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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2010/01/30

読む・読もう・読めば 70

ユダヤ人とは誰か

イスラーム支配下では三種混合で平和共存していたイベリア半島の一神教徒、つまりイスラーム・ユダヤ・キリストの信徒たちは、レコンキスタすなわちキリスト教徒による「失地回復」が1492年に成し遂げられたおかげで反目あるいは敵対し、棄教あるいは亡命する者が相次いだ。同じ年にコロンブスが新大陸を「発見」したわけだから、キリスト教徒による「近代世界」秩序の形成は、構造的に武力による信仰の圧殺を伴っていたことになる。

ヴェネツィアに移住したユダヤ教徒たちが最初の「ゲットー」を形成した事情について、建築史学者の陣内秀信さんが書かれた『イタリア海洋都市の精神』(講談社、2008年)を読んで、初めて理解することができた。1516年、都市国家であるヴェネツィアの共和国政府は、流入するユダヤ教徒を郊外の「ゲット」と呼ばれていた湿地に集住させたという。いまやナチスによるワルシャワの「ゲットー」が有名だが、語源はここにあったのだ。ヴェネツィアに移住した亡命ユダヤ教徒の営む銀行業は歓迎されたが、1564年生まれのシェイクスピアに『ヴェニスの商人』を書かせもした。

陣内さんは書いている。「ユダヤ人といっても、出身地により異なるグループを形成し、ドイツ系、スペイン系、イタリア系をはじめ、5つのシナゴーグ(集会所)ができた。それぞれのグループで、言語も食生活も宗教儀礼も違うのである。相互の衝突を避けるため、共和国はユダヤ人の居住地域を巧く分けていたのである。」なるほど。16世紀の話ですよ。20世紀のイスラエル建国がどれほど無茶なことだったか、よく分かる。紀元132年にローマ帝国が属州ユダヤの反乱を制圧、「ユダヤ人の放浪」が始まってからイスラエル建国の1948年まで、「ユダヤ人」が等質の民族であり得たはずがない。ナチスに協力したヨーロッパの贖罪意識と排外主義とが人工国家を生んだのだろう。むろん、陣内さんはそんなことは書いていないわけで、引用部分以外は私の考えだが。

マルクスを含むヘーゲル左派にとってもサルトルにとっても難所であった「ユダヤ人問題」。いまや核兵器廃絶に向けての難所として、人権問題の難所として存在し続けている。

2010128日)

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