日米同盟変革の現場を見る

(終了しました☆参加ありがとうございます)

8月22日(土)正午 JR青梅線牛浜駅東口スーパー前集合

資料代・1000円

案内人 池田吉人さん、近森拡充さん(東京平和委員会)

友好祭見学の注意事項等は基地のホームページを参照くださいhttp://www.geocities.jp/rhpqq324/

米国発世界経済危機はどこへ向かうのか。現代世界経済・日中経済関係の専門家が、平易かつ縦横に語る。

世界経済危機とアメリカ「覇権」への挑戦

10月9日(金)18時30分から

会場・文京シビックセンター スカイルーム

参加費500円

講師 岩田勝雄さん 1945年生まれ。立命館大学経済学部教授。著書『現代世界経済と日本』『現代国際経済分析論』『グローバル化と中国経済政策』など。

科学技術史の研究者が、ミサイル防衛など米国の軍事経済と日本の産業・技術の一体化について解説する。

日本軍需産業のゆくえ

12月12日(土)14時~16時 会場未定 参加費500円

講師 山崎文徳さん 立命館大学。論文「『被害』の最小化と精密誘導兵器」「アメリカの軍事技術開発と対日『依存』」「原爆症認定集団訴訟運動の到達点」など。

●日時・会場は変更することがあります。「へいけんこんブログ」でご確認を。

2009/07/14

読む・読もう・読めば 58

書籍の流通は変わるか

東京ビッグサイトで行われていた第16回東京国際ブックフェアの専門セミナーとして711日、「2009年本の学校 出版産業シンポジウムin東京」が開催され、特別講演「出版産業の課題解決に向けて」と4分科会が行われた。特別講演といっても、日販・トーハンの2大取次(要するに本の問屋さんですね)、出版社の筑摩書房、大手チェーン書店の丸善、集団仕入をしている書店グループNET21、の5氏によるパネルディスカッションで、司会は出版業界紙『文化通信』の編集長が務めた。

なんと言っても書籍の返品率が40%を超える、つまりいったん書店まで届けられた本の半分近くが売れずに戻って来るのは異常なことだ。委託販売システムでは、書店側が注文しなくても自動的に見計らいで本が届き、その時点でいったん出版社・取次側の収入になるが、期限内に売れなければ返品・精算される。1970年代までの教養主義が生きていたころには有効なシステムだったが、本の定価が相対的に安すぎるのに売れない現状のなかでは、うまく機能しなくなった。小売店の取り分を増やすことが難しいなら、マージンの多い責任販売システムや、また定価販売の縛りを外す(賞味期限の迫った弁当をコンビニで安売りできるようにするのと同じ)時限再販制との併用を進めなければならないだろう。

確かに、読者のニーズを読めない出版社が倒産したり、地域の文化に貢献しない書店が立ちゆかなくなっても、仕方がない。けれども男性書店員が結婚を機に辞める、つまり家族生活が成り立たない給料というのは異常ではないか。書店側から、どこの店に何冊あるというデータまであるのなら、なぜ偏在(ある書店では売り切れで注文しても入らない本が、別の書店では山積みになっている状況)が起こるのか、という問いがあっても、取次側は答えられない。きめ細かな対応をするためのシステム改良と流通経費負担には腰が重いのだろう。

「出版産業シンポ」の前身は1995年から5年間続いた「本の学校 大山緑陰シンポ」だった。米子の今井書店が肝いりとなって全国から出版業界人が集まり、「地域から描く21世紀の出版ビジョン」を熱く討議した。復活をとげ東京国際ブックフェアに併せて開催されるようになって4年目だが、次第に本音の議論ができなくなっているように思える。今回の特別講演でもオンライン書店について、ブックオフについて触れられることがなかったのは、これらに深く関与している取次への遠慮からではないかと思ってしまう。

200971 4日)

