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船橋
脱小沢と減点法とで最後に残った野田佳彦さんが首相になる。原発推進・日米同盟基軸の人だし、藤井裕久元財務相が後見役になるから、増税・大連立への道が開かれたということだろう。次の参院選までは国会の状況が大きく変わることはないという「安心感」もある。残念ながら、政権交代時の、福祉重視・対等な日米関係という民主党の「売り」は、完全に払拭された。
野田さんは千葉県船橋市薬園台に事務所を持つ。薬園台小・二宮中・県立船橋高・早稲田大学政治経済学部、という学歴からして、長くこの地にお住まいなのだろう。薬園台は旧成田街道の、船橋宿から大和田宿への中間にある。小石川養生所の薬園があったことから名付けられた地名だが、野田さんの生まれた1957年にはまだ農村地帯だったと思う。いまはこのあたりはJR総武線、京成線、新京成線、東葉高速鉄道の4線が通る住宅地に変身して、毎日の辻説法をする駅もたくさんある。高度経済成長時代に船橋市は埋め立てで南に市域を広げ、1955年から77年まで海岸にまことにバブルに存在した「船橋ヘルスセンター」などという行楽地跡も(現ららぽーとTOKYO-BAY)、いまや内陸となった。
新京成線は鉄道連隊の線路の払い下げを受けて始まったので、何度も改修されたが今だに信じられないようなカーブが右へ左へと続く。薬園台駅のふたつ先が東葉高速との乗り換え駅、北習志野(きたならしの)という、これも信じられないようなひどい名前の駅だ。船橋宿の飯盛女「八兵衛」のことはここでは置くけれども、このような土地の出身者が首相に上り詰めた。船橋という土地が悪いのではないしそこに住む人が悪いのでもない、単なる印象からだが、日本の未来は明るくない、と思う。 (2011年8月29日)

