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普天間「本土」移転ならいいのか
沖縄の米軍普天間基地は住宅街に囲まれ、いつ重大事故が起こっても不思議ではないところだ。すでに日米間で移転の合意ができているが、移転先が決まらない。当初の予定地、辺野古にはジュゴンがいる。鳩山首相は5月までに決着と言うが、混迷は深まるばかりだ。
1月18日、岩波書店『世界』編集長の岡本厚さんを事務局役とし、岡本さんを含む18名の「知識人」を呼びかけ人とする「普天間基地移設についての日米両政府、及び日本国民に向けた声明」が発表された。たくさんの賛同人のなかには、私達の仲間の名も見られる。「知識人」でない個人、市民運動などの賛同者280名は名前も出ない。
声明は言う。「沖縄県内に普天間基地の機能を移設することに反対する。」賛成。「沖縄の基地は不要である。……いずれは撤去を実現することを目指して努力すべきである。……まずは、日米地位協定からはじめて……安保条約そのものの見直しへと進んでいくべきであろう。」賛成。しかしこれらの文章にはさまれて、このように言う。「現在の日米安保体制を前提とする場合であっても、本土の米軍基地への受け入れの可能性や国外移転を真剣に検討すべきである。」はて。
当然のことながら、鳩山さんも岡田さんも福島さんも、「本土への受け入れの可能性」の部分だけに注目した。「本土」ならいいんだ。「知識人」たちのお墨付きだ。果てしのない引っ越し先探しが始まる。社民党はたくさんの「本土」移転先候補地の名を挙げてみせ(党のホームページにはこのような大事なことは載らないが、商業新聞には載っている)、ただちに名前の挙がった東富士などから抗議された。
なぜ「本土」などという表現を使うのか、「沖縄以外の都道府県」でいいじゃないか。本来、占領中に不法に占拠された土地は移転などと言わず無条件で返還されるべきだろうが。「本土」移転ののち、あらためて撤去運動をするのかね。賛同者を募るなかですでに多くの疑問と反論が渦巻いていたが、予定通りに声明は発表されて、危惧の通りに悪用されている。賛同された「知識人」にあらためて聞きたい。本当に「本土」ならいいんですか?
(2010年2月28日)

