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あたご事件控訴審傍聴記3
5月15日、第3回公判。2人の検察側証人への質問が行われた。1人目はマロールというオートパイロット(船舶自動操舵装置)の製造・販売会社の技術部長兼品質管理部長。康栄丸が搭載していたオートパイロットの性能について証言した。今回の事件の被害船、清徳丸のGPS(全地球測位システム)の記録が失われているので、僚船である康栄丸のGPS記録と、同船からの清徳丸の見え方の証言が、清徳丸の航跡を推定する重要な証拠となっている。だから康栄丸の動き方が問題なのだろう。もっとも訴状が見られないので、検察がここで何を確認したかったのか、よく分からない。途中、被告人自身が質問しようとしたが、裁判長は許可しなかった。
2人目の証人は第2回公判の続きで、横須賀海上保安部の救難専門官。控訴審に提出された清徳丸の航跡図について、弁護側からの質問が長々と行われた。弁護側は23年10日7日付の捜査報告書に11月11日のデータが使われている矛盾をつき、また航跡図の作成方法がずさんであることを証明しようとした。この日は13時30分開廷、休憩をはさんで16時52分閉廷。時間がかかったのは、2人目の証人に作図をしてもらったため。
5月30日、第4回公判。第2回公判の続きで、日當博喜・海上保安大学副校長に対する弁護側からの質問。第2回公判で日當氏は地裁判決が認定した衝突角度が誤りであることを証言していた。同氏は衝突角度を「40度程度」としているが、その根拠は清徳丸の防舷材(自動車のバンパーと同様に衝突の衝撃を和らげるためのもの)についた擦過痕の計測による。日當証言によれば、地裁判決では最初に衝突した部分でない切断面から衝突角度を認定、また粘土模型によって損傷状況を確認しているのは、「まな板の上で大根を切るように」再現したものであって、清徳丸が前進していたことを無視しているという。その清徳丸の防舷材が証拠として提出されており、擦過痕の測定が法廷で再現された。衝突角度が問題になるのは、これを正すことによって、清徳丸が進路を変えたことが衝突の原因、という地裁判決を覆すことにつながるため。
ここで2つのハプニングがあった。ひとつは、例によって被告側弁護人5人が入れ替わり立ち替わりで嫌がらせに近い微に入り細をうがった質問を繰り返す中で、裁判長から「証人に対して威嚇的、侮辱的な質問をすることは許さない、今後そのようなことがあれば質問を規制する」と注意があったこと。「武士の情」でこの弁護士の名は書かない。もうひとつは、「あたご」の形状を示す図面が防衛秘密であるために概略図しか提出されていないことが明らかになったこと。さらに弁護人(自衛隊側の)が口をすべらせて「あたごの艦首には1センチの幅があることはご存じか」と聞いた(これも「武士の情」で発言者の名は書かない)のに対して、検察側証人の日當氏は「防衛秘密なのでお答えできない」と返した。喫水線上の艦首の形状など、現物を見れば分かるが、こんなものも防衛秘密なのですね。自衛隊のからむ事件に関して、裁判に提出される証拠に「防衛秘密」の壁があることは良く分かった。
13時30分開廷、休憩をはさんで閉廷は17時30分近くになっていた。日當氏への質問が長引いたため、この日に予定されていたもう一人の証人への質問は次回に繰り越された。次回公判は7月6日。以後、8月1日、9月14日、10月1日と公判日程が入っている。ていねいな審議が必要と裁判官が考えたということは、地裁判決には疑問が多いと認めたことを意味するのだろうか。 (2012年5月31日)
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コメント
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裁判の傍聴と詳細な報告ご苦労さまです。このままで行けば逆転が期待出来るかもしれませんね。さて私もあまり報じられていない南スーダン派遣の陸自施設部隊についてコメントを書こうかなと考えていたところ、あの森本敏が防衛大臣に就任というビックリ二ュース。ご存知のとおり1900年に台湾開拓のための人材養成を目的に開学した拓殖大学の海外事情研究所の所長です(大臣就任で所長を辞めるのかどうかは知りませんが)。この研究所には特定失踪者問題調査会代表の荒木和博とかロシア研究の木村汎とかインテリジェンス論の北岡元などが集まっており、かつては特異な髪型でテレビ出演していた軍事評論家(というより兵器マニア)故江畑謙介も教えていました。むしろ強調しておきたいのが別組織ですが関連している日本文化研究所のメンバーです。所長に「新しい歴史教科書をつくる会」元理事の遠藤浩一、同会前会長の藤岡信勝、さらに元外務省職員の佐藤優、「在特会」に関係していると噂されている東京都議会議員の土屋敬之までも加わっています。もともと期待はしていなかった野田政権ですが、さらにひどいことになりそうですね(敬称全て略)。
投稿: 小幡利夫 | 2012/06/05 11:13