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「平権懇」☆関係書籍☆残部僅少☆

  • ●大内要三(窓社・2010年): 『日米安保を読み解く 東アジアの平和のために考えるべきこと』
  • ●小林秀之・西沢優(日本評論社・1999刊): 『超明快訳で読み解く日米新ガイドライン』
  • ●(昭和出版・1989刊): 『釣船轟沈 検証・潜水艦「なだしお」衝突事件』
  • ●西沢優(港の人・2005刊・5000円+税): 『派兵国家への道』
  • ●大内要三(窓社・2006刊・2000円+税): 『一日五厘の学校再建物語 御宿小学校の誇り』
  • ●松尾高志(日本評論社・2008刊・2700円+税): 『同盟変革 日米軍事体制の近未来』
  • ●西沢優・松尾高志・大内要三(日本評論社・2003刊・1900円+税): 『軍の論理と有事法制』

杉山隆保 コラム「自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告」

2013/01/09

2013新春メッセージ

2013新春メッセージ

昨年末の衆議院議員選挙で衆議院議員定数の三分の二超を自民党、公明党で確保し第二次安倍内閣が誕生しました。昨年、12月26日の安倍首相の記者会見をテレビで見ていて大変なことになったと感じました。政治家・安倍晋三氏は第一次安倍内閣で「戦後レジームからの脱却」を掲げ、「教育基本法」を「改定」させました。しかし、「憲法改正」などは市民・国民の反対で実現せず、ご自身の体調不良もあり、内閣は長く続きませんでした。

今回の記者会見で首相は「教育基本法」の「改定」を第一次安倍内閣の成果とし、当時は「56歳と若く肩に力が入り過ぎた」と第一次内閣を振り返っていました。首相は今回の内閣では「経済の立て直しが第一」とは言ってはいますが気になるのが「参議院議員選挙」に触れることの多さです。政治家・安倍晋三氏は「戦後レジームからの脱却」の目標は捨ててはいないと思われます。私は6年前のように「肩に力を入れすぎる」ことなく夏の参議院議員選挙で定数の過半数を獲得し、安定政権を確立した上で「戦後レジームからの脱却」に向かおうとしているのではないのかと捉えています。

我が国は曲がりなりにも日本国憲法に基づいて運営されています。とりわけ「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つが「日本国憲法三大要素」です。これらを変えることに私は反対です。

みなさまに「参議院選挙までにじっくりと我が国の運営について考えていただきたい」というのがメッセージです。

2011年3月11日の「東日本大震災」で被爆・被災された福島の方々に「公益社団法人 福島原発行動隊」や「NPO法人 ふくしま支援・人と文化ネットワーク」の一員として、あるいは福島のボランティア団体からの働きかけに応えて寄り添ってきました。この「寄り添う」という言葉は極めて情緒的です。私は「寄り添う」とは「生存権」の回復ないしは確立を求める取り組みと考えています。あるいは闘いと言っても良いかもしれません。日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と認められています。必要な法律、条例を作り救済・復興に当たれば良いのです。

私は米軍・自衛隊による軍事被害者に寄り添い40年超になりました。幾つもの「国家賠償請求訴訟」に取り組んできました。昨年の秋に笠井賢哲さんが起こした「イラク訴訟」にも関わっています。「イラク自衛隊派兵違憲訴訟」では東京訴訟の原告でもありました。この訴訟は全国各地で運動と法廷闘争が取り組まれてイラク訴訟・名古屋判決(2007年、3月の田近判決)、同・名古屋高裁判決(2008年4月)、同・岡山地裁判決(2009年2月)と「平和的生存権」が裁判所に救済を求められる権利であることを判決で確定させました。

この訴訟の過程は「イラク自衛隊派兵違憲訴訟定点報告」として「へいけんこんブログ」に書き残してあります(http://heikenkon.cocolog-nifty.com)。

私の所属しています「平和に生きる権利の確立をめざす懇談会」は「平和的生存権の新たな展開 長沼訴訟からイラク派兵違憲訴訟へ」という新井章弁護士の講演記録を発行しています。また、「へいけんこんブログ」にも掲載されています。

この「平和的生存権」と概念は少し違いますが「平和への権利」草案が現在、国連で審議されています。この草案には「長沼ナイキ訴訟」など日本国内で「平和的生存権」をめぐって争われた訴訟やこの権利確立に取り組んだ民衆の闘いが反映されています。この端緒は私のブログ「あそびばツアー8888」に載せました。カテゴリーは「平和運動」です(http://blog.livedoor.jp/asobiba8888)。

これら「平和的生存権」や「平和への権利」を活用して平和な世界を創ることに微力を尽くします。

日々の生活スタイルは1週間を畑仕事3日、福島関係2日、仕事2日のペースで過ごすことが目標です。そして、判断力、気力、体力のあるうちに資料整理を済ませることも目標の一つです。

今年もいろいろとご支援、ご指導をお願いすることと思いますがよろしくお願いいたします。これから寒さがいっそう厳しくなると思われます。皆様方におかれましてはお身体を大切にしてご活躍くださることを願っています。

