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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

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2011/09/15

読む・読もう・読めば109

書くということ

サラ・パレツキーは米国で愛国者法を強く批判するなど社会的な発言を続けている作家のひとりだが、ミステリ界のベストセラー作家であることから軽視されるのか、日本ではその発言が十分に評価されていないように思われる。昨年10月に東京で国際ペン大会が開かれて来日、早稲田の大隈講堂で90分にわたって講演したときにも、これを報道したマスコミはなかった。わずかに朝日新聞がインタビュー記事を掲載した。愛国者法とは9.11テロ以後の米国で成立して今なお有効な、なんら具体的な証拠がなくても政府がテロリストと疑った人物に対しては憲法の人権条項は適用されず、自由に監視・盗聴・逮捕し、無期限に拘束できるという法律だ。

来日に合わせて刊行された『沈黙の時代に書くということ』は彼女が2002年から全米図書館協会の依頼で「発言と沈黙」をテーマに行っている講演を元にしている。それは「愛国者法のもっとも悪質な条項を用いた攻撃の矢面に立たされているのが図書館だから」だ。誰がどのような本を読んでいるか、政府の命令があれば図書館は個人情報を提供しなければならない。「危険」な本を読んでいる読者にはただちにテロリストの容疑がかかる。

愛国者法とともに米国の作家が縛られているのは、出版産業が衰退し、一握りのメディア複合企業の傘下に入ったことだ。その結果、「超大型店で毎年売れる本は、ストックされている15万タイトルのうち500ほどである。」だから「ベテラン作家でさえ、いまの時代、出版社を見つけられずにいる。」大量に売れそうなものしか書けないとなれば、書かないほうがマシと考える作家も多いだろう。

パレツキーの書くミステリ中には編集者でありもの書きであるでもある人物がよく出て来る。そのひとりドン・ストレイペックは『ビター・メモリー』の中でこのように嘆く。「おれがバルセロナにいたあいだに、うちの幹部が《ジャーナル》のインタビューに答えて、『作家は本の中身の提供者にすぎない』と宣伝しやがった。つぎに、原稿をタイプするさいの規則一覧表を送りつけて、本の中身の提供者を単なるタイピストに格下げしちまった。」編集者にはとてもよく分かる話だ。

パレツキー作品の「進化」については別稿(『葦牙ジャーナル』掲載予定)で書く。残念なのは、日本はまだ米国ほど表現者にとって厳しい環境ではないにもかかわらず、パレツキーのように本質をつく発言をする者が少ないことだ。要するにインテリが少ないのですね。「がんばれ日本」とか、「脱原発」とか、時流に乗った一般論なら誰でも言えるけど。
(2011年9月14日)

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大内要三 コラム「読む・読もう・読めば」」カテゴリの記事

コメント

愛国者法の正式な名称を英語で表記するとUniting and Strengthening of America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act (テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供してアメリカを統合し強化する法)で、それらの単語の頭文字を並べてUSA Patriot Act(米国愛国者法)と呼ぶ。この語呂合わせを思いついた人物の得意そうな顔が想像できる。まあ「座布団一枚!」というところか。

法律の内容は、裁判所の命令がなくても、テロリストと疑われたら、電話もメールもインターネットも手紙も傍受され、金融情報も医療情報も開示され、人権を無視して逮捕・拘束あるいは国外追放されるかもしれない。加えて当局は図書館の帯出記録だけでなく書店の販売記録にもアクセスできることになっている。

ネット書店のアマゾンを使うと、購入記録だけでなくタイトルをチェックした記録まで収集して分析し「お薦め本」を選んでくれるのだが、このような記録も調べられているとしたら・・・大内さんの著作をレビューして高評価している私もテロリストの仲間と目される危険にさらされているかもしれない(笑い)。

以下、いくつかの参考文献を紹介(読んではいませんけれども)。
Brasch, Walter, M., America’s Unpatriotic Acts: The Federal Government’s Violation of Constitutional and Civil Rights. 2005 (Peter Lang, SZ) ISBN 9780820476087 paper

Etzioni, Amitai, How Patriotic Is the Patriot Act? Freedom versus Security in the Age of Terrorism. 2004 (Routledge, US) ISBN 9780415950473 hard

Foerstel, Herbert N., Refuge of a Scoundrel: The Patriot Act in Libraries. 2004 (Libraries Unlimited, US) ISBN 9781591581390 cloth

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