読む・読もう・読めば 67
防衛予算「事業仕分け」 来年度予算概算要求から無駄な部分を削減するための「事業仕分け」が行われた。防衛省予算がどうなるか気がかりなので、この部分に関してネット中継を見た。国民が注視するなかリアルタイムで議論が進むのは初めてのことだろうし、そもそも個々の装備品の要不要についてそれなりにチェックが行われたのは画期的なことではないか。他省分の場合とは異なって言い分も聞かずバッサリということもなかった。ただし「仕分け人」がいかにも軍事知識に疎い素人集団で、切り込むべきところを切り込まず官僚の言うままになったのは、いかにも情けない。下記のことは誰も指摘しなかった。 戦車16両157億円。74式から90式への更新が続いているわけだが、いまどき戦車などというものが必要なのか。自重50トンと重いので橋も渡れず原野でしか使えず、実際に北海道のほかは教育隊にのみ配備されている。つまり待ち構えている北海道か富士山麓に敵が上陸してくれた時にだけ役立つ武器なのだ。 ヘリ搭載護衛艦1隻1181億円。退役する「しらね」の代わりだが、「しらね」が全長159メートル、5200トンであるのに対して248メートル、19500トンと4倍近い。空母に改装可能と騒がれた「ひゅうが」「いせ」に続く全通甲板だがさらに大型だ。4000人を運べるというのだから、海外派兵専用としか思えない。 PAC3ミサイルの3高射群配備増に944億円。次世代ミサイル防衛システム開発までのつなぎであって、テポドン騒ぎのときのドタバタぶりを見ると実用性はまことに低いと思われるが、仕分け人の面々は日本攻撃のミサイルを「7割がた落とせる」との説明を疑おうともしない。ミサイル防衛は米国との共同開発だから、早めに撤退しないと経費は莫大なものになるはずだ。 全体として装備費用に「見直しが必要」としつつ、「政治判断を待つ」と結論を保留した。その一方で自衛官3500人の増員は認めず、思いやり予算のうち人件費の見直しを求めた。次々と大型艦を導入して人員増をしなければ自衛官の人手不足はさらに深刻になり、隊内でのイジメやウツがさらに増えるだろう。基地従業員給与を「地域事情に応じた給与体系」にすれば、沖縄経済はさらに落ち込むだろう。なんという矛盾だろうか。 (2009年11月28日)
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