(2013年1月5日 杉山隆保)

2012/07/06

情報保全隊監視差止訴訟控訴審開始へ

イラク自衛隊派兵差止訴訟の関連である、自衛隊情報保全隊監視差止訴訟は今年の3月に仙台地裁で画期的な勝利判決を得ました。この訴訟の控訴審が9月に始まります。その対策会議が8月10日に開かれることになりました。私も参加します。どなたでも参加できます。参加を希望される方はお知らせ下さい。

携帯電話 090-5341-1169 杉山 隆保

場所  仙台弁護士会館301号会議室  

懇親会 午後6時45分~  弁護士会館の近く 

議題

1.情報保全隊監視差止訴訟控訴審(第1回弁論/9月21日)対策

   控訴理由書・答弁書など、主張に関する意見交換

   裁判所の訴訟指揮・当方の立証などに関する意見交換

   秘密保全法に反対する取り組みなど世論喚起・市民運動との関係

2.自衛隊・憲法9条をめぐる最近の情勢

   情報提供と意見交換

   森元防衛大臣(「背広を着た軍人」)の下、情勢の展開予測。我々の取り組みの視点。

3.レンジャ-部隊訓練差止仮処分のたたかい

   担当した種田弁護士(64期/参加してくれます))の特別報告と意見交換

4.その他

2010/09/08

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告25 (改訂版)

2010.9. 8 杉山 隆保

9月1日に「自衛隊イラク派兵違憲訴訟全国弁護団連絡会義」が防衛省に要請行動を行いました。同行しましたので簡単に報告します。

要請項目

一、自衛隊イラク派兵の検証

一、「女性自衛官人権裁判」判決確定後のセクハラ、パワハラに対する改善について

一、「情報保全隊訴訟」の証人採用について

要請参加者

弁護団からは佐藤博文(札幌)、内河恵一(名古屋)、川口創(名古屋)、小野寺義孝(仙台)の4名とジャーナリストで「イラク戦争ってなんだ」(検証を求めているネットワークの責任者)の志葉玲さん、元原告の杉山でした。

要請の眼目は「情報保全隊訴訟」の証人採用についてです。仙台地裁が現職自衛官の証人採用について防衛大臣に「照会」を行っています。その回答期限が13日ですのでその前に要請を行ったわけです。この件だけですと要請を拒否してくる可能性がありましたので「女性自衛官裁判」の問題も加えました。

この日の防衛省側は広報担当者一人、各要請の担当者が8人出席しました。当初約束の要請時間は30分でしたが要請は1時間を超えて行われました。

「情報保全隊訴訟」の証人採用についてはさまざまな部署から職員が集まり検討しているがまだ結論は出ていないとのことでした。何人くらいで検討しているのかと問い質しましたが要請に出席していた政策局調整課の矢作(やはぎ)さんは「私も加わっているが人数は分からない」と答えました。

「女性自衛官人権裁判」判決確定後のセクハラ、パワハラに対する改善については人事局教育課副管理官の杉崎さんが回答しました。多少のやり取りはありましたが「当初要請された項目よりも要請事項が増えており省全体に関わるので(私のような下端)この場では答えられない」と言うので文書で回答を求めたところ了承しました。自衛隊イラク派兵の検証では40分近く議論をしました。

 この件では「ラク戦争なんだったの!?―イラク戦争の検証を求めるネットワーク」のホームページに要請行動の報告を載せる予定でしたので市谷グランドパレスホテルの喫茶店で佐藤さん、川口さん、芝葉さんと杉山の4人で「交渉内容」を確認しました。そして、文章化を川口さんにお願いしました。

■要請書

防衛省大臣 北 澤 俊 美  殿

               自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議

   事務局長  佐  藤  博  文

      

2010年8月31日、アメリカは2003年のイラク戦争開戦以降、約7年半に及んだイラク駐留米軍の戦闘任務が終了したと宣言しました。しかし、米軍は引き続き治安部隊の訓練として駐留を継続することとしており、また、イラク国内の混迷は続いたままです。イラク戦争は実態としては終わっておらず、イラクに平和が訪れたなどということはできません。米軍の撤退によって、イラク戦争が「終わった」として「片づけてしまう」ことはとうてい許されません。

イラク戦争が誤った戦争であったことはすでに国際的には明確となっています。イギリスやオランダなど、イラク戦争に参戦した国々は、イラク戦争に対する自国の政策について、真摯に検討をしています。

英国ブラウン政権は、大量破壊兵器をめぐる情報操作やイラク参戦問題を幅広く調査する「イラク調査委員会」(UK Commission、ジョン・チルコット委員長)を設置し、英国部隊の撤収が完了した昨年7月30日より調査を開始しました。政府から独立した調査を行うことを旨とし、調査のプロセスをなるべく公開で行い、2011年終了を目標に動き出しました。

