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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2010/03/29

読む・読もう・読めば 74

「核持ち込み密約」は密約か

39日、岡田外務大臣の諮問による「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会報告書」が発表された。「有識者」5名はいずれも大学教授。同日、日本共産党の志位委員長が記者会見で「『日米核密約』に関する『報告書』について」という文書を発表した。そしてこれも同日付で発行の国会図書館『調査と情報』誌672号に、同館外交防衛課の松山健二氏による「日米安保条約の事前協議に関する『密約』」と題する論文が発表された。松山論文は当然、有識者委員会報告書の発表前に書かれたものであって、外務省に保存されていた諸文書の探索結果を待たずに、それまでに日本政府発表以外の手段で明らかになった事実をもとに書かれたものだが、ともかく並べて読んでみよう。有識者委員会が調べた「密約」は4テーマあるが、ここでは核兵器搭載米艦船の無断寄港のテーマに絞る。

有識者委員会報告はいう。検討すべきなのは安保条約第6条実施に関する交換公文の、非公開の「討議の記録」である。それを読んだ結論として、「核兵器を搭載した米軍艦船の日本寄港は……事前協議の対象になるか。日米両国政府間には、今に至るもこの問題に関する明確な合意がない。……米国政府は……事前協議の対象外との立場をとり続けた。……日本政府は米国政府に米国側の解釈を改めるよう働きかけることはなく、核搭載船が事前協議なしに寄港することを事実上黙認した。……日米両政府間には、『暗黙の合意』という広義の密約があった。」この問題に関する日本政府の説明は「嘘を含む不正直な説明に終始した」が、それは「冷戦下における核抑止戦略の実態と日本国民の反核感情との間を調整することが容易でなかったという事情を考慮に入れて論じられるべき」だという。要するに解釈の違いを是正することなく推移したのが問題であって、狭義の、つまり明文の「密約」はなかったという判断だ。

松山論文は同じ「討議記録」を分析して、次のようにいう。「米国は、米艦船・航空機の進入・通過は核兵器搭載の有無にかかわらず事前協議の対象外と理解していた」。しかし日本政府が米核持ち込みに事前協議が不要と認識していたかどうかについては、何も書いていない。米国のNCND政策、つまり核兵器の存在について肯定も否定もしない政策があるもとで、日本の安全保障にとって核搭載艦を「受け入れることが必須であったかどうかは一概にいえることではない」と松山論文はいう。つまり、これまでの米核搭載艦の寄港には必然性があった可能性もある、と言っているわけだ。そして米国が海軍の戦術核兵器撤去を完了させた「現在、日本に核兵器搭載米艦船が寄港することはない」ともいう。本当に原潜まで含めた米艦船がすべて核不搭載ならNCND政策は無意味になってしまうわけだから、これはあまりにも楽観的な判断ではないか。しかも将来は「戦略核兵器は同盟国の領土・領海を経由することなく使用できる」から「日本への進入・通過を求める可能性は非常に低い」という。要するに、昔の核持ち込みはそれなりに事情があったことでいま言っても仕方のないこと、今後は同様なことはないから大丈夫、と言っているに等しい。

共産党は、これまた同じ「討論記録」を問題にしている。そしてその討論記録の解釈に関する196344日の大平・ライシャワー会談の結果をライシャワーが本国に報告した、「現行のアメリカ側説明の方向に完全にそって、完全な相互理解に達した」と書いている文書を挙げる。米国側にとっては解釈の違いなどなかったわけだ。この文書は米国ではすでに公開されているから共産党もコピーを入手しているわけだが、問題の大平・ライシャワー会談を日本側はどのように記録したのだろうか。事実究明を、有識者委員会報告で幕引きさせてはならないと思う。  (2010328日)

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