読む・読もう・読めば 125
ロックオン
小野寺防衛相は2月5日の臨時記者会見で、1月30日に東シナ海で中国軍艦から海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射が行われたことを発表した。「火器管制用レーダー」の照射、すなわち攻撃準備のロックオンだったと確認するのに6日かかったという説明だ。またこれ以前、1月19日にも中国軍艦から護衛艦艦載ヘリに対して同様な事件があったとも発表した。中国外務省の華報道官は8日の記者会見で「完全な捏造」とこれを否定、中国国防省も、監視用レーダーは使ったが射撃管制用レーダーは使っていないと主張している。
問題の中国軍艦はどちらも対空・対艦・対潜ミサイルと、砲・機関砲を積み、それぞれの火器管制レーダーがある。今回ロックオンをかけたのがどの兵器だったのかは分からない。9日のテレビ番組での発言で小野寺防衛相は、電波データと映像を証拠として開示する用意があると語った。なお、東シナ海での護衛艦と艦載機の行動は今回の発表でその一部が分かったが、潜水艦の行動については不明だ。
日本政府としては5日、外務省中国・モンゴル第一課長から在京中国大使館参事官に対して、また在中国日本大使館次席公使から中国外交部アジア司長に対して、申し入れをした。低レベルでの抗議に止めているわけだ。この冷静さはしかし、米国からの要請に従った結果でもあるように思われる。ロックオン確認に6日かけたなら、その間に防衛省・外務省・米国務省・米国防省の間での調整が行われていただろう。同じ5日のうちに、米国のケリー国務長官は中国の楊外相と電話会談をしているが、ここでロックオン事件についてどのような話し合いが行われたかは明らかにされていない。
米国政府は日本が東アジアでトラブルを起こすことを恐れている。米軍は中国海軍の太平洋進出を自衛隊にチェックさせることを望んでいる。矛盾しているようだが、どちらも内向きになっている米国を守るためだ。習近平政権は軍の掌握がどこまでできているか、不明だ。米中の思惑のはざまで起こった、尖閣諸島沖でのロックオン事件。偶発的にでも発射ボタンが押されれば確実に死傷者が出ていたし、反撃すれば戦闘になったわけだから、現場の緊張感は大変なものだったろう。近海に地下資源が本当にあるかどうかも確認されていない、小さな無人島の防備に命をかけるのか。 (2013年2月11日)
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今回も基礎的データを提供しておこう。1月19日護衛艦おおなみ搭載の哨戒ヘリに管制レーダーを照射したのは中国海軍新鋭汎用フリゲート江凱I型の一隻(艦名は特定されていない)。1月30日に護衛艦ゆうだちに管制レーダーを照射した前世代のフリゲート江衛II型に比べて7割も排水量を増やし4000トン級のステルス設計を採用したスマートなスタイルで2005年から2006年に就役している(ただし最新鋭フリゲートはさらに改良されたII型ですでに12隻を配備)。問題の江衛II型は艦番号522の「連雲港」と特定されているが、1999年就役の2500トン級で10隻が配備されている。両方ともに主たる対空ミサイルがフランス原型のクロタル短SAM8連装であるのが何だか変である。ちなみに護衛艦ゆうだちDD-103は1999年就役の4400トン級の「ミサイル駆逐艦」で、おおなみDD-111は2003年就役の改良型で4650トン級。日中双方とも強力な対艦ミサイルや艦砲を装備しているからいざ戦闘になれば無傷ではいられないだろう。現下の「電子戦」Electronic warfareは秘密事項が多く詳細は公表されていない。
投稿: 小幡利夫 | 2013/02/12 10:08