これに対して、日本の前政権(自公政権)は、2007年5月に衆院本会議で「改正イラク復興特措法」可決の際に採択された「附帯決議」第4項に「イラク戦争を支持した当時の政府判断について検証を行う」と明記されているにもかかわらず、行なっていなません。また、2008年4月17日、司法(名古屋高等裁判所)がイラクにおける航空自衛隊の空輸活動は「他国による武力の行使と一体化した行動」であって憲法9条1項に違反すると判断しましたが(2008年5月2日確定)、これも無視し続け、2008年12月末にイラクから自衛隊撤収完了後も、検証・総括作業に取り掛かることはありませんでした。

しかし、鳩山新政権のもとでは、昨年9月24日に、今まで全て「黒塗り」だったイラク派遣航空自衛隊の「週間空輸実績」が、初めて防衛省より全面開示されました。これにより、空自の輸送活動は米軍人・米軍属・米海兵隊が大多数を占めていること、機関銃・小銃・拳銃・弾創など米軍貨物を輸送していたことなどが明らかになりました。

空自と同様、陸自でも全面開示されると期待し、複数の市民が開示請求したところ、同じ政権下でありながら、半年以上も待たされ、最近になり「黒塗り」のままという結果でした。これでは、戦後初めて海外に派遣され、しかも重装備で活動した陸上自衛隊の活動実態が全く分からず、検証をすることができません。

そこで、以下の点を強く要請します。

1.イラクにおける陸上自衛隊の活動に関する情報を全面的に開示すること。

2.イラク戦争支持と自衛隊派兵の検証を、国の責任として行なうこと。

【連絡先】 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内2-18-22

名古屋第一法律事務所  弁護士 川口 創

 052-211-2236 Fax052-211-2237

■イラク戦争検証・陸自資料開示についての「交渉内容」

担当者は、運用企画局国際協力課(輪倉氏)でした。

■上記、要請文をふまえて、こちらからの質問と回答などのやりとりの内容は概ね下記の通りです。

(1)質問:空自については空輸実績を全面開示したのに、陸自について開示しないのはなぜか?

   回答:空自についてはすべて活動が終了しており、各国に開示して良いか確認したところ、開示して良いということだったので開示した。

本来情報は開示されるのが原則であるので、当然のことをしたというまでである。

(2)質問:検証について防衛省として真摯に行っていく必要があるのではないか?

  防衛省:検証については、防衛省の範疇を越え、外務省や政府と協議しないといけない部分があり、防衛省単独で判断できるものではない。

   質問:防衛省内部で、今回のサマワへの陸時派遣は費用対効果としてどうだったのか、というような本音の部分での議論をしているのか?

防衛省:(困ったなぁと言うような顔で苦笑いをしながら)内部的には議論しているとも、していないとも明確にお答えするわけには行かない。

(3)志葉さんからのさらに突っ込んだ質問として

 ①質問:人道支援といいながら、実際にはほとんどが武装した米兵、多国籍軍の兵士だったということで国民を欺いてきた点についてどう考えているのか?

 防衛省:何を輸送していくかという方針については、イラク特措法と基本計画に基づいて対処した。

 ②武装した米兵輸送の点について、武器は携行していないなどと言うことを国民に説明していた点について(こちらから特に違憲ととらえるのかどうか聞いたわけではないが)

防衛省:兵員が自動小銃を持つなど、身を守るための兵器の携行であれば、武力行使にあたらず、イラク特措法上の安全確保支援活動の範囲内である。

③情報非開示の理由として、個人の写真の点などは、テレビなどでもちゃんと写っているので、特に非開示の必要性にあたらないのでは?

>

防衛省:顔の特定はあくまでたとえ話。装備の件も。それだけではない。

 ※、この点で防衛省側と我々との間でいろいろ応酬があった後、

防衛省:陸上自衛隊の次の作戦行動において、いかなる活動をするかということが推認されてしまうことを避けるため、という理由がある。

これに対し佐藤弁護士から

「今ジブチで基地を建設していると聞いているが、陸上自衛隊がイラクで行った内容を開示しない、ということが、次の行動、つまりジブチでの活動を知られたくない、ということに他ならないではないか。国民に事実を知らせない、ということは極めて 問題。しっかりとイラクでの陸自の活動の情報を開示し、国民に議論をゆだねた上で、堂々とジブチの問題も議論すべき。国民に情報を開示しないまま事実を積み重ね進めていく、ということに強い懸念を持っている」などと批判。

④隊員の健康被害について、特にサマワに駐留した他国の兵員が白血病を発病した件などが報告されており、劣化ウランによる放射線被害は深刻であると推認されるが、調査や対策を講じていないのか。

防衛省:イラク関係について担当する国際協力部としては、情報を把握していない。衛生官が把握しているかもしれないが、別の部署であるので情報はわからない。

2010/08/31

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告24

2010.8.31 杉山 隆保

勝利判決を迎えて 「原告弁護団」の声明

2010年7月29日

 本日、女性自衛官に対する性暴力に関する国家賠償請求事件(女性自衛官人権訴訟)について、札幌地方裁判所民事第3部(橋詰均裁判長)は、原告の主張をほぼ全面的に認める勝訴判決を言い渡した。

