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魚が出てきた日
6月3日夕刻から、千葉県いすみ市大原漁港にイワシの群れが押し寄せ、酸欠のためその死骸が港を埋め尽くした。イワシといってもメザシにするマイワシやウルメイワシとは違う、体長10から15センチくらいのカタクチイワシで、地元では「ゴマ漬け」にする。鰯という文字のとおりとても弱い魚なのですぐに痛み、大量に獲れても利用のしようがない。今回押し寄せたイワシは総量で200トンといわれ、漁協では回収して埋めたが、腐臭はなかなか消えない。港が汚染されたため魚を生かしたまま運ぶための海水が採取できなかったり、対応に人出を取られたりして、漁協は大迷惑だった。
というニュースはネット社会ではいちはやく拡がったが、まともに扱った全国紙は読売くらい、あとは地方版だけの小さな扱いだったようだ。テレビもフジ系のスーパーニュースで放映されたくらいだろう。これだけの量の魚の大量死はかなり珍しい事件なのだが、なぜ報道しないのか。なにか規制がかかったのか、と疑いの目を向けたくもなる。
ここで思い出されるのは1968年のギリシア・イギリス共同製作の映画「魚が出てきた日」。「その男ゾルバ」のカコヤニス監督作品だ。66年1月17日にスペインの地中海側の漁村パロマレス上空で起きた、水爆搭載の米爆撃機が給油機と空中衝突して墜落した事件を下敷きにしている。現実の事件では4個の水爆のうち2個が、核爆発は起こさなかったものの地上にプルトニウムをまき散らした。1個は海中に没し、回収には3000人、33隻、80日を要した。米軍は当初核兵器事故であることを秘密にしていたが、1700人の兵を投入して放射性物質除去に当たらせたためにばれてしまった。このあたりは梅林宏道さんの『隠された核事故』(創史社、1989年)による。映画のほうはギリシアの島を舞台にしたコメディとして作られているが、最後の場面ではタイトル通り魚が大量に浮かび上がって来る。
福島原発事故で海を汚染し続けている放射性物質の量は、広島・長崎で拡散したそれよりも桁違いに多いと推定される。海の中で何が起こっているか分からない状況では、海の異変には敏感であるべきだと思われる。イワシが港に押し寄せた例はこの間、大原港だけでなく、同じ千葉県の太東、川津、松部の各港からも報告された。大量発生したイナダの群れに追われたとも言われるが、ではなぜこの間、イナダが大量発生している(からイナダもブリも市場価格が暴落している)のだろう。むろん無責任な憶測での発言は避けたいし、私は千葉県産の魚を食べ続けるけれども。 (2012年6月14日)
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コメント
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大原だけでなく房総半島そこかしこでイワシなどが海岸に押し寄せた二ュースを聞くと、放射能の影響も危惧されるが、このところ続いている地震が原因ではあるまいか。地震大国日本に原発はいらないはずだが、政権は再稼働を決め、また消費税増税に走ろうとしている。これは当然国政選挙で可否を問われなければならないが、その方向に進む兆しは見えない。国民もバカにされたもの。
投稿: 小幡利夫 | 2012/06/18 09:41