2009/07/05

沖縄密約文書開示訴訟・第1回口頭弁論  

「米国が公開している外交文書は存在しないのか」

杉原・東京地裁裁判長が、被告の国側に質す

 

ジャーナリスト 池田龍夫(元『毎日』記者)

 沖縄返還交渉をめぐる疑惑は、米国の外交文書公開によって「日米密約の存在」が暴露されてから約10年経過した現在も、歴代日本政府は「密約はない」と一貫して否定している。1972年の沖縄返還から37年経過したが、政府は「文書不存在」をタテに真相を隠蔽し続けているのだ。

西山太吉・元毎日新聞記者のスクープが事件の発端で、政治権力の強引な捜査は、今でも記憶に残る。佐藤栄作政権は問題の本質を隠すため、事件を「外務省機密漏洩事件」に矮小化して西山記者を国家公務員法違反(秘密漏洩の教唆)容疑で逮捕。一審は無罪だったが、控訴審→最高裁判決で逆転・有罪が確定して〝記者生命〟を失う結末となった。ところが、米国公文書の発掘に続き、当時の外交交渉責任者、吉野文六外務省アメリカ局長の「密約文書に署名した」との発言が飛び出した。長年沈黙を続けていた西山氏は2005年、不当判決に対して「国家賠償請求訴訟」を提起。東京地裁、東京高裁、さらに最高裁へと審理は3年余続けられたが、最高裁第三小法廷は2008年9月2日、実質審理に入らぬまま一、二審と同様上告を棄却した。国民が最も知りたい「密約の存在」には一切触れず、「除斥期間」を唯一の理由に、原告の訴えを却下したのである。日米間で取り交わした文書の有無に一切口を閉ざし、新証拠や証言を無視した〝逃げ腰〟の姿勢は、言語道断と言わざるを得ない。当日たまたま都内で、有識者による「沖縄返還に伴う日米の合意文書・情報公開請求の会」が開かれており、最高裁の〝抜き打ち的決定〟の連絡に衝撃が走った。まるで〝先制攻撃〟のような司法の通告に反発、同日午後直ちに代表者が外務・財務両省を訪ね、「沖縄返還交渉の情報公開」請求を迫ったが、これも10月2日「文書不存在」を理由に却下された。これに対し有識者と弁護団は2009年3月16日、「不開示処分取り消しを求める訴訟」を東京地裁に提起した。原告は、桂敬一・柴田鉄治・新崎盛暉三氏を代表者に、西山太吉・奥平康弘・我部政明・澤地久枝・田島泰彦氏ら総勢25人。同時に清水英夫・小町谷育子・飯田正剛・日隅一雄・岡島実・梓澤和幸氏ら30人の弁護団が結成された。以上が、「沖縄密約訴訟」についての概括的な経緯である。

    明解さに欠ける国側〔答弁書〕

 一連の疑惑を正すため「沖縄返還〝密約文書〟公開請求訴訟」第1回口頭弁論は、2009年6月16日午後4時、東京地裁705号法廷で開かれた。原告・弁護団席には20人余が着席し、異様な緊張の中で審理が進められた。

 被告の国側は、原告が開示を求める3文書につき「いずれも保有しておらず、原告が主張する事実関係については確認できない」と〝密約の有無〟への言及を避けた。国側が提出した答弁書第4<被告の主張>に、注目すべき記述があるので原文を紹介する。

 「外務省及び財務省は、本件各開示請求対象文書をいずれも保有しておらず、各対象文書に関して原告らが主張する事実関係については確認することができない。なお、一般 論としては、二国間又は多国間の合意に向けた交渉の過程において仮に様々な文書が作成されたことがあったとしても、それが交渉の最終的な結果である合意自体でない場合等に、事後的に廃棄されることがある。また、沖縄返還に際しての支払に関する日米間の合意は、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(以下『沖縄返還協定』という。)がすべてである。したがって、本件各処分にはいずれも何らの違法はない。詳細は、追って、準備書面をもって明らかにする」。