本訴訟で自衛隊は、①性暴力、②被害者保護・援助の不作為、③退職強要の全てについて争った。これらの判断にあたっては、セクハラ行為が「私行上の非行」とされ個人の問題に解消されてきた自衛隊において、その防止や被害者保護のために積極的に対応し、「良好な勤務環境」を確保すべき義務の存否、内容が問われた。

本判決は、以下のとおり、被害実態の分析・評価、自衛隊の事後対応の問題性について、深い洞察を加え、具体的詳細に論じており、今後のリ-ディングケ-スとなる画期的なものである。

1.被害者の供述の信用性判断にあたって、物理的強制の存否や内容に拘泥することなく、実情を踏まえた丁寧な検討を行なった。具体的には、

① 被害者の供述の一部に変遷や不合理と思われる点があっても、「性的暴行の被害を思い出すことへの心理的抵抗が極めて強いこと」「共感をもって注意深く言い分に耳を傾けないと、客観的事実と異なる説明やもっとも恥ずかしい事実を伏せた説明をしてしまうことはままある」「本事件に関する原告のもっぱら男性上司や男性警務隊員によって行われており、原告が性的暴行を冷静に思い出したり、記憶を言葉で説明することができなかった可能性が高い」等と指摘した。

② 本件現場、組織の特性として、「隊内の規律統制維持のため隊員相互間の序列が一般社会とは比較にならないほど厳格で、上命下服の意識が徹底した組織」であることを明確に判断したうえで、原告が「上位者である加害者に逆らうことができない心境に陥ることが不自然ではないと判示した。

2.被害者に対する保護・援助の点では、職場の法的責任につき、①被害職員が心身の被害を回復できるよう配慮すべき義務(被害配慮義務)、②加害行為によって当該職員の勤務環境が不快となっている状態を改善する義務(環境調整義務)、③性的被害を訴える者がしばしば職場の厄介者として疎んじられさまざまな不利益を受けることがあるので、そのような不利益の発生を防止すべき義務(不利益防止義務)を負う、と事後の配慮義務について積極的かつ具体的な判断基準を示して、それに対する違反があったとしたと認定した。

3.損害賠償580万円が認容され、その内訳を性暴力200万円、その後の保護・援助の不作為300万円の慰謝料、弁護士費用80万円とした。性暴力後の対応に多額の慰謝料を認めたことは、性被害被害の実態の捉え方(2次、3次被害の苦しみの大きさ)、被害者の所属する組織の責任の重大さを示した点で重要であり、賠償水準の引き上げにも寄与した。

 弁護団は、被告国が、本判決の内容を真摯に受け止め、控訴をしないこと、本件判決に基づいて自衛隊内のセクハラ防止策を見直し、実効性ある再発防止策をとることを強く求める。

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告23

2010.8.31 杉山 隆保

7月29日札幌地裁判決の確定にあたって「女性自衛官の人権裁判を支援する会」の声明勝訴判決が確定しました。

 原告、そして、今日までこの裁判と原告を支援し続けてくださった皆様とともに、こ の喜びを分かち合いたいと思います。支援し続けて下さった皆様、本当にありがとうございました。

 提訴から3年3ヶ月、事件が起こってから3年11ヵ月、原告にとっては本当に長い 時間でした。辛抱強く、原告に寄り添い、真実を明らかにしていった弁護団の努力には、心からの敬意を表します。

そもそもあってはならない事件が起こった上に、自衛隊は、被害者である原告に対して保護・援助を怠ったばかりか、退職を強要するなど、二次被害及びパワーハラスメントまで生じさせました。被害者が裁判に訴える以外に、性の尊厳、人権の回復を求める方法は残されていませんでした。

現職のまま提訴した原告に対し、自衛隊はいじめや嫌がらせを繰り返し、ついには任用を拒否(解雇)し、自衛隊から追い出しました。

  数々の困難に直面し、幾度もめげそうになりながら、今日まで自分の足で立ち続けた原告の勇気と頑張りに、私たちは心からの拍手を送ります。そして、原告(被害者)の言葉に、きちんと耳を傾けて下さった判決が今日、確定し、本当に報われたという思いで一杯です。

提訴後、原告や支援する会には、たくさんのメッセージが寄せられました。その中には、自分も同様の被害にあったというものも多く、自衛官や元自衛官という方々からも多くのメッセージが寄せられました。原告の事件が、氷山の一角であることは、そうした事実からも明らかです。

精神的にも深く傷つけられる性暴力の被害者にとって、自ら声を上げ、立ち上がることは、途方もない勇気とエネルギーを必要とします。

  被害者にそのような過大な負担を強いることが決して繰り返されぬよう、そして何より、二度とこのような事件を起こさぬよう、国と自衛隊には、今回の判決を真摯に受け止め、実効ある措置をとることを強く求めます。

