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米韓合同演習
11月28日の今日から12月1日までの予定で、米韓合同軍事演習が行われる。これに参加するため米原子力空母ジョージ・ワシントン、ミサイル巡洋艦カウペンス、駆逐艦シャイロー、ステザム、フィッツジェラルドの計5隻が24日朝に横須賀を出港した。23日に起きた延坪島への北朝鮮砲撃事件への対応であり、要するに北への武力威嚇だ。
砲撃事件は野蛮・無法な行為であり、北朝鮮は無条件で謝罪・補償すべきであることは論を待たない。しかしマスコミ報道を見ていると、今回の事件は北の計画的な挑発だから最大限の制裁が必要だとか、対抗のため米日韓のいっそうの軍事一体化が必要だとかの世論を誘導しようとしているように見える。私は金王朝の代替わりが進む北朝鮮を民主主義とも社会主義とも思わないけれども、帝国憲法下日本の天皇と軍隊の関係にたいへんよく似た状況にあると考える。軍の一部の暴走をどのように抑えるかが問題だ。
今年の3月8日から18日まで、米韓合同実動演習キー・リゾルブが3万8000人の参加で行われた。また8月16日から29日まではコンピューター・シュミレーションによる米韓合同演習ウルチ・フリーダム・ガーディアンが8万6000人の参加で行われ、これには韓国の地方自治体等4000機関が協力した。いずれも北の侵攻から韓国を防衛するシナリオに基づく演習だ。前者に例年と異なり米空母が参加しなかったことは、米軍の朝鮮半島軽視を印象づけたかもしれない。後者で「開戦初日に韓国の死傷者10万人」という結果が出たことは、戦争で南の勝利は確実でも消滅する北を含めた戦後復興の困難さを考えると、なんとしても戦争回避をと米韓に思わせただろう。だから北は安心して挑発する。
今回、第7艦隊主力が事件翌日に出港できたのは、12月3日から10日まで沖縄周辺等で予定されている、島嶼防衛等日米合同軍事演習が以前から予定されていたからだ。しかしジョージ・ワシントンが沖縄でなく黄海(韓国名では西海)に向かい、泰安半島沖を越えて北進すれば、北京攻撃が可能な海域に入り、中国を刺激する。北も南も米国も中国も、誰も戦争など望んでいないのに、同盟がある以上は臨戦態勢を取らざるを得ない。小規模でも衝突があれば犠牲になるのは兵と民だ。なのに、朝鮮半島への出撃基地である日本の首相、朝鮮有事には米軍と共同作戦を行う自衛隊の最高指揮官である菅さんの存在感は、まことに薄い。 (2010年11月28日)

