読む・読もう・読めば 81
「みんな」の公約
勝者のない参院選で、ひとり気を吐いたのは「みんなの党」だった。衆院で3分の2の議席を持たず、参院で過半数を持たない与党は、野党の協力を得なければ1本も法案を通せなくなった。「みんな」がキャスティングボートを握る場面も多発するだろう。というわけで、「みんな」の選挙公約をあらためて読んでみる。
多くの党が選挙向け政策集を「マニフェスト」と称しているのに対して「みんな」は「アジェンダ」と差別化している。そして何よりも文章がわかりやすい。俗受けする表現と言ってもよい。5章構成で、順に、Ⅰ 増税の前にやるべきことがある! Ⅱ 世界標準の経済政策を遂行し、生活を豊かにする! Ⅲ 「地域主権型道州制」の導入で格差を是正する! Ⅳ 激動する国際環境を踏まえた戦略的な外交を! Ⅴ 財源はしっかり手当てする! となっている。
もう少し細部を見る。「日米安保体制を基軸(米軍再編への協力などを含む)」、「対等な同盟関係という立場から、『思いやり予算』の見直し、沖縄の米軍基地負担軽減」というあたりは、鳩山内閣が掲げながら米軍とマスコミの包囲のなかで潰えた政策に似る。「急迫不正の侵害に対する自衛権の行使、テロやミサイル、海賊など新しい多様な脅威に対応」、「アジア太平洋地域内で、経済、エネルギー、環境、安全保障各分野での協力を促進」は、自民・民主に通じる。「自衛隊の海外派遣については……国連等の国際的枠組みの下で」は小沢氏に通じる。つまり安保・外交に関しては自民・民主といくらでも協調できる。経済に関しては基本的に新自由主義への先祖返りだ。
見逃せないのは、政策ポスターを張り巡らしたとおり、「外国人参政権に反対し、新たな国家の枠組みを構築する」というあたりだ。この延長線上に改憲について「憲法調査会を早急に始動して議論を開始」があるし、「安全保障環境について国民的論議を喚起」というのも気になる。このあたりが「在日特権を許さない市民の会」だけでなく田母神俊雄氏や小林よしのり氏のファン層も含めての琴線に触れたとすれば、「みんな」の台頭は「愛国」「国益」派の定着を示したことにもなる。 (2010年7月15日)
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