事件当時20歳だった原告は、今年24歳になりました。彼女の二十代は、事件と裁判に翻弄され続けてきましたが、今日の勝訴判決の確定で、ようやく若者らしい時間を過ごし、新たな未来へ歩み始める条件が出来ました。

  ご支援いただいた皆様には、今後とも、原告を温かく見守り、支えていただければ幸いです。

 今日、確定した判決が、同様の被害に苦しむ方々にも、どうか力となりますように。

2010年8月12日

女性自衛官の人権裁判を支援する会

共同代表 竹村泰子・清水和恵・影山あさ子

http://jinken07.dtiblog.com/   

2010/08/10

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告22

2010.8.9 杉山 隆保

久しぶりの「定点報告」です。「自衛隊イラク派兵差止訴訟」関連で残されている課題は①自衛隊の「イラク参戦」を国会で検証させること②「自衛隊市民監視裁判」の勝訴③「女性自衛官人権裁判」の勝訴④イラクの民衆との連帯・支援です。

7月29日午後1時15分に札幌地方裁判所民事3部(橋詰裁判長)で示された「女性自衛官人権裁判」の判決は全面勝訴でした。

この事件の契機は「自衛隊員(家族)ホットライン」です。自衛官とその家族の悩みや人権侵害を直接に弁護団として聞かせて貰おうと立ち上げたネツトワークです。

この事件で被害者から最初に話を聞いた佐藤博文弁護士(「自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議」事務局長)は「同じ歳の娘を持つ身としては、積極的に『訴訟を』とは言えなかった。『提訴しなくてもあなたが負けたわけではないよ』『自衛隊を辞めてから提訴しても逃げたことにはならないよ』と何度も言ってしまった。この原告の意志の強さには脱帽する」と述懐しています。

判決についての報告です。
2007年5月8日に、原告(当時21歳)が現職のまま提訴し(昨年3月、不当にも再任

用拒否)、3年3カ月闘ってきました。

裁判所の認容額は、580万円で、その内訳は、性暴力200万円、その後の保護・援助の

不作為300万円、弁護士費用80万円です。

性暴力に遭った被害者の言動(最初にきちんと言えなかったとか、説明に変遷があった

ことなど)に対しても、性暴力被害者が置かれた精神的等の実情に踏まえた判断をしています。

事件後、原告に対して適切な保護、援助の措置を取らなかったことについても、部隊には「組織として、性的加害行為に対する泣き寝入りが生じないように苦情相談体制を整える義務」「(被害申告がなされたら)どのような加害行為がなされ、これにより被害者がどの程度の被害を受けたのかという事実関係の調査」を行い、被害の深刻さに応じ、①被害配慮義務、②環境調整義務、③不利益防止義務、を負うとして、婦人科の受信が妨げられたこと、加害者の隔離が不十分であったこと、退職が強要されたことなどを、具体的に認定しました。

慰謝料金額としても、性暴力それ自体よりも、その後の部隊の対応について多額の慰謝料を認めたことは、性被害の実態の捉え方(その後の苦しみが大きいこと)、被害者の所属する組織の責任の重大さを示した点で大変意義があり、賠償水準の引き上げにも寄与する判決になっています。

控訴期限は12日です。控訴断念の働き掛を強めましょう。既にこのブログでもお願いしていますがよろしくお願いします。要請先等をあえて再掲します。

一人の女性の「勇気」が、憲法の人権保障の未来を拓きます。

どうか、みなさま、この問題に注目し、かつ国に働きかけてください。

(要請文例)
「国は、7月29日札幌地裁で言い渡された女性自衛官人権裁判(平成19年ワ第1 205号事件)の判決に 従って下さい。

裁判の長期化はさらに原告を苦しめることにほかなりません。そして、二度とこのような事件を起こさないよう、自衛隊のセクハラ防止対策を本判決に基づいて検証し、実効 性のある再発防止対策を講じることを強く求めます。」

送り先:

菅直人内閣総理大臣

(首相官邸) FAX:03-3581-3883

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

北澤俊美防衛大臣
(防衛省) FAX:03-5362-4816(広報課)

メールフォーム
https://sec.mod.go.jp/mod/goikenshinsei/goikenbako/index.html

千葉景子法務大臣
(法務省)
ご意見などのFAX:03-3592-7393

ご意見・ご提案受付フォーム

https://www.moj.go.jp/mojmail/kouhouinput.php

*この他の電話、議員会館の連絡先などは、支援する会ブログにあります。
http://jinken07.dtiblog.com/

(要請文例)
「国は、7月29日札幌地裁で言い渡された女性自衛官人権裁判(平成19年ワ第1 205号事件)の判決に 従って下さい。

裁判の長期化はさらに原告を苦しめることにほかなりません。そして、二度とこのような事件を起こさないよう、自衛隊のセクハラ防止対策を本判決に基づいて検証し、実効 性のある再発防止対策を講じることを強く求めます。」

送り先:

菅直人内閣総理大臣

(首相官邸) FAX:03-3581-3883

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

北澤俊美防衛大臣
(防衛省) FAX:03-5362-4816(広報課)