 この「国側答弁書」を受けて、杉原則彦裁判長は「米国に密約文書があるのだから、日本側にも同じ文書が存在するはずだとする原告の主張は理解できる。もし密約そのものが存在しないというのであれば、米国の公文書をどう理解すべきなのか、国側は合理的に説明するする必要がある」と述べた。さらに「一般論としては、事後的に廃棄されることがある」との国側答弁書につき、「事後に廃棄ということは、当初は保有されていたということか」と問い質す場面もあった。国側は「確認はできない。過去に存在したかどうか、可能性は分からない」と答弁するのが精いっぱいだった。

   米国並みの「情報公開」を迫った原告の[意見陳述]

 原告団を代表して桂敬一氏(メディア研究者)と我部政明・琉球大学教授が熱っぽい意見陳述を行ったので、ほんの一部を引用して参考に供したい。

[桂氏の陳述]冷戦時代の遺産さながらの沖縄密約は清算、沖縄問題を含めた今後の日米関係構築に必要な政策は、透明性が確保された協議体制の下での検討が望まれる。日本はまず、アメリカの情報公開制度、とくに政府交換文書の公開制度を見習わねばならない。それは、政府が立案・実施で過ちを犯しても、いつかその原因を発見、政策を正道に戻す、政治の民主的復元力を保障してきた。日本政府は手始めとして、沖縄密約に関してアメリカが公開したものに見合う文書資料を、もう公開すべきである。本裁判がそれを促し、国民の知る権利を満たし、政府に対する信頼の回復に資する役割を演じられんことを、私は期待する。

[我部氏の陳述]今回公開を求める3文書の中核は、アメリカ側は沖縄返還に伴う費用負担を全く行わないばかりでなく、沖縄の米軍基地の返還において、移転に伴う費用に加え日本本土にある米軍基地の施設改善費を日本側に支出させることにあったという点です。………交渉の結末は、アメリカ側の提示した基地返還に伴う移設や基地内の施設改善のための費用を軸にして他の項目も一括で支払う(lump sum payment)とする政治決着で日米が合意しました。それは、佐藤首相の訪米直前の1969年11月12日です。その合意に際して、沖縄返還の財政交渉に終始かかわっていた当時の福田赳夫・大蔵大臣が口頭で覚書を読み上げています。………(これまで述べてきたように)日本側とアメリカ側が署名している合意文書が(アメリカ国立公文書館などに)存在しているのです。明らかに、日本の外務省や財務省にも同一の合意文書が存在しているはずです。政         権を担当し、政策を実施すべき政府が、外国政府との間で自ら合意した取り決めを軽視  することは、国民の利益を無視することです。政権の都合と国民の利益のいずれかを優先すべきなのかという基本姿勢を理解しえない政府だとすれば、国民の信頼は消滅します。たとえ当時の政権にとって好ましくない合意であったとしても、「知る権利」「政府の透明性」を高めて、国民信頼をかちとり、そして日本の外交の現実を知らせることこそが国民の正確な外交判断を促していくものだと確信しています。

 

1990年代から米国公文書館などで「沖縄密約文書」発掘を続けてきた我部琉球大教授の意見陳述は、具体的例証を提示して迫真力があった。たじたじの国側は〝我部陳述〟の取り扱いに注文をつける一幕もあったが、杉原裁判長は、原告の意見陳述を『雑記録』ではなく、『弁論』として位置づける判断を示した。さらに裁判長が、メディアに「密約の存在」を明らかにしている吉野文六・元外務省アメリカ局長を証人に招くよう原告側に促すなど踏み込んだ姿勢を示した。最後に、次回の弁論日程につき裁判長が「1カ月後でいかがですか」と問いかけたところ、国側は「2カ月の準備期間」を要請。結局、「8月25日第2回口頭弁論」を決定したが、裁判長は国側に向かって「2カ月もあるので充実した書面が出ることを期待します」と念を押して、閉廷した。