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https://sec.mod.go.jp/mod/goikenshinsei/goikenbako/index.html

千葉景子法務大臣
(法務省)
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2010/03/01

3月19日の「弁論日」の夜に市民集会を開催

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告21

自衛隊国民監視活動差止め等請求訴訟」の口頭弁論が3月19日の夕方に仙台地裁で行われます。この夜に市民集会が開催されます。

自衛隊国民監視活動差止め等請求訴訟の現段階

第一 訴訟の概要

■原告募集は、この文書を作成したのが自衛隊の東北方面隊であったことから青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島からの参加が目標とされた。そして原告は自衛隊に監視された集会参加者などに限定した。

  第一陣提訴は2007105日であった。以後、第六陣200972日まで続けられた。

  現在の原告総数は107名。

 青森県2

岩手県1

  秋田県8名

山形県5

宮城県90名(仙台市54名、岩沼市5名、田賀城市5名、名取市4名、塩釜市3名、大崎氏9名、石巻市1名,大河原町2名、柴田町2名、村田町1名、亘理町1名、七ケ浜町1名、美里町1名)

福島県1

    仙台弁護団から準備中の書面骨子(論点整理)に基づき報告

・次回弁論3月8日午後415分から。次々回弁論4月19日午後415分からです。

・情報開示請求 ⇒ 1218日に期限延長通知がありました。29日が決定通知予定日です。

    被告は国です。

    請求内容

〔請求原因の概要〕

 陸上自衛隊情報保全隊の原告らに対する監視活動は、①報道機関にも及んでおり報道の自由・国民の知る権利を侵害する、②市民団体・個人の表現の自由を侵害する、③プライバシーの権利を侵害する、④肖像権を侵害する、⑤思想良心の自由を侵害する、⑥平和的生存権を侵害する、⑦そもそも自衛隊の市民監視行為は自衛隊法等の法令上の根拠がなく、また、個人情報の収集・保全は行政機関個人情報保護法にも違反している。さらに、⑧自衛隊の市民監視活動は立憲主義に対する背反であり戦前の「憲兵政治」復活の危険があり、基本的人権保障や民主主義・立憲主義に対する重大な侵害行為であり、不法行為である。

〔請求の趣旨〕

 1 差止め―提訴時のもの(現在、変更の要否・内容につき検討中)

   被告は、原告らに対する陸上自衛隊保全隊によるイラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向の情報収集、活動監視活動をはじめ、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(平成15年法律第137号)及び同法4条に基づき定められた「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画」に基づいて自衛隊をイラク並びにその周辺地域及び海域に派遣し、同法及び同計画に基づく活動を行っていることに関する意見表明、集会、デモ行進その他一切の表現活動、思想活動に対する情報収集、監視活動を行ってはならない。

 2 国家賠償

   被告は、原告らに対して、各々金100万円及び本訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 被告(国)の対応

■指定代理人に自衛隊征服組(情報保全退院も)が就任

■被告の答弁内容

①「差止め」を却下する

 そもそも「情報収集」「活動監視活動」なる言葉はきわめて抽象的広範ゆえ、いかなる行為をさすか意味不明。従って、差止め対象が不特定。

②国賠は棄却する

・「監視」「情報収集」の意味不明ゆえ、認否の限りでない。

・ただし、陸自情報保全隊が、イラクへの自衛隊の派遣を含め、その職務に関し

て組織的・系統的・日常的に、国民の権利を侵害した事実はないし、現在もそ

のようなことはしていない。

・本件文書を陸自情報保全隊が作成したことを政府・防衛省は事実上認めている

ということについては否認する。

・「自己情報コントロール権」がプライバシイーの権利内容として憲法13条によ

 り保障されていることについては争う。

・みだりに容ぼう等を撮影されない自由について、判例を論じた後「何ら権力的

 なを契機を伴わない写真撮影」等は該当しない

    本件文書中には、原告らが参加したと主張する集会等が撮影場所である旨を付記した写真は存在しない。

    思想良心の自由につき、原告が例示する三菱樹脂高野事件は最高裁により破棄差戻しになっている。したがって本件との関係はない。

    平和的生存権につき、「田近判決」=「定点報告13-2を参照」=と称される上記判例の内容は全く独自ないし異質なもので、先例的な価値はない。以後、平和的生存権の具体的権利性の有無について、A42枚にわたって論じている。

    訓令について被告の主張

    陸自情報保全隊の任務及びその法的根拠

自衛隊31項→防衛庁設置法5条柱書、同4号。「以上のとおり、自衛隊の行動等に関し、必要な情報の収集整理に関することは、防衛省の所掌事務に属する。

 他方、陸自情報保全隊の任務については、自衛隊法23条→自衛隊法施行令32

→訓令3条「情報保全業務」:その意味同訓令21

 これらの法令等による陸自情報保全隊の情報収集における具体的な任務は「自衛隊に対する外部からの働きかけ等から部隊を保全するために必要な資料及び情報の収集整理、職員と各国駐在武官との接触状況に係る資料及び情報の収集整理、部隊等の長による身上把握等にあることになる。」

    国民の権利義務を制限行政作用については、法律の根拠は要しない

情報保全隊の情報収集活動の根拠となる防衛庁設置法はいわゆる組織規範であり根拠規範ではなく、上記情報収集活動は根拠規範に基づくものではない。

 しかしながら、法律の留保の原則もいかなる行政作用についても根拠規範を要するものではなく、国民に義務を課したり、国民の権利を制限する侵害的な行政作用についてのみ法律の根拠(法律規範)を要するに過ぎない(いわゆる侵害留保説)。情報保全隊の情報収集ための活動は、何らの

強制を伴うものではなく、その意味で国民の権利を侵害しない範囲において実施されているものである。

    結論

   情報保全隊情報収集活動→国民の権利を侵害するような形態ではなく何ら違法ではない。

   情報の収集は陸自情報保全隊の目的達成に必要な範囲内で個人の情報を保有しているのであり、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律3条の趣旨を逸脱するものではない。

■被告の応訴態度

監視文書の成立に関する認否を拒否し続ける。

原告の具体的主張にも答えない状態が続いている。

第三 訴訟進行と今後の予定

 1 前回の弁論(118日)

    原告の被害主張を出し切った(100名/107名)。被告の具体的認否を求めた。

    纐纈厚教授の意見書(自衛隊の国民監視業務の位置と役割―国民への監視と恫喝実態とその背景―)を提出。

 2 今後の弁論予定

   3月8日午後4時15

   4月19日午後4時15

 3 原告の進行予定

   《法廷内》

    最終準備書面を念頭においた主張の整理・立証の展開

    内部文書当時の東北情報保全隊長、現在の情報保全隊本部隊長、纐纈教授、小林武

教授の尋問を実現する。そのために、国を追い込む体制をとる。

    立証に必要な書証の点検・提出

   《法廷外》

    原告団・弁護団・支援する会の3者合同会議の開催

    宣伝・市民集会などによる世論の喚起

3月19日に市民集会を実施

    映画:リトルバード イラク:戦火の家族たち

    講演:綿井健陽氏

*以上の報告を受けて議論を行いました。議論の要点は以下の通りです。

・収集した情報を何にどのように使おうとしたのか、そこの追及が重要。
・この訴訟がイラク派兵に反対する国民運動であることを認識する

・世論を敵視していることを明確にする。
・自衛隊の実態は、外征軍化し、もはや「専守防衛の軍隊」ではないこと。
・外征軍化した軍隊にとって世論操作は必定(自衛隊文書等から明らかに)。
・原告の陳述から徹底して読み取る。原告の認識自体が深化・発展する。
・原告の訴える「法益侵害」を法的表現に「翻訳」する「生みの苦しみ」不可避。
・イラク戦争に自衛隊を派遣したことに対する気持ちをしっかり書いてもらう。
・勝ち取った「平和的生存権」の到達点を広く捉えていく(狭い当てはめダメ)
・求釈明と併せ、文書提出命令も活用するとよい
・その他

2010/02/02

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告20

イラク戦争検証運動を進めよう

久しぶりの「定点報告」です。政権が変わりイラク戦争に参戦した航空自衛隊の飛行記録がようやく開示されました。大阪の元原告、弁護団、川口弁護士が分析を進めています。

また、市民の中からもイラク戦争検証機関設置を求める運動が起こされています。そして、「イラク戦争」関連で唯一残っている情報保全隊差止訴訟(仙台)では原告陳述書が100人分を削り提出され、証拠調べの段階に入りました。

このような中で130日に仙台で第17回の「イラク派兵違憲訴訟全国弁護団連絡会議」が行われました。議題は上記の①情報保全隊差止訴訟(仙台)をいかに勝利させていくのか ②イラク戦争検証機関設置をさせる取り組みについてでした。

議題①の情報保全隊差止訴訟については裁判が長くなっていますので事件のおさらいを含めて「定点報告2」で報告することにします。

 イラク戦争検証運動について

今回の議論では市民が進めている「イラク戦争検証機関設置」運動を評価しつつも国民自らの検証も必要なのではないかとの討論が行われました。

▽運動の位置づけ・性格
 ・第二次大戦の総括は国民の側からやれていない初めての本格的な取り組み。
 ・憲法には「政府の行為により再び戦争の惨禍がおきないように」と書いてある。
 ・基地問題・安保50年と絡め、「武力なき安全保障」をどう打ち立てるかの問題。
 ・この取り組みは、ソマリア・アフガン派兵への強い牽制になる。
 ・国際NGO等とのネットワ-ク(川口弁護士がよびかけ人の1人)に参加。
 ・市民が主体になって検証活動を行い、「こまでは分かった」しかし、これ以上は分からない、だから国家の責任で行なえと、やるべきことを具体的に突きつけていく。

▽やるべきことの具体化
 ・昨年1020日鳩山総理宛申しれの改訂版(その後の動きなどを加筆)を作って再度申入れする(起案/佐藤,補佐/川口・池住)