    どう報じるか? マスコミの問題意識と報道姿勢

 ついで午後6時から弁護士会館で原告・弁護団の記者会見があり、引き続き報告集会も開かれた。小町谷育子弁護士は「裁判長が冒頭から文書の廃棄につき国側に説明を求めるなど、今までにない積極姿勢に裁判長の決意を感じる」と感想を述べたが、他の原告・弁護団メンバーも〝訴訟指揮〟ともいえる裁判長の姿勢に好感を示し、今後の展開に期待する発言が目立った。「個人の力ではなく、集団が動き出したことが裁判所の変化につながったと思う」(西山太吉氏)との見方もうなずける。また、裁判長が「吉野氏の証人喚問」を要請した点を評価、直ちに弁護団が接触することになった。高齢のため出廷が困難なら出張尋問をとの提案もあり、吉野証言をぜひ引き出してもらいたい。

 報告集会の中で「沖縄密約問題は過去のことではなく、現在のグアム移転など日米軍事再編につながる重大問題である。各メディアはもっと強い問題意識をもって報道してもらいたい。今こそマスコミの姿勢が問われている」との指摘や要望が多くの方から出された。沖縄弁護士会所属の岡島実弁護士が席上、「沖縄と本土の情報格差が大きい。

この種の報道は、沖縄に比べて本土マスコミは殆ど取り上げず、その格差は100対1くらいだ」と発言した。〝100分の1〟はともかくとして、冷淡な本土マスコミへの痛烈な指摘と受け止めたい。

 そこで、本土と沖縄の主要各紙が6月17日朝刊にどう報じたかを点検したので、具体的な内容を提示しておきたい。

 在京6紙のうち「密約文書開示訴訟」を報じたのは『朝日』『毎日』『東京』3紙で、『読売』『日経』『産経』3紙は全く扱っていなかった。密約訴訟自体をどう見るかは各新聞の自由だが、好むと好まざるに拘わらず、論議が続いている裁判を1行も報じなかったのは何故か。まさかと思って、何回も読み直したが見当たらなかった。

『朝日』は社会面に<密約文書『ない理由を示せ』・国に裁判長要請>の4段見出しを掲げ、国側に説明責任を求めた点を重視、裁判長発言を引用して詳しく報じた。『毎日』は第3社会面に<国側『文書保有せず』・初弁論で争う姿勢>の3段見出し。『東京』は第2社会面に<元局長に証人依頼を・沖縄『密約』で裁判長>の2段見出しだった。司法記者に「情報開示」を求めた異例の裁判との視点があれば、訴訟の本質を読者に伝えるべきテーマであり、『朝日』の記事・扱い方を妥当と考える。

 沖縄県紙はどう報じたか? 『琉球新報』は1面に<国に『十分な説明』要求・裁判長、整合性に疑問呈す>の4段見出し。さらに社会面に<文書『当初は保有?』・裁判長が積極質疑>の4段見出しで関連記事を伝えた。『沖縄タイムス』は1面に<元外務省局長の尋問促す・原告側が申請検討>の4段見出し。これを受けて社会面に<国は米側文書の説明を・裁判所が『異例の指揮』>の4段見出しで報じた。両県紙の問題意識、紙面内容と扱い方に共通点があり、沖縄の〝戦後の苦悩〟の一端を反映しているとも感じた。その記述は、裁判長の発言、姿勢などを客観的に報じており、「沖縄県紙だから…」の誇張がなかった点でも、行き届いた紙面と評価できる。

「沖縄密約」問題をケーススタディーとして考察した論稿であり、新聞の優劣を軽々に論じるつもりのないことを、お断りしておく。ただ、ニュース報道に当たって、思想・信条に凝り固まった判断を下してはならないと思う。ニュースを敏感に捕らえ、問題の背景や真実に迫ることこそ、ジャーナリズム永遠の課題なのである。2009年6月25日 記)

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