(注)日本国際ボランティアセンター、日本イラク医療支援ネットワーク、ヒューマン・ライツ・ナウ、ピースボート、地雷廃絶日本キャンペーン、日本YWCA、日本チェルノブイリ連帯基金、ウラン兵器禁止を求める国際連合ジャパンのNGO1225日に「NGOによる日本政府のイラク政策検証のための独立調査委員会設置」の共同要請書が提出されています。

・大阪の原告・弁護団及び川口弁護士が鋭意行なっている空自情報のデ-タ入力、分析を完成させるこれをどう効果的に使うか(後記4.17がその1つ)。
 ・「イラク検証」市民集会を全国各地で行なう(「全国キャラバン」の構想も)。
▽具体的な取り組み
 ・次回弁護団会議を名古屋違憲判決2周年の4月17日に名古屋で行い、イギリス調査委員会メンバ-を招いて講演・意見交換を行なう。全国訴訟と違憲判決の意義を再確認し、イラク戦争検証機関設置に向けたアピ-ルの場とする(シンポジウムか?)。

・招聘実現のため、来週中に、池住さんがイギリスの知人を通じてコンタクトを取り、会えるアポが取れたら、2月後半に池住、佐藤、川口でイギリスに行く。

・この4月17日の会議への参加を、全国の弁護団・原告団に要請する(少なくとも1人は参加してほしい)

2009/07/25

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告19

「平和のための国民審査」運動にご協力を

「自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告18」で被告・国が「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」を国会に提出したことを書きました。違憲のイラク派兵を進めた責任者・竹内行夫元外務事務次官は現在、最高裁の判事となっています。8月18日公示、30日投票の総選挙と同時に最高裁裁判官の国民審査が行われます。

昨年から「自衛隊イラク派兵違憲訴訟」の原告、弁護団は竹内行夫さんが最高裁判事にふさわしくないと捉え「竹内行夫裁判官バッテン運動」準備してきました。いよいよ最高裁判所の判事に対する「国民審査」が行われます。

平和憲法をないがしろにする裁判官にはちゃんと意思表示を、ということで、「平和のための国民審査」運動を原告、弁護団が呼びかけています。

運動のリーフレットは、100枚500円、500枚2,500円、1,000枚5,000円。ポスターは1部200円です。送料は別料金となっています。詳しくは下記のホームページをご参照下さい。    http://liveinpeace.jp/

リーフレットなどの注文方法はホームページから注文書をダウンロードし、ファクスでお送りください。

■郵送での注文先  〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-2-7 丸森パークビル7階 荒尾法律事務所  弁護士 荒尾 直志(電話052-587-3900 ファクス052-587-3911)

(2009/7/25 杉山隆保)

2009/07/20

自衛隊イラク派兵違憲訴訟 定点報告18

被告・国が「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」を国会に提出

自衛隊イラク派兵違憲訴訟の原告と弁護団は自衛隊がイラクから撤収した後も被告・国に対して「自衛隊をイラクに派兵した結果を検証せよ」と求め続けてきました。7月3日、ようやく国会に「イラク特措法に基ずく対応措置の結果について」という報告書が提出されました。

このことは自衛隊イラク派兵違憲訴訟の原告と弁護団が「『イラク戦争支持判断の検証』とイラクに派兵された航空自衛隊による輸送活動の十分な情報開示を求める要請書」などを国会に提出し続けてきた地道な活動の成果と言えます。

防衛省のホームページには7月3日付で、国会に提出された「イラク特措法に基づく対応措置の結果について」が公表されました。また、航空自衛隊の運用実績なども一覧で載っています。
http://www.mod.go.jp/j/iraq/kokaihoudou.pdf

この報告は 7月4日付の「しんぶん赤旗」でも報道されました。

空輸活動のためにクウェートに派遣されていた航空自衛隊の空輸実績

・2003~2008年の航空自衛隊派遣期間中、延べ46,479人を輸送。そのうち30,235人(約65%)が米兵を中心とした多国籍軍関係者
多国籍軍関係者の内訳
 米兵          20,372人
 米兵を除く多国軍兵士   1,447人
 文民など軍関係者     5,061人

多国籍軍関係者以外の内訳

陸上自衛隊関係者     10,895
国連関係者         2,799

2004年3月~2005年3月末までは陸上自衛隊関係者が多く4,143人で、米兵中心の多国籍軍関係者は2,026人。しかし、陸上自衛隊撤収と航空自衛隊の輸送先をバグダッド空港に拡大した2006年度には多国籍軍関係者が8,997人陸上自衛隊1.791人と逆転した。

2007~2008年度では全体の輸送人員19,224人のうち多国籍軍関係者が15,880人と約83%に達した。

ご紹介ですが日本民主法律家協会発行の「法と民主主義」の5月号に自衛隊イラク派兵違憲訴訟の評価も含めて<「平和的生存権」の深化を問う>という特集が組まれています。この編集に「平権懇」会員でもある清水雅彦さんが関わっています。 (杉山隆保)

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